赤いくつ?
アンデルセンの童話に『赤い靴』という話がある。
僕はそれを、知らなかったのだけれど。
・ ・ ・
日中騒がしい2車線道路、時々暴走しているバイカーの集団、道隅に縦列で溜まるタクシー。それから密集している雑居ビルを通りすぎ、水質よろしくない濁流川の上に盛り架かる橋を渡ると見えてくるのは、小さな公園だった。
曲がり角に位置するその小さな公園には、暗い緑の茂みと、細傷の多い座るだけの3人掛けベンチ、乗って遊ぶはずの象の造石があったという。交通量の多い界隈であるため、ここには恐らく数年後に『色々と危険なのでここで遊ばないで下さい』と注意書きの書かれた看板が出現するに違いないと、自称霊能者は予言している。子どもの遊ばない公園とは公園と呼べるのかとも、核心を突く発言までしていたらしかった。
疑わしい公園をすぎると、マンションの並ぶ坂道が続いていた。
ひとりの老人がコンビニの袋を提げて前のめりに坂を上っていくと、その横を迷彩タンクトップ服の若者が組立式で3段変速可能な黒色ストリートバイクで颯爽と追い抜いて行った。老人は、「ふう」と少し背筋を反らせてみせると、額の汗を拭ってまた腰を曲げていた。
既に遠くなっていった若者は、間もなく視界から消えていく。老人の前に今度は白い日傘をさした、30代も半ばすぎになりそうなふっくらとした体格の女性が見えて、坂を下って近づいていた。
ああ蒸し暑い、今夜もそれで唸るのかと、周囲の住人は皆、思うことは同じである。
マンション内装にも格差があった、夏場冬場に活躍するエアコンが、住まう始めから設置されていたのかいないのか。眠りを妨げるもの全てが憎らしくて憎らしくてたまらない、こんな時代に誰がしたのだと、そう思っている。
建物と建物の間に挟まれた自販機でキャップを被った小学生がサイダーを買っていた。取り出し口の冷えた缶に手を伸ばそうとすると、『釣り忘れんといてやん』と機械が話しかけてはいるが、小学生は全くの無反応だった。慣れていた。
飲みながら、友達の家にでも遊びに行くのだろう。
「全く……嫌な事件が続くな、最近。強盗だが、手口が酷い」
駅から僅か徒歩5分ほどかかる所にあるビルの、3階に事務所はあった。通りに突きだした看板には、縦書きに『心霊・除霊・浄霊専門』『ヒロカワ』と書かれていた。ヒロカワ、広川優35歳、霊や仕事のせいでもあるが夜になかなか就寝できず、不規則な生活習慣がたたってか腹がぽっこりと目立ち頭が時々に痺れていた。先日かかった病院では医者に「とりあえず糖尿病ではありません」と言われて安心してはいるが、『とりあえず』という所が半端で引っかかっていた。たぶん平気である。
そんなヒロカワが読んでいた新聞、題字に、『湯気新聞』と書かれている。湯のみにお茶を淹れてきた嫁第1候補の相田さとこが、「何で『湯気』新聞なんですか」と尋ねてみた所、「『ホット』という意味だ。あたたかい、あつい、情熱の『ホット』、またはホッと安心、安らぎ、癒し。……たぶん」と、無理に力説するヒロカワだったのだが、そこにちっとも根拠はなかった。
ずず、ず。静かになった部屋にお茶をすする音が響いていた。本棚には全国各地の地図や、過去の新聞から重要事件などをスクラップした資料、ヒロカワご自慢『旅先ぐる目ガイド』などが整理されて収められ、窓際には海外から取り寄せた幸せのサボテンが、神棚には奈良で買った小仏が。ワイヤー製の傘立てには護身用にシャッターの棒がささっていた。玄関には狸の焼き物が置いてあり人間・人種・性格・不向き問わず誰かれ構わず客を無条件で大歓迎さ心オープンどうだベイベと、しつこく快く出迎えてくれる……かもしれない。
「で、ホットな話題というか、事件が強盗ですか。何処で?」他の社員が聞いていた。
