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学校にいるときの俺は、ちゃんと“人間のふり”をしている。
先生に呼ばれれば返事をするし、提出物も忘れないようにしている。
昼休みは、音楽室の前の階段。
誰とも関わらず、誰からも干渉されない場所を見つけるのは得意だ。
たまに話しかけてくるクラスメイトもいるけど、
「うん」とか「そうなんだ」で流せば、そのうち離れていく。
別に、それでいい。
人に期待するから、がっかりする。
信じるから、裏切られる。
そうやって、生きるのはうまくなった。
でも最近、ふとしたときに思う。
あれ、俺ってほんとにここにいるんだっけ?
なんだか、黒板の前で誰かがしゃべってる音も、全部、ガラス越しに聞こえる気がするんだ。