19話 龍竜
凍「副題が妙なことに」
焔「誰が出てくるか簡単に分かるねっ」
雷「逆に出て来なかったら困るわ」
花子「出て来ても困りますけどね」
さて、ネット環境が無い状態であと何話書けるでしょうか
不安は尽きません
では、本編~
さて、魔都の戦力、というか向こうの大陸の戦力の中から馬に乗ったババアが出て来た。魔都のトップのババアだ。今更何しに来たんだ?
「帝都の侍たちに告ぐよ」
ああ、霊帝が霊竜だって言うつもりなのか。
そうだよな自分たちのトップが隠し事をしてるってのは結構士気に関わるはずだ。あのババア、戦争での士気を操作する方法を心得てるのか。元歌姫ってそんなスキル必要とされるのか?
帝都の侍たちは昨日の内に防壁を応急修理し、防壁の隙間を無理矢理土嚢や壊れた家財道具で塞いだ。雷狼や戦車が来たら一発で壊されるが無いよりはマシってことでバリケードを作っている。
そんな侍たちは防壁の上からババアの言葉を聞いている。霊帝の正体を知っている霊士の連中は一瞬不安そうな顔をしたみたいだが、直ぐにキリッとした顔に戻った。
「お前たちが守ろうとしている霊帝、その正体を知っているか?」
ああ、確かに色々と霊帝に不審を抱かせるようなことを魔都の連中はしてきたな。これは帝都の侍たちも戦い辛く、
「「「興味無えよ!!」」」
「わぁお」
侍たちが一斉に言い切った。俺の周りに居る連中は全員だな。
戸惑うババアに向けて防壁の上の弓兵が集まる高見台から1人の霊士がババアに向けて叫ぶように言い切った。
「霊帝様が例えどんなことを隠していようとも我らの忠義は変わらん! さっさと失せろ老いぼれ!!」
「今言った奴前に出な! 若造如きが目に物見せてくれる!!」
魔都の群集の中から色違いの戦車(紫)が出てきて大砲を向けてきた。もう発射寸前っぽいんですが。
「このアホ隊長! なに相手のボス挑発してんだよ!!」
「ウルセエ! さっさと防御しろ!」
「分かってるよあんたも動けっつってんだあああああああああああ!!」
叫びに合わせて戦車から射撃音がした。
盾を持った侍たちが前面に並び、その後ろから弓を持った侍たちが砲弾に向けて弓を引いた。ついでに少ない銃使いたちも砲弾に向けて射撃した。少しでも砲弾の勢いを弱めるつもりのようだ。
遠距離系侍たちの努力は報われたのか知らないが、盾持ちの侍が砲弾を受け流し防壁の外に流れて行った。
「隊長! あんた普通の侍より使えないんですけど!」
「黙れクソッタレ! 向こうは撃ってきた! 戦闘開始だ!!」
さて、一応は開戦したらしい。
魔都の連中は戦車を中心に防壁に進軍しその後ろから雷狼と騎士たちが進軍している。
「凍~、暇だよ~」
「もう少ししたら逃げるかどうか決めるから待ってな」
「は~い」
現在俺たちは帝都で1番高い建物の上に居る。風龍が来たら直ぐに分かるように、直ぐに逃げられるように見晴らしの良い場所を選んで非難した。ちなみに、霊帝は作戦会議室で指示を出しているらしい。でも水龍がいつ参戦するか分からないのが怖い。
防壁の方を見てみると魔都の連中は思いっきり防壁に向けて進軍しているが、キスタニアの連中は乗り気ではないようでノロノロ進んでいる。ババアもそれを注意する気は無いようで魔都の戦力の後ろから大声で指示を出している。昨日に引き続き雷狼も参戦しているが、戦車は雷狼のことなど一切気にしていないようで雷狼は後方からの戦車の砲撃に晒されている。あ、1匹に直撃した。
「雷狼を使い捨てだなんて、豪勢な戦略だこと」
「雷狼としては思うところがあるか?」
「ええ。早く全員殺しちゃって欲しいわ」
冗談かと思ってわざとらしく笑ってみたが、雷の表情マジなんですけど。
花子は完全に引いてるが、焔、少しは興味を持ちなさい。
防壁の前では既に戦闘が始まっている。雷狼と戦車が防壁の隙間を無視したように正面に殺到している。そろそろ防壁自体が壊れそうだ。戦車の砲撃と雷狼の犬パンチでもうヒビまみれだ。防壁を開けたり鉄槌で中央ぶち抜いたりってのはよくあるけど、直接砕くなよと言いたい。
あ、防壁が砕け散った。
「魔都の馬鹿共!!」
その時、防壁の正面から帝宅まで続く長い道の先、帝宅の入り口の門前に霊帝が出て来た。右の侍がバズーカっぽい物を持っている。ちなみに右手でスピーカーみたいな筒を持って声を増幅している。流石に声量が足りなかったらしい。左手は着物の袖に隠れている。
「ボクが霊帝だ。君たちが敵視する帝都のトップだよ」
名乗りを上げて手をヒラヒラと振っている霊帝に焔が目をキラキラさせているが、魔都の連中は睨むだけで無反応だ。そんな魔都の兵隊の中からババアが出て来た。どこに居たんだよ……
「ふふっ、久しぶりだねぇ。糞ガキ」