「すぐそこだよ。地元新聞なんだがね。何の連鎖か、酷い事件が続いている。霊を祓う立場も考えてもらいたいものだ。増やすものだから忙しくてたまらん」
ヒロカワはお茶を飲みながら、折り畳んだ新聞を乱暴に机の上へと放り投げて立派な社長椅子に体を預けて項垂れていた。相田さとこの淹れたお茶は冷茶、れいちゃ、霊は無論入ってはいない。安物だが香りは実によかった。線香の香りではない。
「今日は予定ないじゃないですか。ゆっくりとして下さいな、休みと思って」
「いやー、それがだね。今朝早々、1件主婦からのヘルプ連絡が入った。それで午後から行ってくる。ふいー」
せっかくの相田さとこの労わりも無駄に、ヒロカワの目は仕事を追っていた。今日も充血している。
特注でこしらえたWネックシャツの白い袖を捲りながら、ウェスタン風の麦わら帽子とドコモの携帯を手にとった。
「どんな感じの依頼なんですか、大変そう?」
心配しているのかしていないのか定かではないが相田さとこは聞いている、出掛けの用意の手を止めないヒロカワは答えていた。「たぶーん……」数時間前に記憶を戻し、電話内容を思い出そうとしていた……
電話は、女性からだった。「もしもし。心霊専門業務、ヒロカワです」朝だったため声の調子が少し外れていた。
「岬といいます。息子が」
焦りもあるのか挨拶も簡単に、用件を伝えてきていた。「息子さんですか。どうしました?」
「うちの息子が……5歳になったばかりなんですが、変なんです。助けて下さい」
主婦らしき人物の切実な訴えだった。「どんな風に、なんですかね」ヒロカワは真剣に、耳元の声に集中して聞き入れようと会話を淡々と続けていった。岬と名乗った相手は必死にヒロカワに説明を聞いてもらおうとしている。暫くの時間が経っていった。
「赤いものに、異常なんです」
「赤いもの? 例えばどんな」
「赤いものに、異常に執着するんです」「こだわりが?」「ええ……」
息子って、子どもだしなあとヒロカワは思ったが、続く詳細を聞いていた。
「トマトが嫌いでよく残すんですが、ある時から食べるようになってしまって。もうすんごい」
「よかったのでは……」
「ご飯そっちのけで食べるんです。足りないとケチャップを探して持ってきて、すするんです。興奮してしまってもう」
「うーん」
「それに、外出すると郵便のポストがあるでしょ。抱きついて『はなさない』とか言うんです。人間ならまだわかりますけど、相手はポストですよ!? 展望も未来もありません」
ポストとの未来って何だろうとヒロカワは思った。結こ、ん、……どうでもよかった。人間ならわかると言ったが、はなさないと言っているのがもし大人でいきなり赤の他人に抱きついていたら痴漢で赤っ恥である。子どもなら赤セーフだろうか、ヒロカワは考えてしまった。
「突然夕日に向かって駆け出すし」「はっはっはっ。若いなあ青春だなあ」「まだ5歳ですってば」「じゃあ、おませさん」「キティちゃんのリボンも赤いのじゃなきゃダメだと」「ご当地キティってのが増えてますねえ。僕、大阪たこ焼きで持ってます」「それより男の子ですってば! ある日突然キティちゃん」
聞いているヒロカワはこれでも真面目だった。だがどうも心霊臭くないので、対策をどうしようかなあと方向を巡らせていると、岬と名乗るその女性から首を傾げたくなるような言葉がついに飛び出した。
「私、遠縁の親戚に赤い派手なヒールの靴をもらったんですけど……それだけは、異常に怖がるんですよね。何故なんでしょう?」
聞いたヒロカワは「午後にそちらへ伺います」と言って、肩を叩きながらゆっくりと長電話を切った。
赤いものに執着していた5歳の子どもが、母親の赤い靴にだけはお気に召さずに嫌っている。
この時にまだヒロカワは、心霊現象だと決め込んではいなかった。あくまでも可能性のひとつ。子どもなんて気分で好みや行動が変わるものだと思ってやまなかった。だがそれは、訪問した家先にと近づいていくと一変する。
