8話 ここが世界の終りなのね
前回で100話達成をしたのに読者様に言われるまで忘れていた作者ですが、この度もう1つ忘れておりました
凍「まだあったのかよ」
そう、アクセス回数も100万を突破していたことにきづいていませんでした!
スミマセン<m(_ _)m>
雷「本当に色々忘れてるわね。こういう節目くらいはシッカリ覚えておきなさい。広報の基本よ」
はい、気を付けます
では、ここまで見てくださっている読者様方に感謝しつつ、本編です!
風龍、お前が言ってるのは水龍の2番煎じって言われても反論できない内容だぞ?
【何か言いたげだな。言ってみろ】
【滅相もございません】
殺気ぶつけんな! 花子が俺の背中から降りて焔と雷の間で震えはじめただろうが。そして、ガチガチと震えそうです!
【ふんっ、メスを3匹も引っ掛けて、淫乱か? 私の目の前でもイチャイチャイチャイチャといやらしい】
何と言う言い掛かり。完全に独身魔獣の僻みだ。これは長くなるかもしれないな。
【大体、同時に複数のメスを娶るというのが不誠実だ。最初は1匹に愛を捧げ、その後に自分の力に見合った数のメスを囲っていくのが常識あるオスの行動だろう。それが同時に3匹だと? 若い性欲に任せて勝手放題好き放題か? 非常識にも程がある。少しの間は重婚をする者もいなくなって氷狼もバランスが取れたのだと思った矢先にこれか。これだから最近の若いオスは。もっと誠実な態度を貫こうとは思わないのか? 大体、貴様の番には同族が1匹も居ないようだな。匂いもそこの3匹のみだ。一体何を考えている。そもそも、氷狼や炎狼と敵対していたはずの雷狼を手懐けてしかももう1匹は蝶だと? あまりにもかけ離れた種族で交わればその子供がどうなるか分かったものではない。その時に生まれる悲劇を回避するためにも違い過ぎる種族間の交尾はさけるべきだというのに、嘆かわしい。これが昨今の若者の風紀の乱れか?】
長い、そしてまだ続いている。
【貴様が娶ったメスの数だけ他のオスの可能性が潰されたのだぞ? それも別種の魔獣にだ。それは炎狼や雷狼や蝶の繁栄に大きく影響するかもしれんというのに、】
もう分かったって。何言われても俺はコイツらを番にするのを止めないからその不毛な説得とも愚痴ともつかない語りを止めてくれ。言えないけど。
【えっとぉ、凍】
演説に熱くなっている風龍が気付かないように焔が話しかけてきた。その横にはブルブル震える花子が居る。
これはヤバいな。早く温かい所に連れて行ってやらないと。
【あぁ~、悪いけどそこら辺で勘弁してくれ】
【そんなだから昨今の魔獣たちが……何だ?】
【こっちには蝶が居る。寒さに弱いしこれ以上長くなるようだったら戻って温かくしてやりたいんだ】
本当なら風龍に喧嘩売るような対応はしたくないんだが、今回ばかりは仕方が無い。最悪の場合は俺が風龍の相手をして焔と雷には花子を見ていてもらうつもりだ。速さに自信のある氷狼なら時間稼ぎくらいはできる。
速さが足りてる!
……しまらない迷言集に入りそうだ。
【む、それはいかんな。メスは繁栄の絶対条件なのだから体は大事にするべきだ】
原因は俺とあんたで半々だがな! というか男女差別反対!
【じゃあ焔と雷は花子を村まで送ってくれ】
【うんっ】
焔も雷も俺の考えは理解してくれたようで反論もせずに花子を背負って村に戻って行った。察しの良い妻たちを持てて俺は幸せです。
【何故1匹で残ったのだ?】
ああ、風龍が察せるわけはないよな。
【俺だってあいつら3匹を番にするって覚悟はある。だから婚姻の儀式で風龍に出される課題を聞こうと思ってな】
【なるほど。そんなこともあったな】
俺が知らないくらいだからかなり廃れた習慣だったんだろうな。そもそも2匹の番を持ってるオスとかメスとか村には居ないし。
【では、言い渡そう】
できなくても山の風龍に会いに行ったっていう事実が大事らしいし、無理なら努力だけして無理だったって言えば良いよな?
【私の番になれそうな龍を紹介してくれ】
………………婚活必至っ!
てか、おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいっ! 普通に無理だろ? 努力のしようがないだろ? 完全に孤立するような力の強い風龍に吊り合う龍なんて知らねえって!
龍だって人間も魔獣も入って来れないような険しい谷とかで集団生活をするが稀に力が強過ぎて1匹で暮らすしかない個体が居る。きっとこの風龍はその1匹だ。確か帝都の水龍がそれにあ、た……る……ああっ!!
そうだよっ、水龍が居たじゃん! 完全に忘れてた! てかこの課題って俺以外には絶対に無理じゃね? 普通の氷狼に龍の知り合いなんて居ないっての! てか霊竜に水龍に風龍の知り合いって普通じゃ考えられないっての! 何か訳の分かんない獣脈が出来てんだけど!?
【あ~、隣の大陸のリストカット帝国の近くの湖に若い水龍が、】
【行ってくる!】
ああ、嵐のような風を纏って風龍様が飛んでった。
あとで水龍に怒られるかもしれないが、まあ今は婚姻の儀式を果たせたことを喜んで花子の様子でも、
【行ってきた!】
早っ! もう帰ってきたのかよ!
