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21話 誕生

別に出産ではありません


凍「ここにきて風龍が出産したら誰でもビビるわ」

焔「……凍の子供、できない」

雷「大丈夫よ。少し落ち着いたら枯れるまで搾り取ればきっと大丈夫よ」

花子「絞り尽くす……その前に気絶しちゃうかもしれませんね」


凍は酷いですからね~


凍「俺を鬼畜みたいに言うんじゃねえ!」


そう言っているんですけどね

では本編どうぞ~

さて、これ以上馬鹿夫婦?に魔獣の住処を荒らされるのは勘弁願いたい。人間の住処が壊れるのは何とも思わんが、ここで龍たちをどうにかしないと明日は我が身だ。だって風龍ってば船で七日の距離をほとんど一瞬で移動するんだもん。


「凍が珍しく真面目にやる気出してるっ!?」

「熱でもあるんじゃないかしら?」

「こんな凍君は凍君じゃありません! 早くいつもの自分勝手でテキトーな凍君に戻ってください!」

「コオル、貴様は普段から何をやらかしているのだ?」

「何もしてねえよ!」

「だから驚いているんじゃない」

「あ……」


いやいや、俺だってやる時はやるぜ? 王都の中で暴れまわったり、都で司祭を追い詰めたり、ジャングルで人間相手に作戦立てたり、帝都で霊帝の野望を潰したり……碌なことしてねえな。いやいやいや、何かあるはずだ。遊園地でデートしたり、もう1回霊帝の野望を妨害したり、風龍に水龍を紹介したり、魔都で人間に追い回されたり……駄目だ自分でもフォローできない。


「はい、俺は碌なことをしない駄目な氷狼です」

「はんっ。自覚があるからと言って魔獣のガキが許されるわけないじゃないさ」

「口を開いて良いなんて誰が言ったのかな? ねえ? 凍に話しかけるなんてたかが人間如きが調子に乗ってないかな? レイちゃんを危険に晒して、凍に偉そうなこと言って、何もできてない年増のオバサンにそんなこと言う資格があると思ってるのかな? ねえねえねえねえ? 自分の立場も分かってない駄目な口なんてあっても無くても同じだよね? じゃあ気持ち悪いことしか言えないそんな口はこうしちゃおう!」

「ふんああああああああああああああああああああああああああああ!」


あ、焔がババアの下顎を削り落としちゃった。


「……うえっ」

「王子、吐くなよ」

「そうは言うがな、我々人間はこのようなグロテスクなものには慣れていないのだ」

「いや、人間だって拷問でこんなことやってる奴居るだろ」

「そうかもしれんがな……待て、ババアの口を、ああしたということは風龍に命令を出せる者が居なくなったということではないのか!?」


『ああした』ってハッキリ切り落としたって言えよ。ビクンビクンバッタんバッタンしているババアは本当に鬱陶しいが。てか仮にも王子がババア呼ばわりって国際問題とかになったりしないのか?

下顎を法剣で削ぐように切り落とされたババアは手で傷口を押さえようとして、広すぎる傷口と手の感触に余計に悶えて『ああああああ』とか『ぎゃああああああ』とか声を上げている。上顎だけ残ったババアの顔は唇の半分から下は血肉しか見えないようになっているが、焔は殺す気は無かったようで切り口は本当に顎だけに走っている。角度の問題で下顎の奥、親不知辺りの歯だけが残っていて、舌の輪切りも見えている。人間らしく実に不味そうな匂いだ。


「コイツを喧嘩の真ん中に放り込んだら収まらねえかな?」

「風龍がこのババアを嫌いなら良いが、関係無い人間が来た程度では無視されるのではないか? 私から見てもあの風龍は女の嫉妬と言うか、何かほの暗いものを感じるぞ」


【ちょっと! お腹に私たちの子供が居るのよ!】

【黙れ! 子供に罪は無いが貴様は罪に塗れておるだろうが!!】


……否定できない。

さて、真面目に考えるとしよう。

風龍はとりあえず霊帝を殺すという命令には従っていて、それを邪魔する水龍を殺さない程度に排除しようとしている。しかしお腹の中に子供が居てあまり激しく動けないから拮抗状態になっている。

つまり、何かの拍子に風龍の気が逸れたりしたら一気に水龍に何とかしてもらえる! 実に他力本願だがこの際仕方が無い!