(この辺りは事件のあった……)
事は数日前になるが、記憶にも残る新しい事件がヒロカワの脳裏に呼び起こされていた。残虐だった押し入り強盗殺人事件――全国版ニュースにも2日ほどに渡り報道され続けていた、想像したくない模様だった。
(関係するとは思いたくないが、な)
向かう、ヒロカワを乗せたタクシーは教えられた住所へと到着した。
静かに佇んでいたマンション、間取りは2LDK、ヒロカワが玄関で革靴を脱ぎ、どうぞと通されたのは、リビングだった。食卓があり洋風黄色チェック柄の座布団が敷かれ、所々に玩具が転がっていた。奥のソファの背後にある白いレースカーテンが揺れていて、差す太陽光線をある程度に遮断してくれていた。ベランダには家主の世話か、家庭菜園をしているらしく、ミニトマトが成っている鉢が見えていた。
特段変わったことはないマンション住まい。ヒロカワは振り向き、出迎えてくれた女性を見て早速と用件を並べていった。
「で、息子さんというのは、どちらに? お会いできますか」
「あ、今、昼寝をしておりまして。呼んできます」
「ああ、結構です起こさなくて。見にいきます」「じゃあこちらです、どうぞ」
ヒロカワが女性に案内されてリビングを抜けるとすぐ、6畳ほどの部屋だった。中央に小さな布団の上で子どもがひとり『才』の字で寝ている、と思ったら、赤い剣を下に敷いて寝ていたようだった。子どもは腕を伸ばして仰向けに足を揃えて寝ていた。
「玩具が多いですね。赤い玩具が」
「最近赤いものばかりを買ってしまって。その剣も、『ハヤクナントカセイジャー』の火星レッドが持ってるやつです。何処かを押すと光りますよ」
「そうだ。例の赤い靴、拝見したいのですが」
ヒロカワに言われて、女性は玄関の方へと取りに行ったらしい、「すぐに」と声が向かいながら遠くなっていった。
その隙にヒロカワは子どもを見下ろして確認、いや、『確信』していた。
「これは決まりだな。間違いなく、お隣さん宅の霊の影響だ。見ればわかる」
はー、と息をついて腰に手を当て、外の方を見た。「適当に済ますか。そんなに悪霊オーラは出ていない」そんなひとり言を言っていた。
どうやらヒロカワにははっきりと『見える』らしい、『何か』が。数値で表すと、14オーラ程度である。
「持ってきました。この箱です」
女性が素早く持ってきたそれだが、「あ、そこに置いといて下さい。まず降霊しますんで」と目で指示されていた。「は!? ――こうれい!?」女性は素っ頓狂な声を上げていた、無理もない。ヒロカワは内心、面倒臭そうに言った。
「赤、赤、赤。このまま放っておくと、壁さえ赤くしようとか言い出しかねませんからね。その前に、お子さんに憑いている霊とお話させて頂きますから。じゃあ準備を」
いきなりヒロカワは優位に立ったように、女性に指図をし始めていた。「じゃあ、って。ああやはり子どもは何かに取り憑かれて? でも私、素人ですよ!? 準備って何のですか!」そう熱り立ち、いきなりの展開にとても冷静ではいられなくなった。しかしヒロカワは聞いてかいないのか、作業のことばかり考えている。
「こちらで適当にやりますんで、この札持って隅でジッとしていて下さいねー」
それでヒロカワが女性にと渡した白い折り畳み封筒の『札』だが、『スーパーおふだ』と墨で書かれている。どこが基準で何がスーパーなのかがさっぱりと解らなかった。恐らく単に幽霊除けだろう、売っているメーカー名だったなんてオチはないと思われる。
降霊の準備とはいっても部屋の中央、子どもが寝ている横に丸いちゃぶ台を持ってきて座布団を周囲に置き、電気を消してカーテンを隙間なく閉め切ったら、だいたいは終わりである。
