1話 お久しぶりです
副題通り、お久しぶりです
更新の無かった10日間でお気に入りが10件も増えている!?
1日1人の読者様が増えたと思うと嬉しいです
凍「そしてようやくの新章開幕だな」
焔「続き続き!」
雷「……前書きで全員揃うのも久しぶりな気がするわ」
花子「さて、この章はどうなるんでしょうか?」
人間至上主義、そこに魔獣が入り込んだらどうなるかっ!
……まあ、まだ魔都に入らないんですけどね
では、本編どうぞ~
凍「……早く魔都に行けよ」
【2度と帰ってきちゃ駄目よ?】
……何か目覚めにはよろしくない言葉で起きてしまった。
場所は王都の宿屋の1室、相も変わらず全身を嫁たちに拘束されて動けない。誰か1匹でも離してくれないとベットから出れないってどうよ?
右腕を焔が腕枕にして胴体に抱き着き、左腕を雷が胸で挟むように抱え、腰に花子が正面から乗っかっている。朝の生理現象が発動するぞ?
花子はベットが滅茶苦茶柔らかい時は背中側に居るが、普通の宿にそんな凄いベットがあるわけもなく、正面から来たらしい。
「……今日は、待ちの日か」
村を離れて3日、王都に戻って2日目の朝だ。村を出る時にお袋に言われた言葉で起きるなんて、結構気にしているのかもしれん。
困った時に帰る場所が無いってのは、途方に暮れるって言うんだろうか? 大体そんな感じだ。意外と心の拠り所にしていたんだろうな。花子はこれを1匹で抱えてたんだから凄いと思うよ。最近は痴女いお姉さんだっただけにそのギャップで萌える。
……意外と余裕じゃねえか俺。
俺が起きた気配を察した焔が解放してくれて、花子を引き剥がしてくれたので雷の胸から腕を抜いて行動開始。焔は俺が起きる2分前くらいには起きてたな。そして狸寝入りしてやがった。
ああ、別に昨夜は何もしてないぞ。本当に。
付け足すと嘘っぽいな。
王都には武器のメンテナンスと魔都キャトルミューティレーションまでの旅の準備で寄った。雷狼の村の件とかも気になるが氷狼の村にも炎狼の村にも関係無い俺たちにが関わる問題じゃない。というか何もできない。
仮にも雷狼の村が問題なんだ、俺たち4匹でどうにかできるわけもない。
と言うわけで、俺たちは次なる目的地として魔都を選んだ訳だ。
魔都は今、冒険者のAランクとSランクを決める大会の準備で活気に満ちているらしい。俺たちが魔都に到着する頃に開催っぽいから完全に観光だ。
冒険者ギルドの高ランクには人数制限があって、確かAが20人でSが5人だったと思う。リーガルが登録した時に教えてくれたがよく覚えてない。俺たちは別に依頼を積極的に受けてないから出ることはない。当日参加のチーム戦とかあるらしいが、怪しまれたり注目されるのは危険だし見るだけにしておく。場合によっては会場に近付かないかもな。
いや、ここまでくるとよくあるパターン入りそうじゃん?
強い冒険者が焔とか雷とか花子とか見て『俺の女になれよ』とか言いそうじゃん? 間違いなく殺すぞ? 我慢できる自信が全く無いぞ? それが高ランクの冒険者だった日には目も当てられない事態になるぞ?
それでも面白半分で行ってみたいんだけどさ。
ちなみに、オッチャンの店で王子に会った。俺たちに依頼したいことがあるらしい。
武器のメンテもあるから明日までは王都に居る。依頼は今日話すつもりらしい。報酬は特に決めてないから、欲しいものがあったら言って欲しいらしい。ちなみに、欲しいものが無かったら断っても良いらしい。
何を頼む気なんだ、あの王子は……その前に、名前が思い出せない。どっかで聞いたはずなんだが全然思い出せない。
まあきっと大事なことじゃないんだろ。覚えて無くても心配ないさ~
「凍って変な所で自分に正直だよねっ」
言うな。自覚はあるから指摘されると何も言えないんだっつの。
で、王都で適当に魔石採取の仕事をいくつか受けた。魔獣を殺す必要も無いし、魔獣たちに魔石を出せって言うと怯えながらダッシュで持ってくる。最悪自分たちの排泄した魔石でも可能だしな。
だが、ここで1つ問題が起きた。
「さあさあっ、野菜だよ野菜!」
「雷、美味しいですから遠慮なく食べてくださいね?」
「いや、私正直肉が」
「「はいっ、どうぞっ?」」
「……頂きます」
雷の食事にて野菜の比率が大幅に上がりました。
雷に便秘になったのはいつぐらいからか聞いたら人化して過ごすようになってから、つまり俺たちと一緒に居るようになってからだった。人化すると体の構造は人間に限りなく近くなるから便秘の理由も近くなる。そして最たるものが食生活だというのが焔と花子の予想らしく、現在雷は肉と野菜を2:8の割合で食べることを強制されている。
