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021 ゴブリンの集落

 アウレーネさんから逃れる為とはいえ、扉をぶち壊して脱出はやりすぎたかな?

 よくよく考えたら、私のスキルを使えば一瞬だけ扉を収納して、通り抜けた後で排出して元に戻せばいいだけだった。

 でもあれはアウレーネさんが襲って来たのが原因だし、私は悪くないよね?


 とりあえず私は森に向かって走った。

 ゴブリンが集落を作っているのに発見されてないって事は、たぶん森の奥の人が行きづらい所にあるはずだ。

 なのでさっき襲われてた場所から森に入って行ってみようと思う。


 先程倒したゴブリンは全部収納してしまったので、僅かな争いの後しか残っていなかった。

 誰かが様子を見に来た痕跡も無い。

 私は、襲われてた時にゴブリンが出て来ていた方角へと歩を進めた。

 ある程度進んだら収納索敵で周囲を探り、安全ならまた進むというのを繰り返す。

 それ程時間も掛からずに複数の小柄な生命体がいる場所を見つけた。

 アウレーネさんのように魔力に敏感なゴブリンがいるかも知れないが、見つかったらその時はその時だ。

 私は定期的に収納索敵を繰り返す事で、相手の動きを見ながら息を潜めた。


 大体集落の規模が掴めた頃、一つの不可思議な反応があった。

 ゴブリンの上位種は人間の大人ぐらいの大きさになるが、それとは微妙に姿勢が違う。

 これは紛れもなく人間の大人だ。

 もしかしてゴブリンの集落を見つけた冒険者が単独で乗り込んで行ったのかな?

 でも、収納索敵で見たらやはりキングらしき存在が生まれていたので、単独で乗り込んだらかなりヤバいと思う。

 私はキング相手でも一対一ならギリギリ勝てるけど、ゴブリンキングの——というかゴブリンの恐ろしいところはその数にある。

 上位種だけ見ても100体はいるであろう集落なので、単独討伐となるとかなり難しくなってくるだろう。

 この人の詳細な強さまでは分からないけど、たぶんキングにすら勝てないんじゃないかな?

 止めた方がいいか……と思ったら、なんか意外な動きを見せた。

 周囲にゴブリンの上位種が多数いる中を何事も無くすり抜けていくのだ。

 私と同じように姿を隠してるとか?

 気配を消す暗殺者タイプ?

 それにしては、私の収納索敵に簡単に引っかかるんだよなぁ……。

 何者なんだろうこの人?


 そして遂に、その人はキングの下へと辿り着いた。

 そこは恐らくゴブリンの王宮。

 ボロボロの小屋みたいだけど、ゴブリン達にとってはキングが居る場所が王宮なのだ。

 そこに普通の人間が入り込むなど、容易い事ではない。

 私は詳細を得るべく、その室内の空気を振動ごと収納して、私の耳元で排出した。

 そこから聞こえて来た会話で、それが誰で何を目的としていたのかを知る。


『俺はギャルマスじゃなくてギルマスな』


 なるほどね、色々な線の繋がりが見えて来たかも。

 まさかの魔物であるゴブリンキングと取引とはね……。

 ギルマス自らゴブリンの集落の情報を握りつぶしてたんだろう。

 きっと伯爵令嬢のユリアンナさんをゴブリンに襲わせたのもギルマスの指示だと思う。

 伯爵家を狙っている黒幕はギルマスか。

 いや、もっと後ろに何者かが控えてるんだろうけど、今はそこまで踏み込んでも対処しようがないし、そもそもそんな奴の尻尾を掴むのは容易じゃない。

 目先の対処出来そうな目標だけ定めておこう。

 ギルマスとゴブリンキング。

 この2つの殲滅だ。


 その後ギルマスが帰って行ったので、とりあえずゴブリンの集落を少しずつ削ろうかと息を潜めて様子を窺う。

 しばらく索敵しながらゴブリンの動きを探っていたのだが、また誰か人間が近づいて来たのを感じた。

 この集落について知ってる人間なんて絶対ギルマスと繋がっているだろうと思い、私は収納による光学迷彩で姿を消した。

 その人間はゴブリンの集落には入らずに、周囲で何かを探しているようだった。

 ギルマスの忘れ物でも取りにきたのかな?

 一度こちらにも近づいて来たが、気付かなかったようで通り過ぎる。

 そのまま行ってしまうだろうと思ったのに、突然何かに気付いたように私のいる位置へと視線を向け、眉を顰めた。

 そして武器を抜いて正面に構えた。

 これは完全にこちらを認識してるか?


「あれ〜?何でバレちゃったんだろ?」


 私が姿を現すと、子供の姿を確認して尚、その人間は警戒を強めたようだった。

 ひょっとしてまた魔力が溢れちゃってたのかな?

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