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15話 偵察

今回は非常に懐かしい面子が登場します

ついでにやっと戦争らしく敵の情報集めたりこっちの戦力整えたりが始まります


凍「戦争って情報戦も大事だよな」

焔「そうなの?」

雷「獲物の癖や呼吸を知っていると狩りが楽でしょう? 同じことじゃないかしら」

花子「戦争と狩りは同じでは無いような気もしますけど、気にすることでもありませんよね」


いや、気にしてくれ

では本お延どうぞ~

さて、本日は魔都が提示した霊帝辞任の期限の翌日だったりする。つまり今日辺りに魔都が何らかのアクションを起こすと思われるが、小細工とかはしない主義なのか滅茶苦茶分かりやすい行動に出ている。

帝都には馬に乗った魔都から数名の使者が来て、港に魔都の軍勢が到着することを告げた。何でもこの使者は数日前から港に居て今日になったら帝都に来るつもりだったらしい。

使者は魔都の戦力を正確には教えてくれなかったが魔獣を支配する術を持っていることと、今回は雷狼を10匹単位で連れてきていると言った。ちなみに俺たちは霊帝に許可を貰って謁見の間の天井裏に隠れてその話を聞いている。俺たち以外にも霊帝を守るためか忍者が数名控えていて面白い光景だ。だって天井に開いた小さな穴を必死に覗いてんだもん。


「凍、レイちゃんに何か酷いこと言ったら港に行ってこいつら燃やしちゃって良いんだよね?」

「違いますよ焔。手足を切り落として貼り付けにしておけば良いんです」

「どっちも違うからな」

「ともかく、雷狼がどれくらい居るのか見たいわね。黒スライムを用意していたらジャングルで戦力を補充されるなんてことも有り得るわ」


蝶王が敵になるとか、空飛ばれたら何も出来ねえんだけど。つまりさっさと港に行ってジャングルに先回りするかどうか考えた方が良いってことだな。


「じゃ、こいつらは霊帝に任せるとして俺たちは港に行って船の様子を確認するか。問題は雷狼が居るから匂いで俺たちが居たことがバレるってことだな」

「どうしたものかしら」

「凍の匂い~」

「私が魔獣の姿で風下に居ましょうか?」

「それが良いか……いや、目視されちまうか?」

「雷狼が居るのよ。視力は大体同じくらいだから見つかるでしょうね」

「つまり、どういうことなのっ?」

「手詰まりってことだ」


下手に俺たちが見つかると相当警戒されると思うんだよな。多分魔都で匂いを覚えられてるし。

あ、使者が港に戻るって帰って行った。ちなみに、使者は全員人間だったぞ。服装は騎士の礼服とでも言うんだろうか、何かお堅そうなやつ。

霊帝と話すために天井裏から降りるとやる気無さそうな霊帝が畳の上で肘掛けに体重を掛けている。今日が初めての調整の義手は不安なのか肘掛けは右側だ。オリハルコンの銀色が少しメタリックすぎて幼女の霊帝にはちょっと合わない。


「どうだったよ?」

「もうどうしようもないね。向こうはボクの辞任、というか帝都からの追放しか求めていないのにここに居る皆はボクが帝都に残ることを望んでいる。魔獣の操られていると向こうが言えば、それでも構わないとこっちが言う。完全な平行線だったね。ついでに周辺に住む魔獣をコントロールして人間に安全な地域にしてやるなんて言ってたけど、あれって黒スライムだったり雷狼による駆逐だったりするよね? 本当に馬鹿なんじゃないかな? 帝都は魔獣と共存する歴史を歩んでいるんだから急に魔獣を操るなんて反発が強いって少し考えれば分かるだろうに、本当に人間は独善的なんだから」

「レイちゃん、頑張ったねっ」

「ああ、焔。ありがとう」


苛々している霊帝を焔が膝立ちになって撫でてやると霊帝は焔に寄り掛かった。部屋に残っていた政治家たちは焔と霊帝の微笑ましい光景にホクホクしている。というかちょっと発情している。2匹は完璧に無視しているが。


「ああ、凍たちは港に行くんだろう? 別に雷狼に見つかっても良いから見てくると良いよ」

「あん? 大丈夫なのか?」

「別に操られた雷狼がいくら束になろうが関係無いんだよ」

「は?」

「いや、実はスイに話したら、ね?」

「ああ、魔都の勢力は終わったな」


真正面から力比べをしたら雷狼10匹くらいで水龍の力と見合うが、単純に水龍が空から水弾を乱射したら壊滅する。ライオンと蟻みたいな状態だ。巡航ミサイルVS歩兵でも良い。

あれ、俺たちが動く意味ってあるのか?


