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魔都裏話

新年早々、こんにちわ

作者です


凍「つい2日前に魔都は終わりだとか言っておいてもうか?」

雷「言い辛いんだけど作者が裏話を忘れてたのよね」

焔「書いてあったのに、今回私大活躍なのに酷い!」

花子「……私出てましたっけ?」


裏話でメインメンバーが居ないなんて最近はデフォじゃないですか

では、裏話どうぞ~

―――1―――


私は今日、妻を連れて魔都キャトルミューティレーションを訪れた。年に1回の高ランク冒険者を決める大会だ、次期王を指名されているキスタニア王国の第3王子である私が来ないわけにはいかない。我が国も高ランクの冒険者はできるだけ確保したいが、他国とのパワーバランスも考えると多すぎてはいけない。適度というのは本当に難しい。

大会がこちらの大陸で開かれる場合はリストカット帝国の霊帝は来ない。しかし彼女は幼いので仕方が無い。代わりの政治家が侍と呼ばれる騎士を引き連れて来ている。彼の国も激動の年だったようで以前見た男ではなく霊士のジンと呼ばれる上位侍が代理のようだ。

他の国の代表者はそれなりのランクの政治家が代理なのに侍が来るとは何事だと憤っているようだが、霊士とは政治にも関わる武官でもある。文官の政治家よりも余程この場に似つかわしい代理に思えた。


「リストカット帝国の代理に不満を抱いているのはお姫さんに嵌められた国の連中だけさね。ギルバート王子はそうではないようだね?」


大会2日目の午前、これからAランク冒険者を決めるトーナメントが始まるという時にキャトルミューティレーションのトップ、都長パティーナ・キャトルミューティレーション・カウが話しかけてきた。元々は王国の国民で週に1度の演奏会でトリを務めた歌姫。現在はそのカリスマでキャトルミューティレーションを治める女帝と名高い女政治家だ。

VIP席で観客に両国が友好関係にあると示さねばならない私が不景気な顔をしていたことが気になったのかもしれない。


「霊帝殿はあの幼さの中に人を動かす力があります。それは年齢に関わらず彼女の力でしょう。それに、高ランクの冒険者を決める大会に武を理解しないものが来ても面白くは無いでしょう?」

「それもそうさね。さて、今年はどこ国がどの冒険者を抱え込むか、見物さね」


そう、この大会の趣旨は高ランク冒険者を決めると同時に、各国が自国の冒険者戦力を増強、調整、確認する意味合いもある。

王国と帝国は自国の騎士と侍という強力な武力を持っているが、そもそも戦力は9割が冒険者の国もある。そんな国と国同士の戦力差を考慮して各国は冒険者をスカウトする。

ギルドには設置されている街の規模に応じて絶対に確保していなかればならない冒険者の数とランクがある。王国や帝国のように自前の戦力を持っている国はそれほど高い水準は課せられず、逆にハワイアン民主国のように自前の戦力が遊園地の警備兵だけといった国はギルドの戦力水準を高くする必要がある。

勘違いされがちだが、我が国と魔都の騎士は違う。何が違うかと言われれば、所属する国が違う。それだけだ。階級や扱いはそれほど変わらないが、魔都よりも王国の方が騎士の練度が高く規模が大きい。そのために魔都の冒険者は王都よりも多い。


「冷静で理性的な考え方、確か次期王に指名されているんだっだかね?」

「先日の魔獣王都襲撃の際に色々とありましてね。その後に帝都でも同じ目に遭い両国の関係を強固にするために余計に盛り上がってしまいました」


この程度の話は既に知れ渡っている。私自身は構わないのだが、この後に兄上たちの悪口に繋げて私に取り入ろうとする輩が非常に多くて困っている。2人の兄上たちは、まあその、襲撃の際に布団を被って部屋に籠っていた。

弟の私から見ても情けないのは認めるが、それとは別に危険な方たちなのだと他国の者は知らない。知らないままの方が誰にとっても幸いなのだ。


「兄上たちは武に通じていないだけで無能ではないさね。事実、私たちが参考にしている福祉政策は彼らの意見を基礎としている」


そう、兄上たちも普段は政治家として優秀だ。しかしそれは政治家としてで指導者としてではない。それを本人たちは認め、私が次期王に指名されても気にしないのだ。逆に私は福祉の政策を思いついてもそれを皆に上手く伝えられない。兄たちは私が王位に着いたら文官を担当するから武を司れと言ってくれている。王位継承権争いをする気は無いのだ。それを知っているために周りの者たちも何も言わない。

