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03

 その日の朝、父の機嫌は最悪だった。


 箸の置き方が気に入らなかったらしい。

「舐めてんのか」と言われて、肩を強く押された。

 制服の肩がしわになったまま、家を出た。


 教室でも何かがずれていた。

 いつものように静かにしているだけなのに、

 なぜかクラス全体の空気から一歩外れている感じがして。


 黒板の前で先生が何かを言っていた。

 誰かが後ろの席でくすっと笑った。

 その全部が、耳じゃなく、頭の外側で響いているように感じた。


 自分が、ガラスの中にでも入ってるみたいだった。


 そう思ったら、もう限界だった。


 何も考えずに立ち上がり、廊下に出て、校門を抜けた。

 見送る視線はなかった。


 電車に乗るわけでもなく、ただ、静かな場所を求めて歩いた。

 いつの間にか、錆びた工場や廃倉庫が並ぶエリアにたどり着く。


 名前もない建物の前で、しばらく立ち尽くしていた。

 なにもないのに、ここだけ空気がやわらかい気がした。

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