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16話 大会終了です

大会の詳細?

オマケに力を注ぐタイプではないのです!!


凍「閑話の力の入れようを忘れてんじゃねえ」


何の話でしょうか?

では、本編どうぞ~

焔の演説、客の熱気、武器同士を叩き付けた金属の衝突音。それらが止んだ耳が痛くなるほどの沈黙を破るシェフの声。


「貴様に相応しいメニューは決まった」


戦士を包丁を持った手で指差しドヤ顔で言い切った。何となく様になっているから腹が立つが、それが余計に負けた気にさせる。


「悔しいっ」

「でも感じちゃうのよね」

「ビクンビクン、です」

「感じねえから」


呆れ成分5割増しでツッコミ入れてフィールドを見ると戦士が倒れていた。シェフのフライパンに凹んだ痕があるから人間の叩きにでもされたんだろう。焼いたり刻んだりはルール違反取られるだろうから止めたのかもしれない。シェフもメニューを決めるのに困っただろう。同族を料理しようという時点で困った人なのはシェフの方だが。


「あ、見れなかったっ」

「午後には他の奴と試合するみたいだぞ。午前中は第1試合だけみたいだ」

「と言うか1回戦はAランカーとSランカーで戦うみたいね」


つまりAランカーは1回だけ勝てば昇格するんだな。

次の試合は神父VS熊?だ。神父の方は分厚い本を持っているだけで、熊みたいに大きくてガタイの良い男は大剣を担いでいる。魔獣を相手にする力自慢の冒険者の一般的な装備だな……どこかで見たような気がするが、きっと気のせいだろう。何かエンドロールで『焔の被害者A』とか表示されてもおかしくない人間だった気がするが思い出せん。

あ、これが終わったら20分休憩だからトイレに行こう……全員来るって席どうすんだよ。そん時に考えれば良いか。


試合は結構一方的だった。神父は熊が両手で振る大剣を本で簡単に弾きドンドン前に進む。片手で持っているハードカバーの本が大剣相手に優位ってもの不気味な光景だ。

熊が苦し紛れに放った横薙ぎの大振りを本で地面に撃ち落とし、生まれた致命的な隙を逃さず頭部に本の背表紙を叩き付けて試合終了だ。

さて、トイレに行こう。

ん?


『兄貴が負けた!?』

『やっぱ初日のガキ共に何かされたんだ!!』

『探し出して血祭りにしてやる!!』


濡れ衣だろこれ。


「あら、専守防衛の練習台かしら?」

「もう1回練習できそうですね」

「凍のオシッ」

「変態過ぎるわ」

「変態過ぎます」


お前ら本当に仲良いな。

トイレは滅茶苦茶混みそうだったので闘技場の外れにある、人間だと次の試合に間に合うか怪しい距離のトイレを選んだ。案の定誰も居ない。と言うか人気が無い。


「おや、こんな所で同業者に会えるとは……あ、勘違いでしたね」


嫁たちの花摘みが終わるのを待っているとさっきまでフィールドで戦っていた神父に声をかけられた。服装で一瞬間違えられたが肩と背中にあるはずの円形のマークが無くて冒険者だと理解してくれたようだ。


「しかしここで会ったのも何かの縁。どうです、これを期に協会に入会致しませんか? 共に人々と協力し合い『今日より幸いな明日』を作りましょう!」


そうゆうの間に合ってるんでお断りします。神父服なのは単純に動きやすくて変装にも使えたからだし。てか魔獣が人間のための協会に入るとか、ギルドに入ってる時点で変なんだからこれ以上は要らんって。

あ、出て来た。


「凍がホモ野郎に誘われてる!?」

「違うと思うわ」

「帝都じゃないんですから」


花子さん、苦笑で誤魔化さないで焔を止めろ! 今にも法剣に手を伸ばしそうだ! そして花子の帝都に対する考えを問い質したい!!

……あ、変態ばっかだったわ。学生に先生に侍に政治家に看護師に霊帝に。本当に全部だな。唯一ギンガが普通だ。スバルは変態だが。

焔は神父と俺の間にある『え~』という空気を敏感?に読み取ってどうにか法剣から手を離した。


「ふむ、本当に協会に所属してもっと常識的な価値観を学ぶべきではないのかね?」

「いや、遠慮しておく」

「そうか。同士が増えるかと期待したのだが、無理強いはできまい。だがっ!」


まだ何かあるのかよ。


「私たちはいつでも君たちを歓迎するぞ! 同じ人間として全ての人間を守る社会を作ろうではないか!!」


『はぁ~はっはっはっ!』と豪快に笑って神父は去って行った。ワザとらしく手紙を落として。拾い上げて読んでみる。

『♪♪私たち(協会)はいつでも君たちを歓迎する♪♪』

溜息しか出ない。

そして闘技場では試合が終わったようだった。歓声と共に『闇の炎に抱かれて死ね!!』と聞いている方が恥ずかしくなる決め台詞が聞こえ、司会者が試合終了を告げた。


「……何故かしら、ムズムズするわ」

「何かこう、恥ずかしいですね」

「聞かなかったことにしてやれ」

「そうね」

「はい」

「……カッコイイ」

「「「嘘ぉっ!?」」」


頼むから絶対に真似しないでくれと焔に言い聞かせてから闘技場に戻った。神父と話したりしている内に意外と時間が経ってしまったが花子も全試合を見たいわけではなかったみたいで特に不満があるようには見えない。単純に人化している時に人間の戦い方を参考するためらしい。

