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3話 会議

いきなり2連戦の最終章でしたが、ここからは普段通りのラブコメ?です


凍「何で?ついてんだよ」


いや、結婚しちゃってる場合ってラブコメになるのか疑問なんです


凍「あ~、恋愛モノって恋人になるまでが物語で結婚してる場合ってあんまねえよな」


だからこの作品ではラブコメと言うのかどうか悩んでいます

では、本編どうぞ~


魔都を脱出し王都に到着した俺たちは直ぐに宿を取って休んだ。実は王都に着いた時にはもう夕暮れで宿を取って直ぐに日が沈んだ。晩飯は宿の食堂で適当に食ったが、疲れていたせいで味が分からなかったのが不満だ。

で、翌日の朝だ。宿の部屋には簡単なキッチンがあったので朝飯の食材を市場で買ってきてから会議をすることにした。


「これからどうしましょうか?」

「あれだけの雷狼が居たんですし、雷狼の村は本当に黒スライムの手に堕ちたんですね」

「オジサンの火加減、難しい」

「どうにかして氷狼と炎狼に伝えないとな。一応は森の頂点に近い種族だし」


俺、雷、花子の3匹は部屋の4人掛け机で話し合い、焔は朝の市場で肉と野菜を買った食材で簡単な串焼きを始めた。

流石に魔都の人間たちに氷狼村と炎狼村が支配されたら風龍も苦戦すると思う。

あ、どれか1つの村なら駆逐できるはずだぞ。でも雷狼の村も合わせて3つの幻狼の村が束になったら3割くらいの確率で負けるかもしれない。

そうなると他の魔獣たち、最終的には俺たちにまで被害が来るかもしれないから止めたいだけだ。


「どうしたら良いのかしら。もう凍も焔も村には戻れないでしょう?」

「ああ。最悪の場合、黒スライムではなく焔が全滅させかねない」

「凍君に危害を加える相手を焔が許すとも思えないからですか?」

「……燃える村を背景に笑顔で振り向く焔が幻視されたわ」

「雷、痛み止めの粉ならここにありますよ」


礼を言って花子から頭痛対策に痛み止めを受け取った雷と一緒に溜息を吐いて話し合いを続行、しようと思ったが焔の串焼きが完成したようで朝食にすることになった。


「あのオジサン凄いねっ。全体に均等に火を通すんじゃなくて部位ごとに火加減を調整してた。野菜と肉が同じ串に刺してあるのにどうやって調整したんだろう? 人間に熱をコントロールする能力なんて無いよね?」


単純に炭火の火力を見極めるのが上手いんだろうな。職人技ってやつはいつだって理解できないものだ。


「でもあの火加減は少し練習すれば覚えられそうっ。待っててね!」


なんと健気な嫁だろうか。これでヤンデレが無ければ理想的なのだが、ヤンデレが無いと戦力として切り札にならないというジレンマ。

まあ普通の状態でも充分強いんだが、やっぱり昨日みたいな強敵相手だとヤンデレパワーは必須なんだよ。見ていて精神がガリガリ削られるけど。

焔の串焼きは火加減が不満だと言う割にはかなり美味い。丹精込めて肉にも火加減にも拘った珠玉の1本、肉は舌の上で溶けるような柔らかさなのに噛んだ感触がシッカリとしていて、しかしネギにはシャキシャキとした食感が残っている。ネギの辛味と甘味が絶妙な火の通り方だ。肉汁のこってりとしたしつこい旨味が野菜のサッパリとした甘味で上手い具合に抑えられている。


「やっぱり焔の料理が1番ね」

「でも肉の火加減がオジサンの味に遠い……」

「これでですか?」

「焔は色々とストイックだからな」


美味しく朝食を食った後は少しグダグダ休憩して話し合い再開。褒められ顎を撫でられた焔は俺の膝を枕にして寝ている。これってオスがメスにしてもらうんじゃないの?

猫を撫でている気分で焔を撫でながら会議を再開。雷は特に気にした様子も無い。花子は少し羨ましそうだから後でやる。


「さて、これからどうしようかしら? 氷狼も炎狼も爪での攻撃が得意だから黒スライムには有効な攻撃ができるでしょうけど、雷狼以外の魔獣まで押し寄せたら数で負けるはずよ」

「風龍は幻狼と正面から戦わないで空から風の鉄槌で砲撃すれば森の魔獣は全部駆逐できると思いますけど、そこまですると思いますか?」

「……妊娠していたら飛行能力に制限が付くはずだ。風を操るのも年と妊娠で限界があるはずだしな」

「こんな時に妊娠だなんて、めでたいわね。あの時は妊娠していたの?」

「水龍紹介したら拉致ってきて逆レイプしてた」

「凍君、紹介する相手は選びましょうよ」

「いや、婚約を認める条件が『自分の番になれる相手を紹介しろ』だったんだし仕方ないだろ」


あれはかなりの無茶振りだった。どうにか躱したけど、村の外に出なかったら無理だったな。ともかく、俺の紹介で風龍は恐らく妊娠するまで水龍を搾り取ったはずだ。

……俺って帝都に近付いたら水龍に殺されるんじゃないか?


