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07

 工場の中は、昨日より少しだけ整っていた。


 床のほこりが掃かれていて、ソファの位置も変わっていた。

 新しい毛布のようなものが一枚、隅に丸めて置いてある。


 茜は今日も缶コーヒーを飲んでいたけど、

 その横には、コンビニの袋と小さな保冷バッグがあった。


「……ここって、夜もいるの?」


 俺が口にすると、茜は小さく肩をすくめた。


「うん。だって、どこにも帰るとこないし」


 あっさりした口調だった。

 日常のひとつみたいに、それを言う。


「でも大丈夫だよ。

 風は通るし、屋根は穴空いてないし。冬はちょっと寒いけどね」


 何もなかった工場が、ほんの少しだけ“暮らし”に見えた。

 それが、逃げてきただけの俺には、ちょっと重たかった。

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