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3話 ここが魔都なんですね

3話目にしてようやく魔都に到着です

魔都で魔獣たちはどんな活躍(?)を見せるのか!?

……魔都と魔獣って見間違いしそうですね


凍「そう思うなら並べるなよ」


でも並べます

では、本編どうぞ~

焔の過去に疑問も無く犯罪臭いものを感じた俺たちはそれ以降は特に問題も無く、王都を出て3日目の2時ごろに魔都キャトルミューティレーションに到着した。

人間の姿だとやっぱり時間掛かるな。でも馬車ってのも風情が無いし折角の新婚に馬が割り込んで来たら焔と花子が暴走しかねないし仕方ないのか? 雷がストッパーになってくれれば少しは安心できるが、あいつは自分が楽しいと悪ノリするから油断でない。


「うわぁ~、おっきな門だねぇ~」


そんな俺たちの目の前には高さ10メートルくらいありそうな黒い門。北門だと思う。

魔都を囲うように広がっているが、全部が10メートルってわけじゃない。入口の東北だけが高く、他は5メートルほどだ。5メートルとは言っても所々に柱が立っていて網のような物で覆われている。なんだこの構造?

そして門の向こう側からは大きな街特有の喧噪が聞こえる。


「こんにちは。旅の方です、か?」


門には感じの良い守衛が2人、俺たちの服装を見て戸惑っている。門の横の詰所らしき部屋で3人がトランプで遊んでいる。

人間至上主義と言われると魔獣としては身構えてしまうんだが、バレないよな?

そして守衛、戸惑いから脱出して直ぐに鼻の下伸ばすな。眼球抉っちゃうぞ?


「うんっ、新婚旅行だよっ!」


……とても元気良くお返事できましたね。


「えっと……同業の方と、ですか?」

「ううんっ、皆家族だよっ?」


守衛さん、引かないで。てか何か勘違いされてないか?


「重婚なんです」

「あっ、ああ! そう言うことでしたか……やり手ですね」


尊敬の眼差しを受けてしまった!? どうしよう、こんな経験初めてでどうしたら良いか分からないよ!!


「それにしても……天使様の髪の色ですか? 似合っていますね」


俺たちのことは本物だとは思ってないらしい。屈託のない笑顔で名前を書き込む名簿を渡してきた。

冒険者は街に入る前にチェックするそうだ。今は上位ランカーの決定戦もあって街には数多くの冒険者が居るから治安維持の一環らしい。冒険者は荒くれ者が多いからどうしても治安が悪くなりがちなんだとさ。


「この街の髪染めよ。気軽に使えるし、良いわよね」

「そっ、そうですかっ!」


雷の胸に目が行ってるな。本当に眼球抉るぞ。確かに男なら目が行くのは分かる、と言うか行かない方が不能じゃないかって心配になるけども。

……結構理不尽な話だな。

冒険者ギルド所属の指輪を貸してくれと言われたので渡すと詰所の装置にかざして何かを確認した。何事も無かったようで笑顔で出てきた。


「はいっ、確認が取れました。ようこそ、キャトルミューティレーションへ!」


やっぱり自分たちで魔都とは言わないよな。

大きな門から『ゴゴゴゴゴゴ』と重低音が響き、その大きな門が左右に観音開きのように、


「こちらが入口になります」


開かずに門の横の普通サイズの扉が開いた。


「何だったんだよ今の無駄な荘厳さは!?」

「いえ、雰囲気を楽しんでいただこうと。こんな大きな門を毎回開くのは無駄ですから」


正論で何も言い返せない。でも、確かに10メートルもの高さの門を毎回開くのは無駄だけど、だったら昼間は空けとけば良いだろうが!!


「ああ、大会は冒険者ギルドでもある街の中央にある円形の建物ですので直ぐに分かると思いますよ」


ご丁寧にどうも!

何か釈然としない。あのキャラの問題だろうか?

門、と言うか扉を抜けると大きな道が真っ直ぐに伸びていた。道の両側は2階建てのレンガの建物が何軒も隣り合っている。そして道の先には円形の建物の壁が見える。恐らくギルド兼大会会場だ。

高さは10メートルくらいだろうか。1キロくらい離れてるしあんな高さの建物は対比物がないと上手く大きさが測れない。


「賑やかな街ね」

「活気がある、と言うのでしょうか?」

「良い匂いがするよっ」


早速焔が屋台の方を指差した。

完全に俺の食べ歩きしたい気持ちを察してやがる。本当に出来た嫁だことで。

行ってみるとピ牛……豚肉に近い味の肉を持った乳牛の肉を炭火焼にして売っている店だった。コンガリと日焼けした顔に大きな斜め傷のあるガチムチ系のオッチャンがニカッと笑って話しかけてきた。