さて、さっさと戻るか。




結局、世間話にあったようにSランカーたちは全員1回戦を突破した。

ピエロとか変な戦い方だったな。

お手玉とかトランプとかを投擲、途中で消えて当たる直前に再出現。接近戦では人間サイズの玉に乗って転がし轢き跳ねた。本当に変な戦い方だ。

そして時間は午後、既に決勝戦だ。対峙するのは神父と厨二病……いや、神父と冒険者だ。見た目って大事。

ピエロは『皆っやっほおおおぉぉぉっ』とか色々言っていて戦いになってなかった。シェフはメニューを考えることに集中し過ぎて訳が分からない内に負けた。これに負けたAランカーは不憫すぎる。

神父と冒険者がフィールドの真ん中でガチンガチンと武器?を叩き付け合い観客を魅了している。俺たちは本が剣を弾くのって不思議な光景だな、と思っている。何で作られてんだよ。そして偶に本のページで剣を挟んで止めたりしている。本当に意味が分からん。


そしてそんな試合にも終わりが来る。厨二病……冒険者が『ふははははっ、ここまで手こずらせるとは。貴様には我が封印されし左腕の力をもって』とかなんとか言って左手の包帯を気取った動きで解いた。神父は本に書かれているらしい何かを音読している。精神統一なのか厨二病に合わせてあげてるのか知らんが。

包帯の下には魔石のはめ込まれた凄く薄い手甲があり模様から刺青にも見える。悪魔の羽みたいなデザインだ。凄く厨二っぽいです。


「……カッコイイ」

「誰か焔の趣味をどうにかしろ」

「あなたの役割よ」

「焔が私たちの言葉で趣味を変えるとでも?」


無いな。俺の言葉でも怪しいが、それでも雷と花子よりは聞いてくれると思う。きっと、恐らく、多分、5%くらいの確率で!


「あ、終わったな」


神父は包帯を地面に落とした厨二病の突撃を横に飛んで躱し、包帯を拾い上げて手甲の拳を振り上げた厨二病を本の表紙で受け止めた。手甲は鉄製なのに本とぶつかった時に金属音がした。そして包帯が厨二病の足に巻きつけられ引っ張られて転び、神父の足が厨二病の喉に置かれ、厨二病は降参した。

あの神父人間にしては強いな。


『皆さんっ、今ここにっ、Sランカー決定戦が終了しました!! 地味に隣で行われていたチームトーナメント決勝戦、白衣の天使団VS黄金の指の試合は注目度0!! 私も完全に見ておりませんでした!! しかぁしっ、あちこち服の破れた優勝チームのミニスカ天使に会場の男性客は前屈みだ!! 強いぞっ、可愛いぞっ、エロいぞ白衣の天使団!! そんなエロチックな服で堂々としてる姿はちょっと憧れるが真似はしたくない!!』


何を言ってるのかさっぱりだが確かにナースたちの服は結構破れていてエロネタには困らないだろう。俺は嫁たちでしか満足できんが。


『では、これで大会は終了です! 表彰式にAランカーの認定に色々ありますがっ、そんな堅苦しいイベントは後回しっ! 激闘を戦い抜いた冒険者たちに、大きな拍手をお願いしますっ!!』

「じゃあ、認定式とか表彰とかやっちゃおうかね」


相変わらず凄く綺麗に響く声で魔都のトップが立ち上がり、VIP席を抜け出してトロトロ歩いてフィールドに出て来た。王子とメイド長も一緒だ。隣には色々持った騎士たちが居る。そしてトップが来る前に冒険者たちは騎士たちに誘導されて並び終えている。ナースたちは騎士たちに上から羽織る物を貰っている。男客からブーイングが飛んだがお約束な感じだ。

実にテキトーに表彰をしたトップはそのまま観客に向き直り、何かを決心した様子で話し始めた。


「私は、この素晴らしき日に言わなければならないことがある!」


急なことに客や冒険者たちも戸惑うが政治家たちは皆硬い表情をしているだけで何があるかは知っているようだ。王子は不思議そうにしているから知らない側だな。


「私たちは、自分で自覚している以上に魔獣の脅威に晒されている。その証拠がこれだ!」


トップがそう言ったのに合わせて騎士たちが黄色い髪の壮年の男を連れてきた。

そいつは人間では絶対に動けないだろう大きさの手枷足枷をして何とか動き、トップの前に立った。その目が正確に、雷に向けられる。フィールドの中央と観客席の後ろの方、それでも分かるほどに赤く光る眼で。


「嘘でしょ、あれは」

「そうか、あのファイルと、魔都の拡張計画か」

「森に何人もの人間の匂いがした理由、雷狼の村に人間たちが居るかもしれないって話は、もしかしたら、これだったのかもしれませんね」

「人間の街に魔獣が居るなんて、不思議だねっ」


フィールドでは、人化した雷狼が魔獣の姿に戻るところだった。

そして焔、俺たちも魔獣だから。


とうとう魔都の本編とも言える展開です

言い換えれば壮大な茶番とも言えます


凍「悪く言い換えるなよ」


お約束ってあるでしょう?

では、次回~

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