「おっといけない。ローソクないですかね。あー、いいや面倒臭い。携帯のでいいや」
勝手に話を進めていきながらヒロカワは、ペンライトを点けて手探りで自分の鞄から携帯用と言っていたローソクを取り出していた。それはお誕生日用のローソクで、だが棒状ではなく、『2』や『3』と形づくられている物だった。これの先端に焼き焦げた跡があるが、ここに火を点けるのだろう、既に誰かが祝われた後らしかった。おめでとうアンド適当である。
ちゃぶ台上に立てたローソクに火をつけて灯りを確保したヒロカワは、女性へと振り向いた。
「それじゃ、もし退屈でしたら座禅でも組んで待っていて下さい。待っている時間が勿体ない」
ヒロカワ流の親切で相手を気遣っているようだった。女性はかなり何か聞きた気だったが、ぐっと何もかも全てをまるで丸のみをするかのように飲み込んで、堪えている。
「お願いします……」
「さあ、君は誰だっけ?」またいきなりの降霊スタートだった。
ヒロカワはもはや女性が眼中になく、子どもに向かって話を進めていた。簡単・お手軽・悩まないくじけない、相談無料と売りの聞こえはいいが、適当である。もう一度言おう何度でも言おう、適当である。『早い・安い』も売りだった。
「(カノコ……)」
ヒロカワに呼ばれて、即座に反応があった。しかと声を耳に入れたヒロカワが改めて見ると、寝ている子どもの目は閉じたまま口だけが動いていた。
「カノコ? どっかで聞いたなあ」すっ呆けているヒロカワはニヤと笑いながら、足を胡坐に組みかえて背筋を伸ばしていた。
数秒の間を置いて、口は動いていた。「(隣の部屋の住人です……)」か細い声は、油断すると聞き逃してしまいそうである。
「(包丁でブシューッと刺されて即死したみたいで、しかも現金3万を財布から持って行かれた)」
「あー、知ってるよ、あの強盗殺人事件。あれは酷かった。壁にまだ染みが残っていましてね、報道でチラ~ッと見えたんですが……消えないだろうなありゃ。しかしよく知ってますねえ、子どもに取り憑いて存じましたかね。それより、非常に悔やまれたことでしたでしょうよ……全くもって気の毒だ。ところで、僕に何かできることはありますか?」
一気に捲し立てるヒロカワに、カノコと名乗った恐らく幽霊は、暫く黙っていた。
やがて子どもの目がぱかっと開いたかと思うと、体を起こし、向かいにいるヒロカワの目をぼんやりと見つめていた。そして切々と、訴えかけるように目に力を込めていっていた。
「(許さないわ……)」
目の両端に涙をためていた。
「(悔しい……。たった3万ぽっちのためにあんな知らない奴に殺されたんだと思うと、死んでもとても死にきれない。あの男は捕まってしまったけれど、どうせすぐに(刑務所から)出てくるんでしょう? ……許さない。……復讐してやるわ)」
握りしめたこぶしがワナワナと震え、顔中が悪意と憎悪に満ちたものに変貌していた。それは子どもではなかった。
その時にユ、ラ、リ、と、ローソクの火が揺れる、炎は靡き、ボッ、と。一瞬だけ、大きくなっていた。
ヒロカワは咳払いをし……凝視した。
「……あなたがその犯人の男に何してくれようが全然構いませんけどね。子どもさんたちには関係ないでしょう、何で取り憑いているんです。まさか子どもの体を使って何か企んでいるんですかい? ……それじゃあんたもその男と同じく『犯罪者』だ」
「(だって!)」
ヒロカワの言葉に、幽霊カノコは初めて大声を出していた。
「(だって真太くんてば……私が悲鳴を上げても壁を叩いても。ちっとも……気がついてくれなかったんだもの……)」
話すうちにトーンが下がっていくカノコの声は、萎んで静かになっていった。
あの日。