何故我ら兄弟は下に行くほど武に偏るのだろうか? 兄2人は心優しく虫も殺せぬ、私と妹は敵は切り伏せる……父上に母上、腹違いだとか今更言わないで頂きたい。


「どうなさった?」

「いえ、少し我が兄妹の性格の違いに溜息が」

「兄妹が似ているか似ていないかなど所詮は運と積み重ねさね。気にすることではないよ。さ、試合が始まる。今年の冒険者たちの積み重ねを見守ろうじゃないか」


魔都キャトルミューティレーション、人間至上主義の獣人にも魔獣にも、人間にも厳しい法の都。人間を害する者は人間に非ず。

そう言えばコオルたちに魔都で行われている異常な実験を調べさせていたんだが、バレてなければ良いがな。コオルならば人間に依頼されたなどと言わないとは思うが。奴は妙に人間の文化や考え方に敏感でついつい魔獣だということを忘れてしまう。

さて、今抱えている冒険者を取られぬよう、芽のある冒険者を見つけられるよう大会に集中するとしよう。


―――2―――


昨日から変な客が俺の所に来る。噂の天使みたいな風貌をした4人組で3人の美少女は男の嫁だとぬかしやがる。所謂ハーレム野郎だ。

チャラチャラした男かと思えば嫁たちへの執着は結構なもんだ。隠そうとしちゃいるが他の男が近付けないように睨みを効かせてやがった。ありゃ心底惚れてるな。

羽振りの良い小僧で魔都に来た日に俺の串焼き大人買いしたかと思えば今日はもう別の服を買ってやがった。ボンボンかと思ったが本人の金銭感覚は普通そうだった。串焼きを大人買いするにしてもちゃんと4人分を計算してるようだったしな。

何か色々バランスの取れてねえガキだと思った。

闘技場と門の間で商売やってる俺は闘技場の様子も門の様子も見える。だからあの連中が異常に注目されているのは見えていた。だから俺が知らない有名な冒険者なのかと思ったら単純に顔かよ、と呆れたもんだ。

まあ、あと20若かったら声掛けてたんだけどな。

あ? それでも犯罪だと? 知るか。


何で男たちが小僧を無視して声を掛けねえのか疑問だったが奴らが俺の店に来て直ぐに分かった。あの小僧俺と話しながら周りの男たち牽制してんだ。ありゃ声掛けるの勇気居るわ。紅い髪の嬢ちゃんとイチャイチャしてるわりに巨乳の姉ちゃんも黒髪の姉ちゃんもカバーするように睨み効かせてるし。

で、妙なことになった。大会2日目の昼間から騎士たちが騒ぎ出した。何でも図書館に賊が出たらしい。関係者以外進入禁止の扉が鍵ごと溶かされて侵入者が会議室の綺麗に並べられた資料を猫が暴れたかのようにボロボロにしていったらしい。何か甘い匂いがしたとかで操作に動いた騎士たちが嬉しそうだった。変な薬でもやってそうで少し不気味だ。

翌朝、大会最終日に小僧がまた来た。同じようにウチで串焼きを大人買いしていったんだが、その前にあいつらのことを調べている騎士と冒険者が数組来た。中々の上客で良い稼ぎになったんだが全員妙に張り切っている。何回か質問の中に『美少女』とか『巨乳』とか『ナイス貧乳』とか混ざってて怖かったんだが、客商売だから笑顔を絶やすわけにもいかねえんだ。子供に泣かれるからどうしたら良いか分からねえんだけどな。

小僧たちにそのことを話したら微妙に視線を逸らされたがな。冒険者たちがやられた辱めがどんなもんかは、まあ何か変なもんが多かったな。多分誰がやったかは知ってるが何をしたかは知らなかったんだろうな。

奴が何かをしたわけじゃないのなら何も言えねえ。忠告だけしてさっさと次の商売だ。


その日、俺は闘技場から避難する街の住民、騎士たちが雷狼を使役している姿、そして闘技場から飛び立つ非常識なサイズの黒い蝶とそれに乗った3人の男女を見た。

遠目だから自信がねえんだが、あの蝶に乗ってたのって小僧と紅い髪の嬢ちゃんと巨乳ちゃんじゃなかったか?


―――3―――


も~、何でユニコーンはあんなにお喋りなのかな。凍に私が頑張って練習してた時のことがバレちゃったよ。凍に私の努力は悟らせない、凍に色々してあげたいのは私のためなんだから凍を理由にしちゃダメだよねっ。

でも夜の練習はしちゃ駄目ってお母さんが教えてくれた。オスは皆メスを自分の色に染めたい衝動を持ってるから初々しさを前面に押し出しなさいって言われてるんだ。それでお母さんもお父さんをゲットしたって言ってた。先獣の知恵って大事だよねっ、お母さんが成功したことなんだから参考にしないとっ。お母さんの言う通り凍をゲットできたしっ。凍にゲットされたしっ!

