1話 逃走
お待たせしました、新章開幕です
凍「今回はえらい時間掛かったな」
雷「前の章が終わった時点でこの話すら書けてなかったからストックが必要だったのよね」
花子「早くしてほしいですね」
焔「凍と色々できるなら何でも良いよっ」
ええ、もう戦争編とか言ってますが、コイツらは変わりません
では、本編どうぞ~
花子の背中に乗って魔都の闘技場から脱出した俺たち。何はともあれ、俺は1つ大事なことを忘れていた。
「オッチャンの串焼き、買うって言ってたのに行けなかったな」
「現実逃避は後にして、あの鳥たちを焼き鳥にする用意でもしなさい」
そうそう、花子に糞を飛ばしてきたあの糞鳥たちを八つ裂きにしないと。飛べる鶏なんて非常識の塊のくせに俺の嫁に糞を飛ばしてくるなんて、死刑確定だ。
「花子、ちょっと背中蹴るぞ」
【凍君に足蹴にされる……ハアハア】
「意外と余裕ね」
「羨ましい!」
「大丈夫よ、後でしてもらえるわ」
「安心だねっ!」
俺が安心できねえ。
ともかく銃を抜いて左を散弾、右を杭にして刃を展開する。花子の背中を蹴って1番近くのトビ鶏に飛び移る。ついでに糞は散弾を適当に撃って花子に飛ばないように撃ち落とす。
あ、地上で雷狼が走ってる。まだ遠いけど。
【貴様っ、ええいっ、乗るな!】
「安心しろ、直ぐに居なくなる」
両羽を銃の刃で根元からザックリと斬り付けギャアギャア騒いで落ち始めた瞬間に頭部を杭で打ち砕いて次のトビ鶏に飛んだ。
花子に向かう糞も撃ち落としたいからちょっと体を回転させて散弾を乱射して次の奴に飛び移った。
【おまっ、非常識にも程があるだろ!】
「飛べる鶏に言われたくない」
首に右の銃の刃を刺して鶏の上に自分を固定、肛門近くに左の銃の散弾を撃ってバランスを崩させて、左の銃の刃で喉を掻っ切る。
この時点でトビ鶏たちは俺を狙う気満々だ。全員が俺に糞を飛ばす準備をしている。それにしても、よくあんなに糞が体の中に堪っていたもんだ。便秘か?
「糞まみれになった凍、献身的に看病する私……ありだねっ!」
「正直、普通に糞って気持ち悪いだけでダメージは無いのよね」
【普通の糞がホーミングしてくるなんておかしいですよっ!!】
それが魔獣クオリティ。
2匹目を殺し、3匹目に跳躍する。空中で連続バレルロールするトビ鶏たちの肛門から白いネバネバした液体、糞が飛び出し明らかに地面に落下する軌道から折れに向けて飛んできた。何となく戦闘機のミサイルの軌道に似ている気がする。映画でしか知らないけど。
【あの野郎、たかが糞程度で殺しやがった!】
【しかも3匹とも嫁さんだと抜かしやがる!】
【ハーレムだハーレム!】
【俺たちオスの敵だ!】
【爆発爆発!】
誰か、あの連中に常識を教えてあげられないだろうか? 嫁に糞飛ばされたら怒るだろ?
目を赤く光らせた8羽の鶏に糞を飛ばされる少年、どっちが悪役かは明白じゃね?
ともかく糞を適当に撃ち落として3匹目の背中に乗り移ると片足でスピンして散弾を周囲に撃ちまくる。糞がね、来るんですよ。
【痛い痛い痛い! 禿る禿る!】
「うるせえ、こっちは糞まにれになりそうなんだよ!!」
【貴様っ、背中だけ丸禿げにする気か!?】
【悪魔のような魔獣だ!】
【お前なんて糞まみれになって地面に落ちて頭グシャッてしまえ!】
「お前らが追ってこなきゃ良いだけだろうがああああああああ!!」
もうヤダこの鶏、黒スライムに支配されてるせいか元からなのか知らないけど話が通じないんだよ。出て来なければ殺らなかったのに!
