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13話 賞品

やっと大会終了

ここから怒涛の戦争が、始まりません


凍「この感じ、毎度のことだな」

焔「いつも通りだねっ」

雷「新生活が始まる直前だというのに、呑気なものね」

花子「いつも通りですね」


では本編~

さて、色々と文句のある初代ゴーレムファイト王者が決定した。御存知我らが焔さんです!

今は表彰台に登って不本意そうな変態淑女からトロフィーを受け取っている。変態は悔しそうにしてるが焔は気付かず最前列に居る俺に手を振っている。焔の容姿に熱狂する男共だが、自然と焔が全く男たちに意識を向けないことに気付くと途端に虚しそうな顔をする。焔が天使だと気付きアイドルを前にしたような興奮を維持している男たちは素直に凄いと思う。

さて、ここで景品の贈呈の時間だ。今にも血涙を流しそうなほどに歯を食いしばった変態が音増幅筒に繋がれたマイクにヤケクソのような声を叩き付ける。


「では、チャンピオンホムラ! ずばり、あなたが敗者に求めるものは一体何ですか!?」


建前の褒め言葉すらすっ飛ばした質問に侍たちは嫌そうな顔をしているが帝都民に気にした様子は無い。むしろ焔の願いが気になるようで耳を瞬かせている。


「えっとねっ、凍!」

「はい!?」


ここで来たかっ?


「終わったわね」

「終わりましたね」

「君らは夫のことを辱めたいのか?」


本当だよ! 何でこの嫁たちは俺を危険地帯に送り込むのが得意かねえ!?


「あ、後でね!」

「いやいやいやいやいやいやいやっ!! ここで言いましょう! ここで言いましょうよ! さあ、さあっ、さあさあさあっ!」


おい消えろ変態! 折角焔が後でと言ったんだから今は放っておけ! そうすれば俺がハッピーだから! 俺が今は平和だから!


「と言うか、お相手はやはりコオルさんなのですね?」

「うんっ!」

「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああっ!!」」」


焔の素直な肯定に帝都民が絶叫した。何が笑えるって女も絶叫しているところだ。ちなみに、最前線で絶叫しているのはオッパイ研究会の連中だ。誰が見ても駄目人間だと断言できる連中だが、こいつらの絶叫には切実さを感じる。人間と魔獣という違いはあるが、連中の美少女に対する執着心には脱帽ものである。尊敬する価値は無いと思うが。


「凍、行こっ」


トロフィーを適当に投げ捨て表彰台から飛び降りて俺の手を取った焔はスタスタと中央広場から帝宅に向かって歩き出してしまった。あまりにも当然のように動くので誰も反応できず、インタビューするため記者が焔の前に回り込もうと足を動かしたのは焔が人だかりを抜けてからだった。


「ホムラさん、優勝したお気持ちはいかがですか?」

「邪魔」

「え?」

「どいて」

「……はい」


頑張って焔の前に立とうと回り込んだ記者たちはあまりにも冷たい目と声に戸惑いスゴスゴと下がって行った。そりゃそうだ。雷と花子はいつの間にか人混みを脱出して俺の横を並んで歩いている。


「凍が居る時の焔は本当に人避けに良いわね」

「鬱陶しいインタビューをされなくて済みました」


後ろで記者たちがダメージを受けている。良いぞもっとやれ。

さて、人間たちは焔の威圧に追えなくなってしまったようで何の障害も無く帝宅に到着した。そらもう嫁たちの暗い笑みが心の底から不安になるくらい何の障害も無かった。


「正直、障害があった方が燃えるわ」

「凍と私の間を邪魔する奴は全部殺す」

「……うふふ」


ああ、危険な奴らしか居ないんだった。

帝宅に戻った俺たちだが、入った瞬間消えた花子が玄関を抜けた俺たちを待ち受けていた。椅子と手錠×3を持って。


「いや待て。椅子のことはこの際だ、聞かない。だがその手錠は一体なんだ?」

「決まっています」

「凍はケダモノ、それが答えよ」

「さあ、凍! 縛られて!」


いやいやいやいやいやいやっ、色々と待てよ! 何で手錠なんだよ! 3つって何だよ! 別に3つも要らないよな? 1つですら必要無いよな? まず拘束っていう手段を思いつくなよ! 夫を拘束って野獣系プレイでもするつもりか!? それともヤンデレらしく監禁するつもりか!? そんなキャラは焔だけにしてくれ!! おい花子、そのハンカチは何だ口元に当てるんじゃねえ!!


「さっ、凍!」

「痛たたたたたたたたたたっ!」


ちょっ、氷狼は幻狼の中でも1番筋力無いんだから手加減してくれ! そしてハンカチは痺れ粉かよ!!


