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10話 手紙

予定では最終章の折り返し地点に達しました

あと10話で……終わるのでしょうか?


凍「いや、終わらせろよ。何で作者のお前が話の進み具合を疑問視してんだよ」


いや、だって僕の予定が計画通り進んだことなんて数えるほどですよ?


凍「見通しが甘い」


……何で自分の生み出したキャラクターに説教されているんでしょう?

では、本編どうぞ~

霊帝に危機が迫っているかもしれないと思って暴れる水龍、しかし俺以外にも水龍の殺気と動きに反応した焔のお陰で場が和んだ。


「別に和んだわけじゃないと思うわ」

「焔に関しては今更気にしたら負けですよね」

「……この動きが今更で済まされるのだろうか?」

「凍たちは変な所に首を突っ込んでいるからね」

「別に好き好んで首突っ込んでるわけじゃねえぞ」

「そうだよっ。凍はいつだって自分に都合の良い展開になるように頑張ってるだけだよ!」


何だろう、フォローされた気がしない。

俺たちが騒がしくしていると森の奥から懐かしい面子が近付いてくるのが分かった。銀髪の男の娘、ギンガとその義母?恋人?のスバルが近付いてくる。ギンガは手ぶらだがスバルは背中に薙刀を持っている。


「騒がしいと思ったら、あなたたちなのね」

「久しぶり」


それぞれに挨拶をした森暮らしの2人、だけど腰を見ると2人して水ゴーレムの水筒と魔石を持っている。森に住んでいる割に文明に毒されてんな。俺たちが言えた状態じゃねえが。

ギンガたちが来たことで少しだけ落ち着いた水龍とギンガ、スバルを交えて黒スライムと向こうの大陸のことを話す。


「で、人間が雷狼を操って人化できることを暴露してな」

「雷狼なんて倒せるのかしら?」

「母さ、スバルの敵なら倒すよ」

「レイに危害を加えるものは全て滅ぼせば良い」


なんて過激な連中だ。そしてギンガはスバルを名前で呼ぼうと頑張っているみたいだ。その努力を見てスバルはニコニコと楽しそうに頭を撫でているが。

ちなみに、霊帝は焔の膝と水龍の膝に半分ずつ座っている。俺、焔、水龍の順に座っているせいで水龍が近くて非常に怖い。もうさっさと逃げ出したい。

一通りの報告を終えると水龍もギンガもスバルも自分には関係無いみたいな反応で特に危機感を抱いている様子は無い。でもギンガとスバルは危機感を覚えろと言いたい。もし魔都の連中がギンガを危険視したら不味いことになるのが分かってんだろうが。

ともかく報告は終えたので話は終わりだ。その後は、何故かギンガやスバルとゴーレムバトルをすることになった。まあ、サシの勝負なら勝敗は五分五分だったよ。困ったことにスバルが雷と同じで集団戦が強過ぎた。揃って乱戦と奇襲が得意で本当に勘弁して欲しい。しかもギンガはスバルを守るために無茶な動きをすることもあって動きが読めなくなるし、触発された焔と花子が俺を庇うように動くから雷とスバルに利用されて常時乱戦状態に持ち込まれた。本当に雷とスバルは性格悪いな。


遊び疲れた俺たちは帝都に戻り、ギンガとスバルも家に戻り、霊帝と離れることに非常に残念そうな水龍は湖に戻って行った。

帝宅に帰ってきた俺たちは魔都に居る霊士から手紙が来ていることを侍に聞いて霊帝の部屋で手紙を読むことにした。

まずは霊帝が横に折りたたまれた手紙を開き、縦書きの文章を開いた。

内容は魔獣の人化能力に対抗するための会議で魔都に拘束されていること、手紙を出すような最低限の自由は保障されているが魔都の外に出ることが難しいこと、最後に霊帝の身を案じた文章が書かれていた。手紙の中身をチェックされる可能性を考慮してか霊帝が魔獣だということは書かれていない。霊士は霊帝の信頼通り能力は高いみたいだ。


「これで魔都の危険性が現実味を帯びてきたね」

「面倒なことだ」

「君が原因だろう!」

「凍は何もしてないよっ」

「そうね。図書館に忍び込んだり、会議場に忍び込んだり、魔都の人間を挑発したりくらいしかしてないわね」

「全部凍君の提案でしたね」

「やっぱり凍のせいじゃないか!!」

「図書館も会議場も壊したのは私だもん!」

「発端は凍だったわね」

「凍君でしたね」


駄目だ、否定できない。でも魔都の連中は最初から魔獣の力を暴露するつもりだったし俺のせいだなんて言い切れないと思うんだけどなぁ……


結局、霊士からの手紙にどんな返事を返そうか悩んだ俺たちは後で考えようという結論に至ってその日は寝た。

そして翌日、俺たちは変態淑女がイベントを主催していたことを完全に忘れた状態で目が覚めた。そのことを後悔したのは俺たちがご飯、納豆、味噌汁という非常に和食な朝食を食べている最中だった。

