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7話 上陸

戦争編と銘打っておきながら戦争の気配が無い今日この頃、如何お過ごしでしょうか?


凍「いや、早く戦争に持って行かないのはお前だからな」


いや~、下準備は必要でしょう?

では、本編どうぞ~

シスターの結婚式を色々と堪能した俺たちはホテルに1晩泊まって翌朝隣の大陸に向かう船に乗った。

シスターには早く行ってしまえ的なことを言われたが、まあ宴会であれだけシスターの乙女姿を暴露すればねえ? 熱血戦闘員と話したいのに緊張して何も言えなくなったとか、実は何を話そうか悩んで焔と雷と恋バナに走ったとか、旦那や街の人の前で話されたくねえよな。

熱血戦闘員はまた会おうって言ってくれたのに、肝っ玉の小さい女だ。


「凍、シスターに肝っ玉は無いよ」

「あ」


別に意味が通じないわけじゃないから良しとしよう。気にしない気にしない。

大陸を渡った船を降りる。実は花子に攫われた時と船長が同じで俺のことを見てかなり驚いていた。何で生きてんだって顔されると少し傷つく。

船長の視線を無視して港街を出る。ジャングルのすぐ横を歩いて移動すると非常に多くの魔獣たちが俺たちを観察している。特に焔を怯えたような目で見ている。焔がナマハゲのような伝説になるのもそう遠くない未来のことかもしれない。

嫁がナマハゲ……そんなメスを選んだ俺の趣味って……


「凍が何か酷いこと考えてる!」

「断言されただと!?」

「大方、焔が怪談になる日が近いとでも思っていたのでしょう」

「俺はそんなに顔に出てますかねえ!?」

「もうバッチリ出ていましたよ?」

「フォローすら無いのかよ!?」


騒がしくはあるが順調に帝都に進んだ俺たちは大陸を渡って2日目の3時ごろに帝都に着いた。何か完全に俺たちの拠点と化している気がしてならない。こういうのって最初に行った街が拠点になるんじゃないのか?

まあ気にしても仕方が無いので帝都に入都する人間を管理している侍に身分確認をしようとしたら、何か『少しお待ちください』って焦った様子で帝都の中にダッシュ。隣の侍が俺たちを詰所でもてなしてくれた。どう考えてもVIPに出すような高級で美味い茶と菓子が出てきて同じように『少しお待ちください』だとさ。

言われた通り中々大感じのソファでノンビリ雑談して待っていると外から子供の声とトタトタと走るような軽い足音がした。ちょっと足音のバランスが悪いのは体のバランスが悪くて片方に体重が乗っているからだろう。そしてノックも無しに扉がバーンと開かれ、外から白い少女が一直線に焔に飛び込んで来た。

まあ、普通に霊帝のことだ。


「レイちゃん久しぶり!」

「焔、久しぶりだなっ!」


前にも見たような焔と霊帝の美少女美幼女の触れ合いに懐かしさを感じながら霊帝の左腕を見る。未だに左腕の義手の目処は経っていないようで痛々しい姿なのは変わらないが、非常に水龍の匂いが濃い。

よく会いに行っているようだが何かそれにしても匂いが濃いな。よっぽど密着していないとこんなに匂いは付かないが……ああ、あいつロリコンだった。


「今回は長く居られるのか?」

「そのつもりだが、ちょっと困った話があってな」

「……凍の良くない話は本当に良くない話のことが多い」


酷い言い草だ。俺がいつも良くない話を持ち込んでいるかのような言い方じゃないか。


「焔は良いんだ。でも凍が関わると僕の帝都脱出計画は失敗したし、変な看護師コンビには関わることになるし、スイからは妙なメスの匂いがするし!」


スマン、確かに俺のせいだな。てか本当に全部俺のせいで笑いが込み上げてくる。霊帝の計画を全てパーにしてるのって俺なのな。

何とか霊帝を宥めすかして帝宅へ向かう。

帝都の大通りを堂々と歩く俺たちはかなり目立っている。霊帝に帝都を救った天使にと濃い面子が集団で動いていれば注目もされるか。帝都では俺たちもことを直に見て知ってる奴も多いから注目度が段違いだ。

そんな中で子供たちが遊んでいるのを見つけた。向かい合って何かを言い合っているが険悪な雰囲気ではなく、何か人間時代の対戦ゲームを思い出す言い合いに聞こえる。

見れば何か青いズングリとした人型の小さいモノ同士が戦っている。その人型に指示を出しているのが子供たちのようだ。水の人型の中に魔石があり、子供たちは腰に魔石を嵌められるようなホルダーを持っていてついでに水筒も持っている。人型は塩水の匂いだが、これは海水だな。

見れば霊帝も同じものを持っているし街の子供たちは大体持っているようだ。

てかあれってオッチャンの水ゴーレムじゃねえか?


