表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/29

26

 雨は止んでいた。

 工場の屋根を打っていた音が消えたことに、少ししてから気づいた。


 ラジオは流れていない。

 缶コーヒーも開いていない。

 ふたりで黙っている時間が、当たり前のように戻ってきていた。


 茜は奥のスペースで毛布を抱えたまま、ぼんやり天井を見ていた。

 俺は少し離れたところに座って、壁にもたれていた。


 やがて、茜がぽつりと口を開いた。


「ねえ、きみ」


「ん?」


「……まだ、ここにいていい?」


 その言い方は、笑っているようでも、泣きそうなようでもあって。

 俺はすぐに返事ができなかった。


 でも、迷いはなかった。


「いてよ。ずっと」


 声にしてみると、自分でも思ったよりまっすぐだった。

 茜はこくんと小さく頷いて、毛布の中に顔をうずめた。


 それきり、何も言わなかった。

 でも、その小さな頷きがすべてだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