「何もしなくて良いんじゃね?」

「スイはボク以外はどうでも良いみたいだからね。ジャングルの連中が来ても容赦無く殺すと思うよ。だから守りたいものがあるなら今の内に守れるようにしておけってこと」

「あっ」


そうだな、ジャングルには花子の家族が居るんだよな。ジャングルを出た時に家族関係を切ってはいるが、それでも死んだら悲しいよな。

しかし、あの水龍本当にロリコンだな。多分霊帝が不在だったら帝都がいくら攻撃されても知らん顔してそうだ。


「あのっ、凍君。無理はしなくて良いですからね?」


さっき『あっ』とか言った奴が何言ってやがる。

仕方が無い、嫁のメンタルケアも夫の役目ですかね。


「見つかること前提で船の様子を見に行こう。海上なら雷狼は何もできないし花子の背に乗って人間以外の戦力をある程度観察、黒スライムとか雷狼がどれだけあるか確認したらジャングルに行って王様たちと交渉するぞ」

「でも、入れるかしら?」

「ああ、焔がジャングルの前で待っててくれるなら入れる」

「えっ?」

「何よそれ」

「どういうことなんです?」

「いや、ジャングル出る時に王様から言われた。焔が居ないのなら俺がジャングルに入るの我慢するって他の種族が言ってるらしい」

「私何もしてないよ!!」

「したわね」

「しましたね」

「してそうだね」

「えええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」


驚くところじゃないから、当然だから。自分の胸に手を当てて考えてみろって。

さて、行くか。




帝都から出て幻狼の姿で港に向かった。俺の上に花子、焔の上に雷が乗りダッシュ。ちゃっちゃと港町に着くと船はまだ着いていないようだった。1度町を出て花子が魔獣の姿に成り、背中に乗って海上に出る。

少し飛ぶと船が見えてきたので俺たちの視力で見える距離から観察開始。目が赤く光った雷狼らしき黄色髪の人型が10人、雷狼の姿が5匹。全員俺たちを見ている。人間たちも雷狼の報告で俺たちが居る方を知ったようだが、あの様子だと何か黒い鳥っぽいのが居るくらいにしか見えていないようだ。武器の射程も全く足りていないから攻撃もできないらしい。

黒スライムは見当たらないが、いざとなれば雷狼の体から乗り移れば良いだけだし15匹の黒スライムは居るものと考えて良い。

あ、人間の1人が船の中から黒スライムを4匹引き連れてきた。特に檻に入れたりはしていないようだ。

1つ気になるのは何か雷狼たちが怪我してんのと、氷狼とか炎狼が居ないようだ。雷狼を使って氷狼や炎狼に黒スライムを寄生させることも可能だと思ったし、何匹かは来るだろうと思ってたんだが、どうした?


「考えても仕方ないわ。ジャングルに向かいましょう」


そうだな。行こう。

若干ソワソワしている花子に気を遣った雷の提案でジャングルに向かう。この程度の距離なら花子は飛び続けられるが、ジャングルを刺激しないようにちょっと離れた所で降りて俺と雷は幻狼の姿に、焔と花子は人化した状態でジャングルに近付く。花子が向かい風を吹かせて俺たちの匂いをジャングルに送ってくれた。

ジャングルの真ん前までくると俺たちの匂いを察知していた狼や炎猿が警戒していた。特に焔を。コッチを見て何かボソボソ言ってる。


【あの炎狼ってもしかして】【ああ、息子たちが言ってる娘だな】【そんなに危険なのか?】【メスたちの怯え方を見ただろ。本物だ】【ああ、あれが天使か】【人間たちも可笑しな呼び方するよな】【本当だよ】


言いたい放題だな。

ジャングルの入り口でちょっと待っていると一際力強い気配が近付いてきた。

気配の元を見ると筋肉隆々の浅黒い体に蝶のような虹色の翅を生やしたブーメランパンツ一丁の人化した魔獣が現れた。

……相変わらずキツイ姿だぜ、花子の親父さんは。

向こうに合わせて人化し、正面から向かい合う。


「……凍君、だな」

「お久しぶりです、王様」


相変わらずのお姿ですね、とは言えない。


「……何をしに来た?」

「以前より更に危険な事態が、この大陸に迫っています。その報告と対処法について話に来ました」

「……花子と君だけ来なさい」


そう言って王様は背を向けてジャングルの奥に行ってしまった。


「焔と雷はここで待っててくれ。雷、焔が暴走しないよう見張ってろよ?」

「私暴走なんてしないもんっ!」

「分かったわ」

「雷!?」


騒ぐ焔の頭を撫でてから花子を連れだってジャングルに入る。薄っすらとしか覚えていない蝶族の住処まで歩く。時々王様の匂いや花子の案内を頼りに住処に着くと以前食事で使った円卓のような切株に王様、王妃、長男家族、次男とその嫁らしき人化した蝶族が座っている。

王妃に促されて以前俺が座っていた席に着くと渋い顔で王様が言葉を発した。


「では凍君、まずこれを聞きたい」


物凄い眼力で睨まれ少し委縮する。

相手は王族だ。氷狼と蝶族では氷狼の方が単純な戦闘能力は高いが、王様は刀を使った戦闘で俺を追い詰めたんだ。武器の性能差でどうにか引き分けに持ち込んだけど、やっぱあの筋肉の塊は怖いわ。


「花子とはどこまでいった」


空気が固まった。俺と花子の。他の連中は俺たちをガン見している。

いや待とうか。これは違うよな? 何かの間違いだよな? この状況で出てくる質問じゃねえよな!?

……もうやだこの家族。


久々登場の蝶族一家でした

相変わらず筋肉隆々でブーメランパンツ一丁の王様はビジュアル的にもキャラ的にも厳しいです


凍「お前が創りだしたキャラだろうが」


いや、色々な作品から影響を受けて生まれたキャラですよ?


雷「作者は無作為に小説を読むから変な影響受けやすいのよね」

花子「正直、振り回される私たちは大変です」


……僕の方こそヒロインたちに振り回されて困ることがあります

凍よりはマシですが


では次回~

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