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13話 バレちゃいました

雷「いやん」

凍「棒読みで言われても反応に困るわ!」

焔「いやぁ~ん」

凍「色気振り撒かれても困るっての!」

花子「凍君は我儘です」

雷「お仕置きが必要ね」

焔「覚悟してねっ」

凍「何でだああああああああああっ!?」


何ででしょう?

では、本編どうぞ~

政府の会議室には図書館と同じような設備が揃っているが部屋自体が広い。そして壁際には椅子が数脚置いてある。護衛用の席?

ともかく図書館と同じように会議室の棚の議事録を漁る。お題は街の拡大計画についてだ。


「一応あったわ」

「見つけました」

「あったよっ」

「俺も見つけた」


全員が別々に見つけたので机に広げてみた。

『森焼却案→近隣の村に追われた魔獣の被害が出そうで却下』『魔獣を駆逐→昆虫系の魔獣が危険過ぎる』『地下や上に建物を伸ばす→食糧問題は未解決』『魔獣を安全に駆逐する→こぉれだっ!』

本当にこの街の政府は大丈夫か? 重要な会議の書類がこんなんで大丈夫か?

『大丈夫だ、問題無い』

先読みされたかのように書いてあった!? 書類の1番下に書いてあるけど何を前提に書かれた文なんだよ!?


「じゃあ、魔獣を安全に駆逐する方法の書類を探せば良いのかしら?」

「でも、そんな方法あるんでしょうか?」

「道具を使うんじゃないかなっ」


そういやジャングルでは思いっきり投石器とかバリスタとか使われる前に壊したな。


「でも、何か違うみたいですよ。道具じゃなくて魔獣を人間に従わせるって書類があります」

「従わせるなんて、本当にできるのかしら?」

「それに関した書類を探してみるか」

「は~いっ」


で、探してみた。発見。


『魔獣に催眠術を掛ける→近付くのが危険』『魔獣を調教する→産まれたてを誘拐するか?』『魔獣と話せるようにする→どうやんだよ!?』『闘牛とかを育てて魔獣を倒す→こぉれだっ!』

またこのパターンかよ。そして下に『大丈夫だ、問題無』と書かれている。『い』はどこに行った?

紙の左上に穴が開いていて紐でもう1枚繋がれている。

『育てるのは結構難しい。街の拡大はそれなりに早く進める必要があるので手っ取り早い方法が必要→魔獣に寄生する魔獣?を発見→こぉれだっ!』

だからこのパターンしつこいぞ。しかし、実に気合の入った書体で書かれている。下手したら達筆すぎて読めない字になっているところだが、普通に読めるという不思議な筆文字だ。


「凍、これは黒スライムのことじゃないかしら?」

「……おおっ」

「凍君、忘れてましたね」

「絶対に忘れてたねっ」


放っておいてくれ。

しかし、もしかして王都とか都で俺たちが見た黒スライムって魔都が発端なのか? しかし発見したって書いてあるよな? 『魔獣?』ってのが気になるが、魔都としては魔獣ではないって定義になったのか?


「これも調べた方が良いかしらね?」

「ちょっと、気になりますよね」

「じゃ、その方向で探索開始で」

「うんっ」


で、探索を開始したわけだが焔がさっきから少しずつ寄ってきている気がする。

いや、気のせいだよな? 最初は花子を間に挟んでいたのに今は俺と花子が焔を挟んでいるような気がするが勘違いだよな? 地味にボレロが肩からずり落ちてきているように見えるのは気のせいだよな?

焔のワンピースって肩出てるんだよ。だから色気はバッチリだ。

ファイルを物色していると何か邪な気配が近寄ってくる。俺の横には壁、反対側には紅い髪の幼馴染しかいない。花子と雷は焔の向こう側に居るはずだ。

つまりこの気配は焔のものだな! ……むっ? 何ぃっ!? 邪気が増えただと!? 焔の奥から妙に強い気配がするだと!? 何者だ!?


「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃぁぁ」

「五月蠅い、早く探せ」

「……すみません」

「こんな密室で長時間何もするなと言うのかしら?」

「何で分かったんだろっ?」


お前らは気配が隠せてねえんだよ。あ、気配じゃなくて煩悩か。色欲でも可。

ともかく3匹を黙らせてファイル漁りに集中させると意外とさっさと進んだ。午前中に終わらせて午後はオッチャンの屋台で昼飯とかにしたかったんだよ。てか午後前には闘技場から誰かコッチに来ちまうかもだしな。


「では、全員ファイルを出せ」

「はいっ」

「これよ」

「どうぞ」


『黒スライムは人間の感情を魔石に集めると生み出せる→魔獣とかの感情では産み出せないのか?』『賢い男の落とし方→相手に合わせて直感で動きましょう』『男は薬で動きを鈍らせよう→その後に逆転されるのも醍醐味』『錠剤よりも粉末が効果的です→そもそも錠剤は生産量少ないから考慮しなくて良いんじゃね?』


うん、俺以外は誰も探してないね。全員男を落とす方法とか今更なものばかりだよね。既に俺たちは結婚してるし昨晩はかなり激しくまぐわったよね。そしてこの国の政府は本当に何事だよ!? 何でこんなことを真剣に議事録に残してるんだよ!? しかも議論の結果が訳分からねえっ!!