「だって、弱くしたら逃げちゃうでしょ?」

「焔、そのまま拘束しておきなさい」

「おい止めろ足を固定するな!」

「凍君、良い子ですから暴れないでくださいね。次はもっと強いのにしちゃいますよ?」

「何で俺が聞き分けの悪い子みたいになってんだよ!?」


雷狼特有の凄い力で足を無理矢理椅子に近付けられ、花子が一瞬で手錠を掛けた。椅子の脚は補強で各脚が繋がっているタイプで、花子はその補強に引っ掛かるように手錠を掛けやがった。力任せに足を動かしたら椅子を破壊できるだろうけど、その後の嫁たちが怖すぎるので強行策に出れない。これって尻に敷かれてるんだろうか? しかも粉が効き始めて力が入らない。

3匹とも徹底的に俺を拘束するつもりのようで手錠によって両手を椅子の後ろで固定された。


「手錠、冷たいな」

「駄目ですよ、私だって耐えたんですから」

「冷たかったよね~」


あ、経験済みなんだな。そして本格的に動けない。筋力では焔と雷に負け、抵抗は花子の痺れ粉で防がれる。この状態でどうしろってんだ?


「縛り付け終わったわね」

「動けない凍~」


ああ、焔さん輝いていらっしゃる。足の間で膝ついて太股撫でるんじゃありません。

後ろからは花子が弱く抱きしめてきた。


「久しぶりですね、凍君を襲うのも」

「自覚してるなら止めようぜ?」

「駄目ですよ、こんなに興奮してるんですから」


耳舐めるんじゃありません。ぐおっ、舌が耳の中を動き回る。

焔は本格的に愚息に手を伸ばし始めたし、ミニスカ和服は前がはだけている。


「凍、そろそろ観念してちょうだい」


ああ、目の前に雷狼の皮被った蛇が居る。




翌朝、椅子の上で目が覚めた俺は足元の嫁たちを見て頭が痛くなった。服着ろよ。そして手錠を外してくれ。右足だけ外れてるけどさ。


「おい、誰か起きろ。そして手錠を外してくれ」


俺自身も和服が脱げかかっているし体中に雷持参の鞭の痕がチラホラ。

しかし凄い匂いだ。人間が掃除に来たら何があったか直ぐに察しそうだな。服は霊帝に頼んで貸してもらわないと。

どうにも起きる様子が無いのでガタガタと椅子ごと横向きで背中を向けている焔の真横に移動する。何とか右足で肩を揺すると寝返りを打って顔が見えた。涎を垂らして幸せそうに寝てやがる。だから起きて手錠外してくれ。

焔の横に倒れてる仰向けの花子、同じように肩を揺すってみると何やら寝言を言った。夢の中の俺は未だに縛られているらしい。起こしても碌なことにならない気がした。

諦めて少し離れている雷の所まで移動、こいつは手に鞭を持っているので右足を駆使して没収した。その後は同じように肩を揺らしたんだが、やっぱり起きる気配が無い。ニタニタS笑いしている辺り花子と似たような夢を見ているみたいだ。

焔の横に戻り、もう1度肩を揺する。幸せそうな顔でモニョモニョ口を動かすだけだ。こいつ、起きてないか?


「おい焔、今直ぐ起きたらデートに行くぞ」

「さ、お着替えしなくちゃっ。レイちゃんにデートしてくるから邪魔しないでって言わないとねっ」


やっぱり起きてたな。目を擦ることなく即行で起きて俺の手錠外して着替え始めやがった。


「焔」

「なぁに?」

「起きたらデートすると言ったな、あれは嘘だ」

「えええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」


「何です焔、朝からどうしたんです?」

「もう、騒がしいわね」


焔の絶叫に目を擦りながら雷と花子が起きた。起床の時間はとっくに過ぎてますよ~

手錠が外れたことで自由になれたので、まずは家に備え付けの箪笥から予備で置いてあった和服を適当に取り出す。模様は縦縞で汚れた自前の和服に凄く近い。後ろでは焔が『嘘吐き~』と騒いでいるので、他の段から元々焔が着ていた服に近い和服を探し投げつける。


「昨日散々玩具にされたんだ、これくらいは我慢しろ」

「ぶぅ~」

「自由になった途端に悪魔のような所業、良い御身分ね」

「鞭を携行してるような非常識さんに言われたくねえ」

「私とデートしましょう!」

「薬に手錠を捨ててからな」

「うっ」


捨てれないのかよ。まあ薬は無理だと思うが。


やっと帝都での茶番回が終了

これから裏で色々動いていた魔都や王子が表に出てくる予定です


凍「予定な」

花子「予定ですね」

雷「ある意味フラグなのかしら?」

焔「凍都のフラグ……」

凍「もう回収終わってるだろうに」


では次回~

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