「なんだ小僧、女3人も囲ってハーレムたぁ、やるな!」

「そりゃどうも。4本くれるか?」

「おっ、良いねえ。俺の奢りだってか?」

「そんなところだ」


このオッチャン俺が買わなかったら絡んできたな。先に買う宣言しといて良かった。

メスたちに串を渡すとキャイキャイ言いながら食べ始めた。俺はオッチャンに情報収集。


「凄い賑やかだな」

「おう。普段から良い感じに賑わうんだが、今年は大会があるから余計に人が多いぜ」

「冒険者が集まると治安が悪くなるって守衛に教えられたぞ?」

「大通りでそんなことする馬鹿は直ぐにボコボコだ。ここは人間のための街、人間を傷つける馬鹿は人間じゃないってね」


スゲエ価値観だな。


「その割に大会は人間どうしで戦わね?」

「ルールを聞きゃ分かるってもんよ。お前さんたちも見に来たんだろ?」

「まあね。ちょっとした新婚旅行だ」

「ほう……どいつだ? 紅い嬢ちゃんか? 胸の嬢ちゃんも捨てがたいな。清楚な嬢ちゃんも悪くねえ」

「全員だよ」

「…………あんだと?」

「だから、重婚で3人全員俺の嫁」


流石に『匹』とは言えない。

それにしてもこのオッチャン話しやすいな。顔は傷もあってヤクザなのに。


「この小僧、言うに事欠いて、何て羨ましい」

「悪いな、欲張りなんだ」

「気を付けろよ、街のモンは安心だろうが、余所者はきっと狙ってくるぜ?」

「……殺す」

「おい、この街で殺しは死刑以上にヤベえぞ。拷問されまくって磔にされて晒し者だ」


素直に死刑にしてやれよ。


「ただの死刑じゃ人間の命は償えねえよ。人殺しの命は殺された側より重いってな」


場合によると思うけどな。

まあその事件毎に事情は加味されると思うが。


「ちゃんと正当防衛はあっから、やり過ぎねえ程度にしろよ?」

「了解。結構美味かったしまたくるよ」

「おう、待ってるぜ」


いや、面白い味だね。大雑把に言えば豚肉だが少しだけ牛のような焼きたてのステーキっぽい香ばしさがある。この火加減は焔にも勝るとも劣らない、やるな屋台のオッチャン。


「……私以上の火加減」

「焔の火加減には劣るよな! やっぱ焔の焼いた肉が1番だよな!!」


やべえよぉ、焔がオッチャンの方に殺気向けそうになってたよぉ。

野生動物が気絶するレベルの殺気を人間が受けたらどうなるか分かったもんじゃねえって。


「全く、落ち着きなさい。後で凍があなたの過去を根掘り葉掘り聞くんだから」

「っ!! そうだよねっ、凍が後で私のために時間を使ってくれるんだもんねっ!!」

「……あれ? 何か意味合いが間違っているような? あれ??」


花子、お前が正解だぞ。絶対に焔が間違ってるから安心しろ。

とは言えこれ以上駄弁っていると焔の話も聞けないし宿も取れなさそうだったのでまずはギルドに向かう。実はギルドってリーズナブルな宿の情報とか教えてくれるから冒険者ならとりあえず最初に行くのが良い。ただしトラブルが寄ってきたりするから注意が必要だ。

屋台はギルドまで50メートルくらいの距離だが、ギルドに近寄るほど武器を持っている人間の割合が上がる。ついでに人相の悪さも上がる。子供を近付けたくない場所ナンバー1なんじゃないだろうか。


「闘技場でも意識しているのでしょうか?」


花子の言う通りギルド兼大会会場は円形で入り口には鎧を装備して武器を構えた男たちの大きな像が飾られている。像は3メートルと少しくらいで筋肉隆々のマッチョだ。定番と言えば定番の置物かもしれない。

ギルドの入り口は闘技場の中みたいだ。3メートル程度の石レンガのアーチの中を歩くと通路の真ん中くらいにあった。通路の壁に埋め込まれたような感じで暗いんじゃないかと思ったが、通路がそんなに長くないから太陽の光は入ってくるし魔石のライトを多く使っているのか結構明るい。

王都と違って本当に冒険者の拠点っぽい適度なアングラ感がある。いや、あのドピンクな店構えが異常だってのは分かってるんだがな。


「これ、他の方角から闘技場に入ったら分からないわよね?」

「……何か工夫されてると思いたいな」

「あ、オジサンの匂いのする武器があるよっ」


焔に言われた方を見るとギルドの入り口の隣に立て掛けられている斧だった。確かに武器屋のオッチャンの匂いがするが、匂い自体はかなり古いものだな。


「こっちの大陸では有名な武器屋さんだそうですし持っている人が居てもおかしくないのかもしれませんね」


……何だか、花子が普通にお姉さんしてると違和感あるな。

さて、今からギルドに入るとして、王子からの依頼はどうすっかな~

凍「……オッチャン増殖計画でもやる気か?」


ということで、オッチャンが増えました

武器屋のオッチャンに対抗して、屋台のオッチャンです


雷「名前をつけなさいよ」


何か思いつかなくて


花子「でも、武器屋のお爺さんは色々とストーリーに絡んだりしましたよね? まだ決まらないんですか?」


……言えない、実は名無しで良いんじゃないかと思ってるだなんて絶対に言えない


では、次回をお楽しみに~

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