問題は、風龍と水龍の喧嘩なんて割って入った時点で死亡が確定しているということだ。

それを皆に話したら王子が意外と凄いことを言い出した。


「黒スライムとやらで魔獣や人間に命令すれば良いのではないか?」


まさか魔獣だけじゃなく人間も対象にするとは思ってなかったぜ。

でも良い案だったので魔都の偉そうな騎士を捕まえて黒スライムの扱い方を訊いてみた。


「寄生させる前に殴ったりして屈服させれば言うことを聞くようになるんだっ。本当だ! 俺は嘘なんて言ってない! だからこの変な剣を外してくれ!!」

「はぁ~い」

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


哀れなお偉いさんを屠った焔はその足で黒スライムに入った檻を壊し、出て来た黒スライムたちを切り殺さないように法剣の腹で殴り倒して人間に寄生するように命令し始めた。ついでに近くに居た疲れ切って倒れている雷狼の中の黒スライムを入れ替え始めた。


「何て手際の良い娘かしら」

「焔って凍君のためだと物凄いですよね」

「人間として見ていて心が痛いな」

「発案者は王子だけどな」


黒スライムに憑りつかれた人間たちは焔によって俺の指示で動くように命令されているらしいのでまだ生きている戦車に乗って風龍へ一斉攻撃を仕掛けるように命令した。黒スライムに数が足りなかったから魔都の人間全員を操れているわけではない。

風龍と水龍の攻撃で満身創痍の動けない人間たちに下顎が無いババアを投げ渡した。凄い驚き、憎しみを込めた目で俺を見てきたが無視して雷狼たちに指示を出す。戦車の一斉攻撃に合わせて風龍が高度を下げたら捨て身で突撃するように命令しておいた。


「さて、あとは準備が完了するのを待つだけだな」

「そうだねっ」

「でも、これで黒スライムの力の限界らしきものが見えてきたわね」

「そうですね。人間は自分の意識は無いみたいですけど、雷狼は自分の意識が半分くらい残っていて、風龍はほとんど無視ですね」


お、そろそろ準備が終わるな。

操った人間たちは全部で12人、戦車には4人が必要らしく3車両が風龍に砲門を向けている。雷狼は生き残っていた4匹を全て風龍の真下に移動させている。今はもう移動も終わっているが遠目にも風龍と水龍に怯えているのが分かる。

人間と雷狼が俺の指示に従うのがちょっと楽しくなってきた。褒めて褒めてと擦り寄ってくる焔の頭や顎を撫でながら、俺は2匹の喧嘩の轟音に負けない大声で指示を出した。


「全砲門、目標に向けて、てえええええええええええええええええ!!」

【なっ!? 人間如きが小賢しい!!】


雷狼に攻撃させるためにも風龍には高度を落としてもらう必要があったので、風龍の頭を狙った砲撃になっている。綺麗に高度を下げることで回避した風龍に地上から雷狼たちが特攻した。4匹の雷狼が風龍に襲い掛かり、その内の2匹が風龍の体に電気を纏った爪を突き立てしがみ付いた。他の2匹は尻尾で地面に撃ち返されて即死した。


「次弾装填、てええええええええええええええ!!」


しがみ付く雷狼を振り払おうとする風龍に向けて更に3発の砲弾が迫り、風龍は雷狼を盾にすることで1発を防ぎ、1発は外れ、1発は尻尾の先を掠っていった。

盾にされた雷狼は体の半分が千切れて地面に落ちて行った。雷狼を盾にしても完全に無傷とはいかなかったようで着弾地点の鱗がヒシャげて煤けている。


【雑魚共が!! お腹の子に何かあったらどうしてくれる!!】


もはや口調が変わっている風龍が風を使って不可視の鉄槌を戦車に飛ばしたようでいきなり2台の戦車が真上から潰れた。中の人間たちと黒スライムは即死したようで濃厚な血の臭いがし、戦車のひび割れたボディの隙間から血肉が飛び出している。黒スライムはが出て来ないということは中で大きな破片に斬られたんだろうな。

風龍の隙を突いて水龍が死角に回り込んで尻尾で地面に叩き付けた。妊婦だということを全く気にした様子の無い本気の1撃には水龍の性格を疑ってしまう。


「凍、水龍は妊婦に容赦無いって考えてるでしょ?」

「仕向けたのはあなたでしょうに」

「凍君も充分酷い性格をしていますよ」

「これでから自覚の無い若造は困る」


笑顔で言わないで。心が砕けちゃう。

さて、地面に叩き付けられて動けない風龍の所に行ってみようか。黒スライムを抜けば風龍も大人しく森に戻ってくれるだろうしな。


「何が、氷狼だ……あれじゃ、悪魔じゃないか」


酷いこと言った人間には銃弾をプレゼントしておいた。


中々最悪な方法で風龍を追い詰めた凍、相手が妊婦だとかは彼には関係ありません


凍「妊婦だろうが出産中だろうが風龍は風龍だ」


何でこいつが主人公なんだろう

次回、本編の最終話にできるか!?


凍「最終話が急すぎる!!」


……久々に後書きで凍のツッコミで出た気がする

では次回~

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