痛みで落ちていく3匹目は殺す余裕が無かったから放置して次の鶏に跳躍する。全てのトビ鶏が俺を狙っているので跳躍中は凄い集中砲火が行われる。だから糞が当たる前に次の鶏に着地する。数発の糞は散弾で運良く撃ち落とせた。
ホーミングさせるにはそれなりに近距離じゃないといけないみたいで跳躍できる距離だ。でも射程ギリギリを維持しているみたいで軽く10メートルはある。着地するにはそれなりの速度で飛ばないといけないから大変だ。
【舐めるな小僧おおおおおおおおおおっ!!】
4匹目は俺が着地した瞬間にバレルロールで振り落とそうとしてきた。奴の胴体に抱き着くようにして銃の刃を両側から突き刺す。
【いてええええええええええええええ!!】
「凍に抱き着かれてるあいつ殺す。拘束して羽根を毟って羽を千切って傷口抉って足の関節逆に曲げて関節砕いて千切って口に突っ込んで自分の爪で尻穴の中でグチャグチャに掻き回して自分の糞で体中を汚して喉掻っ捌いて出血多量でジワジワと死んでいくのを家族とか友達の前に投げ捨てて惨めな最後を演出して殺すっ! 絶対絶対生きていたことまで後悔するような絶望感で殺す!!」
ああ、嫁が病んだ。
【おい小僧、お前の嫁だろ何とかしろ!】
「無理だ」
敵にまでこんな反応される俺の嫁って。
「知り合って直ぐに抱き付くなんて何を考えているのかしら? 焔なんて5年以上もアタックしてやっと結婚、私と花子だって一緒に行動するようになって数ヶ月、ヘタレの代名詞が今や知り合って直ぐに抱き付くなんて凄い進歩ね。でも、ちょっと嫉妬しちゃうわよね。私なんて最初は食糧扱いだったのに、この差は何かしら? ねえ凍、この差は一体何なのかしらね? 後でたっぷりとお話ししたいものだわ」
ああ、嫁が怒った。
【小僧、5年は最低だと思うぞ】
「五月蠅い」
敵にまでこんな反応されるあいつらの婿って。
【凍君が自分から抱き着く? 今でも自分から抱き付くなんて本当に数えるほどなのに、オスに自分から抱き付く? もしかして、凍君そういう趣味だったんですか!? 幼い時に焔や私に何も感じていないようだったのは、もしかしてメスに興味が無かったからなんですか!? どうしましょう、今更私の性別は変えられませんし、でも凍君の趣味に合わせるのも努力は妻として必要な気がしますし、私どうした良いんですか!?】
ああ、妻が発狂した。
【離せ小僧! 俺にそんな趣味は無い!!】
「俺にも無いから」
敵にまでこんな反応される俺って。もう泣いて良い?
「大丈夫だよ、花子っ。凍は昔から私の人化した姿には興奮してたからっ。何度も自分も人化して隣で寝てる私にキスしようとしては恥ずかしそうに顔離してたから!」
【何ですかその可愛い凍君!? ちょっ、今夜早速お願いします!】
「あなたたち、余裕ね」
本当にそうですね。
「あら、凍、私たちがノンビリしていられるのは貴方が頑張っているからよ。さあ、私たちのために頑張ってそいつらを殺しちゃってちょうだい」
【お前の嫁にまともな奴は居ないのか!?】
「居たらこんなことになってない」
【涙拭けよ小僧……痛い痛い痛い!! 早く離せ!!】
このトビ鶏も大概余裕そうだ。今までの会話って全部胴体に2本の刃を突き刺された状態でしてたんだぜ?
ちょっと殺すには勿体無い鶏だった気もするが、胴体から羽に向けて刃を走らせて心臓とか諸々の臓器を体の外に排出させて1度花子に飛び移った。これで4匹殺った。
実は高度がかなり下がっていて花子に先回りしてもらっていたのは内緒だ。
【くっ、もう4匹も!】
【氷狼は空中戦もできると言うのか!?】
【俺たちの戦場に入ってくるな!!】
「……フラグの乱立」
「凍っ、言っちゃ駄目」
「彼らだって頑張って生きてるのよ。糞を垂れ流しにしながら」
【不潔です】
あ、トビ鶏たちが精神的ダメージ受けてる。
「おらっ、下の方ではお前らのお仲間が口から黒スライム出して死に絶えたぞ!」
現在高度は目測で100メートルくらい。
空に慣れていない幻狼には微妙に現実感の無い高さで特に怖くない。でも下には言った通りトビ鶏の死体が点々としている。
あ、そろそろ風龍に滅ぼされた街だ。花子に乗ってると移動が速いな。
そして、俺の狙いが成功したことが分かった。
【ぎゃあああああああああああああっ!!】
【糞がっ、糞が俺の頭にいいいいいいいいいいいいいいっ!!】
【おいコラッ、テメーら俺たちにまで糞を落とすなよ!】
【ふるるるるるるううううっ!!】
【何が『知るか!』だよっ!!】
【俺たちが知るかってんだよおおおおおおおおおおっ!!】
【やだっ、糞で攻撃とか本気でキモいんだけど】
【ふるるるうううううう!!】
【こっちだって自分で憑りつく相手は選べないよっ!】
黒スライムが何を言ってるかは分からんが会話の内容で言いたいことは分かった。
ふっ、俺の狙いは最初から雑魚のトビ鶏ではなく下の雷狼だ。奴ら大人だから俺たち以上に体が頑丈で勝負するには厳し過ぎるからな。ヤンデレモードの焔なら無双しそうで怖いんだが。
【おいっ、何体を洗おうとしているんだ!?】
【糞が掛かってんだっ、俺は体を洗うぞ!】
【私もよ!】
【てか地面が糞まみれで進めねえ!!】
ふははははっ、去らばだ、明智君!!
「凍がスッゴイ満足気な笑顔浮かべてる!」
「変態ね」
【いやらしいです】
何か、締まらんな。
戦争編と言うことで、少しは重い空気の中で動かそうかと思ったんです
でも、失敗したんです
僕にはシリアスは無理だったんです
凍「さようならシリアス、こんにちはコミカル」
焔「いつも通りだねっ」
雷「シリアスな展開なんて数えるほどでしょうに」
花子「一応私の話はシリアスでしたよっ」
そうだっけ?
では、次回~