もう疲れた。このファイルだけ抜き取って帰ろう。一応は細かく黒スライムの実験経過が書いてあるみたいだし。それをどう判断するかは王子に任せよう。


「よし、飯にしよう」

「そうね」

「またオジイサンの串焼き食べたいねっ」

「じゃあ、帰りましょうか」




俺たちが政府の建物からホテルに戻る時はまだ午前中の部が終わっていなかった。街中には人がいないし闘技場の周辺では他の試合で満足したり午後に良い席を取るために早めに昼食を取ろうとしている人間たちが相談していた。『誰が勝った』『あの技は凄い』『明日のSランカー戦が楽しみだ』って色んな会話が飛び交っている。

そう言えばリーガルと筋肉お嬢様の約束はどうなったんだ? 俺たちに関わるのは危険だって覚えてくれたよな?

このまま何事も無く終われば良いんだが、闘技場とか図書館とかのことを繋げて考えられたら厄介なことになるよな。そんで今回の政府の会議場、どう考えてもさっさと魔都から離れた方が良いな。


「明日の朝には魔都を出よう」

「どうしたのっ?」

「ちょっと面倒なことになるかもしれない」

「この街の人間が私たちを襲いかねないかしら?」

「何だか執念深いみたいですし、ありえますね」


あ~、怖い怖い。人間の執念って凄いよな。さっさと逃げ出そう。戦うのも面倒だ。

1度ホテルに戻った俺たちはファイルを置いて屋台に行くことにした。だが屋台が見えた瞬間に路地に隠れる羽目になった。


「だから、あの天使のコスプレした集団だ。あ、大会に参加した残念な方じゃなくて似合ってる方な。あの幼い感じとか最高だよなっ」

「そうそうっ、俺は清楚な黒髪の方が良いけどな。で、あのコスプレ集団はどこに行ったか知らないか?」

「おい、男なら胸だろう!? で、あいつらのこと知らないか? 探してんだ」

「何でい何でい、客でもねえ奴らが営業妨害か!?」


何故か冒険者集団にオッチャンが絡まれていた。しかも営業妨害になってる。でもオッチャンの方が見た目怖いのは誰の目にも明らかだ。

男たちは『見かけたら教えてくれよ』と言い残して離れていった。通行人は不思議そうにしながらも客として屋台に寄るか別の店に行くかしている。特に気にした連中は居ないようだ。俺たちのことを探しているとも知らないようだった。

ともかくオッチャンの串焼きを食おう。


「オッチャン、串焼きくれ」

「お前さん、唐突に出てきたな」


俺たちを見た瞬間オッチャンは『うわぁ~』という目をしたが直ぐに溜息を吐いた。何故?


「お前ら何したんだ? 街中の高ランク冒険者と騎士が探し回ってるぞ」

「うわぁ~」


思わずオッチャンと同じ目をしてしまった。


「凍の予想大的中ってことね」

「そうですね、まさかここまで的中するとは」

「おいおい、心当たりがあるのかよ」

「ちょっと面倒なことになってんだよ」


きっと図書館が荒らされてて俺たちが唯一の客だったから疑われてるんだろうな。まあ図書館を荒らしたのは俺たちなんだけどな。

それにしても何でこんなに早く動き始めたんだろうな。フットワークが良すぎる。普通は組織ってもっと鈍重だと思うんだけどな。個人の能力が重視される冒険者の動きが早いのは分かるがデカい集団の騎士まで動いてるってのが意外だ。


「営業妨害だけはしないでくれよ。で、何本?」

「じゃあこっからここまでで」

「お前、本当に良い客だよ」


その場で焼いてた串を半分以上注文してやった。どうせ4匹居ればそれくらいは丁度良いしな。


「何したか知んねえけど、俺の前で惨いもんだけは見せねえでくれよ?」

「へいへい、善処しますよ」

「……1番信用できない言葉じゃねえか?」


知らん。てか気にしてられん。

情報は入った。人間たちは俺たちを探しているらしい。これはさっさと王子に接触してファイル渡して帰ろう。いや、いっそのこと王都のギルドに置いておこう。リーガルなら中身を見ないだろ……あいつ今この街じゃん。向こうに行ってもしばらくは待ちかよ。

さて、屋台の営業妨害になると悪いしさっさと離れよう。


「凍、何で人間に探されるって分かったの?」


逆に何故分からん。


「探されていることよりも動きが早いことが問題よね」

「明日のトーナメントは楽しみにしていたんですけどね」


色物全開だもんな。どんな戦い方するのかちょっと見てみたい。何かネタっぽくて面白そう。だが見ない。魔都を出る。シェフとかピエロとか厨二病とか神父とか気になるけど。

さて、ホテルに戻ってどうしようかね。直ぐに魔都を出るか明日にするか。

……あれ? 下手したら、門で捕まるんじゃね?


焔は鼻は効くけど頭は残念です


焔「ええっ!?」

凍「知ってる」

焔「ええっ!?」

雷「今更よね」

焔「ええっ!?」

花子「あ、確認ですか?」

焔「皆酷い!!」

全員「よ~しよしよしよし」

焔「犬じゃないもん!!」


次回、魔都編も後半戦?

お楽しみに~

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