「最低限の身の安全を確保するには、やっぱり相手の精神に干渉できるレイちゃんの近くが良いんでしょうか?」

「そうね。霊竜なら黒スライムに対抗する手段があるかもしれないわね」

「いや、帝都に行くのはちょっと」

「水龍に殺されるかしら?」

「凍君、やってることが裏目に出てませんか?」


実に正論です。何も言い返せない。


「でもレイちゃんに頼んでスイさんを説得すれば何も問題無いと、信じましょう」

「最後に自信無くしたわね」

「あ、諦めたらそこで試合終了ですよ!」

「諦めろ、試合は終わってる」

「そうね、既に終わってるわ」

「凍君も雷もネガティブですぅ~っ!!」


頭を抱えてしまった花子を軽く撫でながら茶番を止める。流石に雷とアイコンタクトで花子を弄るのは楽しい。


「でも向こうの大陸に行くのは良い案よね」

「こっちの大陸は全体的に人間が野蛮だからな」


霊竜の影響かもしれないが、向こうの大陸は魔獣の生息面積が広い。こっちの大陸は俺たちの出身の森と廃都市くらいだ。割合で言えばこっちの大陸は4割で、向こうの大陸は6割。大陸の大きさは地図見ると同じくらいだったな。

茶番を終えたのは良いが、どうしたら良いのかは分からないのは変わらない。帝都に逃げるならせめて魔都に対して手を打っておかないと危険だ。魔獣を使って侵略を開始しないとも限らないしな。

俺たち以外に事情を知る魔獣が居てくれて氷狼や炎狼の村に警告してくれれば良いんだが下手に力のある魔獣だと警戒されて話ができないし、弱い魔獣は森で即死するし……あ。


「よくよく考えたらゴブリンに雷狼の村や昆虫が人間に支配されたって伝言すれば森に広まるじゃん」

「そんなに広まるの?」

「少なくとも私や凍君は3日おきにゴブリンと情報交換をしていましたよ」


意外と頻繁に行かないとあいつら忘れるんだよ。


「何だかんだで情報は生命線だからな、今回みたいな危険な情報は直ぐに広まるはずだ」

「じゃあ、ゴブリンたちを通じて森に情報を広める、で良いのかしら?」

「今思いつくのはそれだけだな。他に何かないか?」


雷も花子も考えてくれたが特に思いつかないみたいだ。直接氷狼の村に行くという案もあったが、流石に村を離れた俺たちが近付いたら騒ぎになるので満場一致で却下された。あ、焔は除く。

しかし消極的な案しか無いのが悲しい。頭脳派主人公ならこんな時に妙案を思いついて事態をパパッと好転させるんだろう。だがしかし、俺はゲームはレベルを上げて物理で殴り飛ばすタイプの脳筋だったのだ!


「基本的に私たちに頭脳労働なんて向いてないのよ。そんなのは頭脳派の誰かに任せておけば良いわ。きっと物語の主人公ばりのご都合主義的ゴブリンが何とかしてくれるに違いないわ」

「そうだな、王様に伝言で森の魔獣たちに情報を広めるように頼めば良いだろ。そのまま都に行って、船で向こうの大陸に行けば良い」

「凍君も雷も獣任せは良くありませんよ」


花子が何やら正論を言っているようだが、ここで問題です。

妙案を出せずに危険な状況に陥っているのは誰でしょう?


「さっ、今日はもう遊びましょうっ。明日は森でキングゴブリンとお話ししてそのまま帝都に向かうんですからっ」


素直でよろしい。

全員の意見が一致したところで地味に昼食に近い時間だ。食べ歩きでもギルドで何かするんでも良いし、自由時間にしてしまおう。

焔、起きろ。


「凍の太股ぉ……でゅへへ」


起きろ変態。


「ひゃうっ!?」

「……耳に息を吹きかけるなんて、なんてバカップル」

「……私も、いやいや!」


すんません調子乗りました。


凍「最後のバカップルなんだよ!?」


ラブコメ?です


凍「?付けりゃ何でも許されると思うなよ!!」


でも付けます

では、次回~

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