「なあ、霊帝。あの水ゴーレムってキスタニアの技術か?」

「あれ、凍は知ってたのかい? この前王子が来た時に一緒に来た武器職人の技術をボクたちなりにアレンジして玩具にしたのさ。帝都ではかなり人気の玩具でハワイアン民主国でも発売されているよ」

「ああ、あの遊園地な。しかし、これって防衛兵器じゃなかったか?」

「楽しければ何でも良いのさ」


真理だな。


「帝宅に試作品が余っているからあげるよ。対戦してみよう」

「やろうやろうっ」


嬉しそうに飛び跳ねている焔と霊帝、同年齢にしか見えないが、これでも6歳差です。


「行っけえええええっ!」

「ここは守り抜いてっ!」


何やら熱い戦いが繰り広げられているが、まあゴーレムが大人の膝にも届かない高さしかないから周りに被害は無いみたいだ。ついでに壁に当たったりすると硬さが無い普通の水になるみたいで傷1つついてない。でもゴーレム同士での殴り合いでは普通に硬いままのようで面白い。


「何見てるの。置いていくわよ」

「ああ、直ぐ行く」


久々に来た帝宅は相変わらず無駄に敷地が広くて敷地内を侍たちが警備している。が、過剰な人数ではなく、ちょっと少ないと思うくらいだ。まあ霊帝が居れば索敵は完璧だから納得の人数だけどな。

霊帝の本音的には抜け出すための少人数制なんだろうな。


「おっかえりなっさぁぁぁぁぁぁあいっ!! 霊帝様私と離れ離れで寂しくなかったですか私は寂しかったです毎晩毎晩霊帝様のこと考えると切なくなって自分で自分を慰めるのが日課になってしまいましたよもう霊帝様無しでは満足できない体になっちゃいましたよ責任取ってくださいね!!」


霊帝の部屋に向かう途中、白衣を着た小さい少女が霊帝に一直線に飛び込んで行き、避けられ顔面から壁に突っ込んだ。普通なら鈍く痛い音がするんだが、白衣の少女は顔面から壁に突っ込んだのにヌチャッと粘度の高い水のような音がした。見ればスライムが白衣の中に居て、それが少女の姿に戻っていった。

ああ、あの変態淑女か。腰に水ゴーレムの玩具を提げているな。


「あ、霊帝様。私面白いイベントを考えたんですよ。もう準備は済んでるんですっ」

「何だろう、嫌な予感しかしないよ」

「そうか? 面白そうじゃないか?」

「君みたいな快楽主義者には分からないだろうね」


酷い言われようだ。俺は快楽主義者じゃなくて合理主義者だぞ。

何とも言えない空気が霊帝と変態淑女の間に流れているが、以外にも変態淑女が下がった。客が居るのだから自分が遠慮するのが大人の対応だと気取って去って行った。イベントは明後日でそれまでは秘密らしい。侍たちにも口止めが回っているので聞いても無駄だと理解した。

変態淑女、帝宅内の世話役女たちと色々とイケナイ関係で情報網があり男共の秘密を握りまくっているらしい。女って恐ろしい。

霊帝の部屋は前に来た時よりも小物が揃っている。霊帝も女の子らしく色々とお洒落をしたい年頃なのかもしれない。何せ水龍の鱗が机の上に置いてある。あ、霊帝の部屋は江戸時代とかの貴族みたいな畳の部屋だぞ。

俺たちを部屋に案内した霊帝はタンスから水ゴーレムの1式を4組取り出した。何故そんな丁度あるのかと言えば、俺たちが来た時用に用意していたらしい。

何か友達を作りたい子の努力みたいで涙ぐましい。焔は素直に礼を言って霊帝を抱きしめて頬擦りしている。百合好きには堪らない絵となっております。俺はノーマルだがな。

早速水ゴーレムの玩具で焔と霊帝が戦ってみることに。戦い方に慣れたらバトルロワイヤルをすることになっている。指示は相手にも聞こえてるから如何に単発で連続して指示を出して相手に対応させないかが重要かもしれない。問題は雷が異常にその辺上手そうなことだな。Sキャラって相手が嫌がることを考えるの上手いんだよ。


「ふふっ、ボクは経験者だし、ここは勝たせてもらうよ!」

「負けないからねっ!」


霊帝が魔石を床に置いて水筒の出し銀の魔石に掛けると床に落ちた水は同時に人型になって床の上に立った。焔も真似すると焔の前に赤い魔石の水ゴーレムが生まれた。

実は俺たちにちなんだ魔石を選んだみたいで本当に霊帝の努力が涙ぐましい。

さて、どんな戦いになることやら。


友達を作りたい魔獣は玩具を作りました

玩具が欲しい子供たちは魔獣と友達になりました

友達ができた魔獣は嬉しくて玩具を作ることを忘れました

子供たちは玩具を作らない魔獣の友達を止めました


ここまで考えて鬱になって書き直しました


凍「その話が世に出回らなくて良かった」

焔「レイちゃん可愛い!」

雷「まあ、焔なら玩具が有ろうと無かろうと同じだと思うわ」

花子「これは尊敬するところなのでしょうか?」


さあ?

では次回~

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