「ああ、久しぶりだね。年増」
「歳に触れるんじゃ無いよ!」
「先に触れたのはソッチだ!」
何か子供の喧嘩みたいなんだが。
「再三に渡って君たちがボクの解任を求めていたことについてだけど、お断りだよ」
「懐妊って、レイちゃん妊娠してたの!?」
「解任違いだ」
「そんなわけで、君たち邪魔だから帰ってくれると本当に助かるんだ。はいバズーカ」
「はっ、こちらになります」
横に控えていた侍から霊帝がバズーカを受け取った。体格的にちゃんと持てないせいか先端を地面に置いて支えるように持っている。そしてたった今、左手で触れた。するとオリハルコンの義手が半液体状に変わりバズーカを飲み込んでいく。そうしてバズーカを完全に取り込んだ左腕は、身体に不釣り合いなほど大きい銀の大砲、アームストロング砲みたいになっていた。
「……本当にウチの技術者は訳が分からない」
「それも魔獣の力かい!?」
あ、バラした。帝都の侍たちは動揺しているが、霊士たちが何か言って治めた。
「いや、帝都の技術者が作った義手だ」
「そうかい…………は?」
「まあボクが魔獣だということを暴露してくれたお礼をしよう。はい、い~ち!」
何か軽く流して霊帝は背後の侍に支えられながら左手のバズーカっぽい大砲をぶっ放した。防壁を突破した魔都の連中の左側に着弾したが、ちょっと帝都の建物に被害が出た。壁に穴が開いている。初めて使うから狙いが上手くつけられないらしい。
「何て危ないものを使うんだい!!」
「人間が創ったものだ。君たち人間主義者には朗報だろう?」
「何て嫌なガキだい! 全軍進撃! 狙いは霊帝1匹! 他は知らん!!」
「君たち、ボクを守れ! はい、にぃ~!」
第2射は結構上手く狙えたようで戦車の大砲付近に着弾し衝撃で周囲の騎士たちが吹き飛んだ。ついでに雷狼が倒れた戦車の下敷きになった。もうちょっと戦車の重心低くしようぜ。
魔都の戦車は残り2台、両方とも霊帝に向けて照準をつけているようだが、片方の砲身の中に肉薄した侍が何か放り込んだ。その侍はその場で魔都の騎士たちに切り殺されたけど。
戦車の砲手は気にせず霊帝に照準を合わせてトリガーを引いたらしい。いきなり戦車が内側から爆発した。
「あら、あれが俗に言う『俺に任せろ。俺にできるのはこれくらいだから』ってやつかしら?」
「自己犠牲って人間特有だよねっ」
戦車は残り1台だが、そっちの周りには雷狼が居て侍たちは近付けなかった。そんな戦車は悠々と霊帝に照準を付けて発射、砲弾が霊帝に向けて一直線に空気を引き裂いていく。
「霊帝様! 伏せてください!!」
「盾部隊は!?」
「間に合いません!!」
「霊帝様あああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ああ、騒ぐ人間たちに落ち着いた様子の霊帝。そして正直今直ぐ逃げ出したい怒気を周囲に撒き散らす化け物。
【貴様等、レイに何をする!!】
はい、水龍さんの登場です。てか出待ちか? 出待ちなのか? 今の今までどっかで霊帝がピンチになるの待ってたのか? ドラマチックなタイミング狙ってほくそ笑んでたのか?
なんてしょうも無い龍だ。威厳も糞もあったもんじゃねえ。
「終わったわね」
「ああ、帝都は今日消滅するな」
建物の上からでも人間たちが怯えているのが分かる。というか俺たちもブルブルと体が震えている。出待ちしていたとはいえ水龍の怒りは本物だ。霊帝の前に浮かんで水弾を魔都の人間や魔獣たちに向けて乱射している。人間は避けきれずに高水圧の水に吹き飛ばされ、辛うじて直撃を避けた雷狼は着弾で飛び散った水の散弾に蜂の巣にされた。黒スライムも中から出て来ない程に細切れにされたようだ。
それでも生きてるババアは危機察知能力高いな。
「まさか龍を飼っているとはねぇ」
「飼っているんじゃない。友達だ」
あれを飼おうなんて自殺行為と変わらねえだろ。
「くっ! あれはまだかい!?」
「分かりません!」
「いや、来ました!」
おい、止めてくれ。本当に勘弁してくれ。ここは地獄か何かなのか?
空の向こう、雲の切れ目を切り裂いて、目視するのも困難な速さで飛んでくる化け物その2が見えた。緑の鱗に鋭い牙、蛇のように長い体の腹の所だけ少し出ているが、その速さは世界一と言われても信じるだろう。
多分妊娠しているだろう風龍が目を赤く光らせて帝都に飛んできた。
久々登場の風龍さん
さて、魔都の連中はどうやって風龍を支配したのでしょうか?
普通は黒スライム瞬殺されます
凍「その内種明かしするんだから問題にしなくて良いだろ」
花子「また雷ポイントとかつくんでしょうか?」
焔「凍ポイントが欲しい!」
雷「いくらポイント貯めても何もしないわよ」
ですよね~
では次回~