鞘に収まった刀がカチャカチャした音と共に霊帝の部屋に誰かが激しい足音を鳴らして近付いてくる。何でか知らないか非常に焦った息遣いも聞き取れる。うん、嫌な予感しかしねえな。


「霊帝様! 大丈夫でしょうか!?」

「ああ、何かな?」

「ナナ様のイベントが始まりました!」

「……内容は?」


霊帝はこれ以上無いくらいに嫌そうな顔で静かに訊いた。顔が凄い嫌そうだ。


「内容は、帝都内でゴーレムによるバトルロワイヤルです。最後の最後まで戦って戦って戦い抜いて、勝ち残った最後の1人が優勝者となり、景品を手に入れます」


何が駄目なんだ? 帝都の生産力が一時的に下がる気もするが、娯楽を提供すること自体は悪くないと思うんだ。

……あの変態が普通のイベントを考えるとは思えない。霊帝が気にしているのはそのことか!


「多分、ナナが確実に勝つ方法があり、尚且つナナにとって嬉しい景品が用意されているんだ。彼女が全てを考えたのか、それとも誰かの案に乗ったのかは分からないが、これは確実だ」


なんて予想できる展開だ。


「それから、魔都キャトルミューティレーションからのお手紙です」


侍の手にはインクで封をされた少し分厚く膨らんだ封筒があった。差出人はキャトルミューティレーションの代表者、元歌姫だって振れ込みのババアか!

手紙の内容は霊帝のみが読んだ。俺たちには関係ない内容、というわけでもないと思う。

読んだ霊帝は一瞬だけ嫌そうな顔をしたが、手紙を机の上に置いた。別に読んでも良いということらしい。

手紙を手に取ってみると中には色々と面白いことが書いてあった。

霊帝の正体は霊竜で魔獣が人間を支配するなんて鬼畜な所業であり、それを見過ごすことはできない。人間の国で連合を組んで霊帝を排除し、帝都を人間の国に戻す。そして現在、霊士は霊帝に洗脳荒れた哀れな被害者として今回の件は一切知らされずに人化する魔獣の対策会議に出すことで拘束していることが書かれていた。手紙くらいは自由に送っても良い状態ではあるらしい。


「好き勝手なことを言ってくれるね。この帝都は初代から霊竜が代々帝を務めているというのにさ」

「そうなのか?」

「そう。力を求めた人間がある意味で友好的な能力を持っている強い魔獣、霊竜と契約を交わすことで自分の住処を守るつもりだったのさ」


ああ、前に似たような話しをボソッと漏らしていた気がする。ちなみに侍は霊帝が霊竜だってことも歴代霊帝が全部霊竜だってことも知っているらしい。

でもこの手紙だと、魔都の連中は霊帝が帝を止めて人間の街から離れれば何もしないと書いてある。執行猶予は今日から2週間。もしそれまでに霊帝が帝都から出なければ霊帝を排除するために実力行使に出ると書いてある。分かりやすいな。


「まあ、今は何にしてもイベントに勝ってナナの野望に打ち勝たないと! で、景品ってなんなんだい!?」

「……自分が倒した相手に何でも言うことを1つ要求できる、です」

「「あの馬鹿女ああああああああああああああああああああああああああああ!!」」

「凍に何でもできる!!」

「どう遊ぼうかしら?」

「凍君を玩具にできます!!」


コイツらあああああああああああああああああああああ!!


「イベントの開始時刻は1時間後、参加者は今日1日帝都の中で玩具ゴーレムを持っている人全てです」

「本当に無差別だな!!」

「凍を倒してから身体能力全開で人間の来れない場所に移動っ、いくら人間が躍起になって勝負を挑めない場所で数が減るのを待って少しずつ数を減らす! 敢えてゴーレムを殺さないで囮に無理矢理止めを刺しに来た馬鹿を攻撃、奇襲と罠で確実に殺す。確実に減らして減らして、最後の最後に残った人間を屠って終わり! 看護婦になんて絶対に負けない。絶対に私が凍を自由にしてみせるもん!!」

「……凄いわ」

「本当ですよね」


……あれ、いつもと変わらない気がする。


霊帝「手紙って、もっとこう他にあるだろう? スイからの練習手紙とか、スバルとギンガが惚気た内容とか」


この小説にそんな甘酸っぱかったりウザかったりする手紙はありません


霊帝「書けよ!」


君だって凍たちに妙な手紙を出していたでしょうがっ


霊帝「あの時は必死だったんだよ!!」


てなことで、今後の帝都と魔都の関係をお楽しみください~

でもその前に、ゴーレムを使った大会です

では、次回~

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