あ、胴体に銜えられた痕のある水龍が横に倒れてる。きっと風龍の飛行で生まれた慣性に耐えきれなくて地面に叩き付けられたんだろうな。
【どうだった?】
【好みだった!】
何だろう、この風龍ってば打てば響く返答なんだけど。とてもテンポ良く話せるとでも言えば良いんだろうか? 焔には負けるが。
【ああっ! 貴様、凍だな! この状況も貴様のせいか! レイと一緒にギンガをけし掛けてスバルをからかっていたのに、最後の最後に用意したオチが見れなかったではないか!! しかもレイは着物がはだけていて実に眼福だったのだぞ! どうしてくれる!?】
霊帝と一緒になって何してやがる。てかバカップル見るの止めて積極的に弄りにいってんのかよ。意外と霊帝との仲は良好なようで恋のキューピッドとしては嬉しい限りだ。しかしロリコンが進んでいる。
【よしっ、私はお前たちの婚姻を心から祝福してやろう。だから今直ぐ村に帰れ。私はこのオスとシッポリやる】
アグレッシブ!?
【おい凍、何の話だ!? この年増に一体何を吹き込んだ!?】
あ~、やっぱりこの風龍って結構な歳なんだ。完璧に見分けられるわけじゃないけど水龍と比べると随分と年上に見えたんだよな。
【年増? まだ寿命を1000年も残している私が年増? 言ってくれる】
……龍種は平均寿命は約3000歳だから、この風龍は現在2000歳……やべえ、水龍が200歳手前だから年齢差が1800もある。霊帝と水龍の年齢差が可愛く見えるな。
【龍種は1500歳を超えてからが本番! だから私も今が現役真っ盛りなんだよっ!! 良いから抱かせろ!!】
【最後のが本音だろうが! 来るなっ! 吾輩は年増なんぞに興味は無い! 若いメスの方が良いに決まっている!!】
ああ、ここに風龍VS水龍の火蓋が切って落とされてしまった。そして地味に水龍が年下好きだと判明した。霊帝の貞操は数年後には汚されてるんだろうな。
さて、戦いが始まった。
勝者は敗者をそれはもう思うがままに貪り食うんだろうな。勝った方によって食うの意味が全く違うが。
化け物2匹の戦闘なんて余波だけで死ねるから俺はさっさと退避した。
現在は2匹がバトッている地点から1キロ程度離れて観戦しているんだが、風龍の方が優勢だ。
【大人しくしろっ! 直ぐに済むから!】
【巫山戯るな! 吾輩は自分の湖に帰る!】
空を飛ぶ青と緑の龍が高圧縮された水と風をぶつけ合っている。2匹の争っている地点の真下の森は余波で剥げてしまった。所々がクレーターのようになっているのが悲しい。そしてクレーターには水龍の生み出した水が溜まり池になっている。
あそこで平和に暮らしていた魔獣たちよ、安らかに眠れ。まあ争いの原因は俺なんだが。
止めて、私のために争わないで!
まさかこの台詞を言うときが来るとは、生きるって不思議。
【まだ、抵抗するのならっ!!】
【風龍っ、貴様はっ、吾輩のっ!!】
ああ、とうとう水龍が風龍に押し切られた。
風龍が動きを止めたのを見て体力切れだと勘違いした水龍が全力で水弾を撃ったら風龍が風で水弾が自分の身体の後ろをグルンと回るように調整して水龍にカウンター、全力で放ったために動けなかった水龍は見事に自滅し森に落ちてゆく。
しかし、2匹の掛け合いが時を見る機動戦士なアレにしか聞こえない。噛ませ犬な金髪エリート様に栄光あれ。
【くっ、この程度で!】
【いいや、ここまでだ】
もはや森とは呼べないほどの木々が吹っ飛ばされている大地に横たわった水龍が体勢を立て直そうとすると風龍が上から尻尾を叩きつけて止めをさした。
【ふっふっふっ、くっくっくっくっ、はぁぁぁぁぁっはっはっはぁっ!!】
わお、風龍様が御乱心なされた。
【年の割に偉そうな生意気な態度っ、若いが将来性のある力強い能力っ、引き締まるほどに鍛え上げられた理想的なボディィィィイルァァァアインッ! 全てが私好みだ! まさにっ、我が世の春が来たあぁぁぁああっ!!】
……その日、泣き叫ぶ残念水龍の悲鳴と初めての経験に嬌声を上げる年増風龍の情事がなされた。俺たちの婚姻の儀式の裏で行われた非常にどうでも良い舞台裏の一幕である。
こんなものは放っておいて、花子の様子を見に行こう。焔は心配してるだろうし雷も気にはしてるだろうしな。
凍「……何か、水龍がヒロインに出会うってどっかで見たような」
帝都裏話の時にいただいた感想のネタですね
面白そうだったので今回採用してしまいました
水龍【そんな前に吾輩の悲劇が決まっていたというのか!?】
幼女の着崩れに欲情しているロリコンは黙っていてください
僕も熟女は勘弁なんで暴れた気持ちは分かりますが
水龍【そもそも年増を出すなああああああああああああああっ!!】
次回で魔獣森は終了です
これで凍は完全に村から離れ、自分の力で狼としての生活をしていくことになります
狼は基本的に集団生物ですから実は一匹狼って生存率滅茶苦茶低いんですよね……でも焔と雷と花子が居るから危険なのは凍に関わる周囲の生き物たちですが
次話は明日更新です
翌日更新だよ、やったねけんしょ~
凍「オイ馬鹿止めろ!!」