あ、薬とか浣腸は俺が止めたぞ。人間に限りなく近いだけで一応は魔獣だから薬剤系は未知数で危険だと思ったからな。
それにしても、確かに雷の胸は一緒に旅するようになってから大きくなったが元から1番大きかったんだよな。正直言って、最初っから大きさでは勝てないのは決まってたと思うんだ。
「うぅぅ……肉、肉が欲しいわ」
いや、確かに雷は肉ばっかり食ってたけど2:8は酷いんじゃないかなぁ~
言わないけどな。薬剤系は禁止って言うのも結構な勇気が必要だったし、これ以上焔と花子に何か言うのは危険だ。
そんな風に宿の食堂で朝食を食っていると宿の入口から王子がメイド長を伴って入ってきた。
「……おいコオル、何だこの状況は? と言うかまだその服なのか」
王子は俺たちが魔獣だって知っているし、花子以外が肉食なのも知っている。その肉食代表の雷が野菜ばっか食わされているのが不思議で仕方ないらしい。そして医者コスプレに関しては何も言うな。
「何だか、不憫ですね」
痛ましそうにメイド長が言う。王子に俺たちが人間じゃないことを聞いているのかもしれないな。まあ肉食獣が野菜を食わされているってかなりレアだもんな。正直見ていられません。
「まあ良い、そのままで聞け。依頼の話だ」
こんな朝早くから来なくても良いだろうに。
「女将、適当な定食を頼む」
「はいよ~」
……本当に王族なのだろうかと疑問になる。オバちゃんも王子相手にしているには対応が雑だし。他の客も特に大きな反応は無い。割と日常の一幕みたいな感じだ。本当にこの王子は何なんだ?
「さて、依頼内容は簡単だ」
あ、即話に入るのな。
「魔都の中枢に隠されている機密を何でも良いから探ってくれ」
大雑把過ぎる!!
「大雑把過ぎたか。正確には実験を伴う機密を探って欲しい。どうにも魔都は謎が多くてな。知らんだろうが、以前は人工生命体を研究している機関があったほどなのだよ」
俺の引き気味の顔で察したのか捕捉を入れてくれるようだ。
「人工生命体?」
「そのままの意味だ。人間が人工的に生き物を生み出そうとした」
「以前ってことは、失敗したのか? てか魔獣のツギハギでもしたんじゃねえの?」
「それも分からん。研究機関に怪盗が現れて唯一の成功例である少女を誘拐して以来その施設が使われなくなったそうだしな。ああ、その怪盗なら今は王都で活動しているぞ。帝都出身の冒険者が全てギリギリで事前に侵入経路を見破って撃退しているがな」
何だその名探偵。
「冒険者の方はヒロイン吸引体質でお前に似ているがな。怪盗の方も躍起になっているのかその冒険者をピンポイントで狙って犯行予告を出しているみたいで……話が逸れたな。私の依頼、受けるか? 受けないか?」
あ~、正直何も考えてなかった。報酬ったって欲しいものなんて無いしな。
てかヒロイン吸引体質ってなんだよ。
「報酬が思いつかないならば保留にでもしておけ。私は受けてくれるなら何でも構わん」
そうだな、別に今直ぐ決める理由は無いもんな。
「それよりも、そろそろアズマを助けなくて良いのか?」
言われて雷の方を見てみると野菜を親の仇のように睨みつけている。目がちょっとヤバい。裏のお仕事がメインの荒くれ者でも逃げ出しそう。てか気の弱い奴なら幻狼でも逃げそう。
焔と花子は少し手加減しろ。
「お~い、無理させ過ぎて余計便秘になったらどうすんだ?」
「「!!??」」
いや、無理に野菜食べ過ぎて便秘が悪化するかは知らんけどな。でも病は気からって言うじゃん?
「凍、ナイスアシストよっ。さあさあ、私が精神的に参って余計に吸乳されたらどうするのかしらっ?」
「ぐっ、確かにそれも一理ありますね」
「…………」
何だ? 焔が俯いて何か考えてるぞ。
「凍っ!」
「はいっ」
急に呼ばれてビックリして声が裏返ったのは無視してくれ。周囲の人間たちも全員焔の権幕に怯えている。
そしてオバちゃんは俺を睨んでいる。
なんもしてねえよ!
「雷に浣腸することを許可してっ! そしたら凍を1匹でも満足させてあげられるくらいおっきくなるように育てるから!」
何をだっつの。
とりあえず、焔には釘を刺しておいて明日の出発の準備を進めよう。
雷の胸は凍の常識的判断(笑)によって未だ健在です
焔と花子も強硬手段には出れておりません
雷「助かったわ。でも食生活が、肉が足らないわ」
さて、吸乳狼の未来はどうなることやら
では、次回~