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04

 扉は、思ったよりもあっさり開いた。


 中はほこりっぽくて、空気は重いのに、どこか静かだった。

 屋根の隙間から差し込む光が、床のゴミや鉄くずをぼんやり照らしている。


 誰もいない。そう思った、そのときだった。


「……お客さん?」


 声がして、びくりと肩が跳ねた。


 振り返ると、少し離れた柱の陰に、女の子がいた。

 年は同じくらい。

 膝を抱えて、缶コーヒーを口にしていた。

 制服じゃない。だけど、どこか学生っぽい。


「ここ、私んちなんだけどなぁ」

 そう言って、彼女はにこっと笑った。

 でも、その笑いにはどこか違和感があった。

 うまく作られた、借り物の表情みたいな。


「ようこそ、うちへ。なーんて、ちょっと言ってみたくなっただけ」


 俺は、何も言えなかった。

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