あの日、ひとりで留守番をしていた真太は、リビングでテレビゲームをしていた。テレビ画面に集中しゲームに熱くなっていたのだろう、壁一枚を挟んだ向こう側の部屋、隣部屋でその時刻、確かにカノコは襲いかかる犯人から逃げようと壁も叩いたし助けも大声で呼んでいた。だが音は、騒がしいゲームの音に無常にもかき消され、せめて真太の関心がよそに少しでも向いたならよかったのにとでも思うと、残念で仕方がなかった。誰も、気がついてはくれなかった。
誰も気がついてくれなければ、それならば、またせめて……。
せめて玄関に、辿りつきたかった。逃げ出すため、もっと早く逃げ出せたら。止まらずに。
カノコは真太、子どもの体を借りて、これで最後と頷いていた。
「(『赤い靴』という童話があってね……。決まりを破った女の子が、こらしめられて、お気に入りの赤い靴を履いたまま脱げなくなってしまって……しかもずうっと踊らされるのよ、一生)」
「?」
突如語り出した内容に、何のことだとヒロカワは目で言っていた。
「(そしてとうとう女の子は……)」
……。
……肝心かと思われる物語の結末を告げず、幽霊カノコの気配は吹くはずのない風にさらわれたかのように、溶けていってしまった。行き先は天国なのか地獄なのか、それは……
誰にも、わからず。
後日に。時を経てわかったことといえば、依頼主だった母親から連絡が入り、赤に特別こだわらなく子どもが元に戻ったことや、捕まった殺人事件の犯人である男が署の捜査本部に別の強盗致傷などの容疑で再逮捕されたこと、それから。
童話の結末である。知らないままというのも気持ち悪いと事務所でヒロカワが嘆いていた所、傍に来た嫁第1候補奮闘中の相田さとこが教えてくれていた。
「知ってますよそれ。確か木こりか誰かに足を切ってもらうんですが、切った足だけどっかに行っちゃうんですよ」
戸棚の書類を整理しながら、さとこは言っていた。「足だけ?」「はい」「女の子はどうなった」「どうって」
さとこの読んだ本では、女の子は改心して、足のないまま余生を過ごしたとのことだった。余生を、――改心して、と。
(改心。復讐はどうなった……)
ヒロカワの気がかりは消えてはくれていない。「赤にこだわっていたのになあ」と、ぼやいている。
「周囲に当たりたかったんでしょうかねえ、無差別に。……やだわ」
他の社員はそう噂をしていた。肩を竦めて、さとこは「くわばら」と何度も呟いていた。
「ドラキュラに十字架のつもりで赤い靴も用意しておいたんだがな。結局は要らなかったみたいだが、赤い靴には何があったんだろうか……」
「さあ? そうですねえ……勝手に足が動いて逃げてくれたらよかったんじゃないですか」
さとこは適当に言っていた。案外、的を得ているのかもしれないとヒロカワは思っていた。
「(こんにちはー)」
すると、お茶を飲んでいたヒロカワのまさに目の前に、知っている幽霊が現れた、カノコだった。
「いい!?」
突然机の上に正座して出現したため、ヒロカワは非常に驚いて湯のみを落とした、ガチャ、パリン。床に破片が散らばったが、ヒロカワたちにはそれどころではなかった。
「(行く所がないので、ここに来ちゃいました。お世話になります)」
「何でそうなる!?」ヒロカワは慌てていた。
ペコリとお辞儀するカノコに、嫁第1候補だったさとこは危機感を、……いや、寒気を感じていた。夏である。
「(足がないんですもの。お・ね・が・い)」
これから、夏が始まる。ヒロカワの事務所も、賑やかになりそうだった……
何でおんねん。
《END》
怖くない。
ご読了ありがとうございました。
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この話は、『夏のホラー2010~百鬼集帖~』企画参加作品です。
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ではでは。オチ寒。