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06

 翌日、気づいたら足が向いていた。


 学校には行った。ホームルームも出たし、授業も座っていた。

 でも、どこにも“いた”気がしなかった。

 黒板の字も、先生の声も、頭に入ってこない。


 だから放課後、寄り道みたいなつもりで、あの廃工場まで歩いた。


 昨日と同じ空気。

 風のにおいと、錆びた金属のきしむ音。

 誰もいない街のはずなのに、そこだけ、ちゃんと生きている気がした。


 扉を開けた瞬間、視線がこちらを向く。


「また来たんだ、きみ」


 茜は昨日と同じ場所に座って、昨日と同じ缶コーヒーを持っていた。

 缶を持ったまま、ちらりと目を合わせた。

 その視線が、昨日よりも長くとどまった気がした。

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