私って料理が苦手だったし凍の言う火加減も下手で頑張って練習するために獲物を捕まえないといけなかったんだよっ。何でか丸コゲにしちゃう火力になっちゃうんだよね。凍とお母さんが言うには才能が有り過ぎるけど幼いからコントロールできてないだけみたい。凍は予測でお母さんは経験談だって言ってた。お母さんは分かるけど何で凍は想像できたんだろう?

凍って偶に変なことを言うんだよね。何だか知らない言葉を口走ったりもして、物知りなんよっ。


魔都に着いて最初の夜、凍に秘密を話せって詰め寄られちゃった。結婚しても凍に尋問されるなんて、かなり興奮するっ。だから私の話なんてスッゴクどうでも良い話をしちゃった。本当に短い、凍の話に比べたら私自身の話なんて要らないのっ。もう私の一生は全部凍の話が良いよっ。あ、凍との子供の話だったら良いよっ。

妊娠中の私に性欲を滾らせた凍が我慢する……鼻血が。危ない危ない、凍に変な目で見られちゃう。いきなり興奮しちゃったら更に変な目で見られて更に興奮スパイラルになっちゃうよ。

……あれ、それって凍のことだけ考えてずっと興奮してられる? あ、駄目だ。我慢できなくなって凍を押し倒しちゃう。凍がしたくない時は我慢しないと……『したことあったかよ!?』って凍がいきなり。私声に出してたっけ?

『しまった顔のニヤケでつい考えてることにまで』って頭を抱えてるけど、もしかして私の心の声が凍にバレてる!? 何それスッゴイ興奮する!! 凍に私の考えてること全部バレちゃうとか望むところだよっ!! さあ凍カモン! 私の望むことが分かるなら早速やってみよう! まずはホテルに連れ込んでベットに押し倒して戸惑う私を抑えつけて無理矢理服脱がしてっ、てしてくれないの? もしかして、これがお母さんの言ってた焦らしプレイ? お母さんもお父さんに散々されたっていうアレ? 分かってるのに何もしてくれないアレなの? もうっ、凍のテクニシャンッ!!

何だかまた凍が頭を抱えてるけど、もしかして次のプレイを考えてる? 私を飽きさせないように色々考えてる? 凍のしてれることだったら何でも満足だよ!! 焦らしプレイをされてその後に自分で満足するまで頑張れとか言われたらご褒美だよ!!

あれ、雷に止められちゃった。え、花子も同じような表情してる? 凍が考え込んじゃってると話が進まないから妄想は終了? 妄想じゃないもんっ、凍と私の今後のこと考えてるんだもん! 魔都で最初の夜に何するか考えてるんだもん!

あれ、雷が頭を抱えちゃった?

ま、良いよねっ。花子も同じこと考えてるみたいだしっ、私と凍の間に障害なんてもう何も無いんだもんねっ。

『前から無いような態度だったろ』って凍が急に、どうしたの? 私考えてただけで何も言ってないよ? はっ、私も凍の心が読めるし、これが本当につがいになって以心伝心するってことなんだねっ。これが夫婦のあるべき姿なんだねっ。

『無い無いこれは無い』って雷までどうしたの? もしかして花子が何か言ったのかな? あれ私のこと? もう、雷は凍と私の間に入りたいんだねっ! 大丈夫、雷も花子も皆で夫婦になったんだから皆で幸せになってるよっ! だから早速カモン凍!

あ、今日はユニコーンのこととか私の短い話とかで疲れたし明日から大会だからもう寝るの?

凍も私たちを相手にした時よりもずっと疲れた顔してるし良いかなっ。今日はもう寝よ。

お休みっ!

さて、恒例の裏話も終わりましたし、本当にこれで魔都編は終了です

初めての王子視点、初登場の屋台のオッチャン、久しぶりの焔と中々に凍と絡みの多いキャラが集中しました


本当は王子だけの視点で書こうかと思ったんですが、政治的な駆け引きとか絶対に無理

そう思うとメイド長とのラブコメしか思いつかなかったのでオッチャンとかに魔都の騎士の様子を話したりしてもらいました

焔は、まあ平常運転です……多分


焔「多分!?」

王子「そうか、ついに私主役の話が書かれる日が来るという壮大な予告なのだな!」

凍「そんな日は永遠に来ないから安心しろ」

雷「金ヅルの分際で何を調子に乗っているのかしら」

花子「あ、焔の危険性に最初に気付いた人間でしたっけ?」


そういや最初に焔に惚れて危険性を理解した人間キャラでした

でも別に今後の展開に焔への想いは関係無い


では、次章~

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