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邪教の姫~無感情なお姫様は今日も神に祈りを捧げる/子供扱いしないでください!~  作者: みつまめ つぼみ
第2章:邪教の姫と亡国の王女

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11.憐れな襲撃者

推敲していたら少しだけウェンディの恋の香も立ち上る回になりました。





 ――昼間の甲板。

 二人の巨漢が、取っ組み合いをしていた。

 激しいぶつかり合いだが、それは喧嘩ではなく、鍛錬の組手だった。


 体格でも膂力でも引けは取らず、体術も互角。

 得物の違いで剣を持った動きは異なるが、素手となると実にいい勝負だった。

 組手は朝から二時間に及び、それでも互いに決定的な形に持ち込めなかった。

 互いが全力を出し尽くせる相手――まさに好敵手だ。

 汗まみれになった二人が、昼近くになって遂に力尽きた。


「――なぁ、そろそろ腹が減らないか?」


「――そうだな。汗を洗い流したら飯にしよう」


 どちらともなく言い出し、互いに背中を叩きあって部屋に戻っていった。


 その様子を朝から見物していた乗客たちも、二人が去って言った事で散り散りになっていった。

 残ったのはリティとウェンディだけだ。

 二人は船員が組手を止めに来た時に、事情を説明するよう頼まれていた。傍から見たら唯の喧嘩なのだ。鍛錬の邪魔をされたくなかったのだろう。


「ねぇウェンディ。ゲイングさんって凄いのね。私、アインさんとあそこまで張り合える人が居るとは思っていませんでした」


 ”身体が違う”と身をもって知らされたリティにとって、そのアインと互角の勝負をするゲイングの存在が信じられなかった。

 アインと同じ反応速度で動き、同じ力で応える――アインの身体が人間の規格を凌駕すると思っていたリティにとって衝撃だったのだ。


「私も、ゲイングさんと同じ動きができる人が居るとは思っていませんでした」


 珍しくウェンディが言葉で反応をした。

 驚いたリティがウェンディを見ると、その目は二人が消えていった船室への階段に向けられていた。

 リティはウェンディが自分と同じ気持ちで居たことに嬉しくなり、その手を握って走り出した。


「あっちの欄干から一緒に海を見ましょう! 遠くに海鳥が居るみたい。きっと魚が居るのよ。アインさんが教えてくれたの!」


 ウェンディは無表情で頷いて、リティと共に走り出した。

 どうやら二人が打ち解け合うのに、もう時間は不要なようだった。



 二人の少女の様子を、遠くの欄干から眺めていたデルカとミディアが、優しい眼差しで見送っていた。


「リティちゃんに任せておけば、ウェンディも少しは年相応の女の子に近付けるかしら」


「あの様子なら、多分大丈夫ね――でも、ウェンディちゃんはどういう事情の子なの?」


 デルカの呟きに、ミディアが応えた。


 デルカは少し悩んだが、その問いに応える。


「ウェンディは邪教と呼ばれる宗教団体の姫と言われていたの。きっと、幼い頃から他の子と隔絶されて、信徒の大人たちに囲まれて育ったのでしょうね」


「邪教って、創世神とかいう神様を崇めるのが? そんな怖い神様なの?」


 デルカは首を横に振った。


「私たちの住んでいた島では、竜神教以外の宗教は邪教と見做され迫害されていたのよ。異教徒と分かると、改宗するか殺されるか、どちらかの道しかなかったわ。それが当たり前の島だったの。私とゲイングは、あの子を生きたまま捕まえろというギルドの依頼を受けただけ。途中で妨害する信徒の大人を、目の前で何人も殺したわ。それでもあの子は表情一つ変えなかった。今思うと、あの時も無表情に見えて、なにか思う所はあったのかもしれないわね」


 遠くの欄干で、無邪気に海鳥を見て喜ぶリティと、いつも通り無表情で無愛想に対応するウェンディが目に入る。

 だがおそらく、リティの目から見れば、ウェンディもリティと同じように今の風景を楽しんでいるのだろう。とても楽しそうに会話をしているようだった。


「……そんなウェンディちゃんに、あなたは命を救われたのね」


「ゲイングがウェンディに拘るのは、それもあるのでしょうね。あの人は筋を通す事を信条としてる。目の前で家族とも言える信徒たちを殺されて、それでもその殺した相手の命を救った。そんなウェンディに、相応の恩を返して筋を通したいのよ。私たちは彼女の家族を殺めた。この償いが、いつ終わるのかはわからない。私たちももう、島を追われる身になったわ。行くあてがなくなった。だから今は、ウェンディと共に居て、彼女のやりたいようにやらせてあげてるの」


 ミディアが悔恨の眼差しで語るデルカを見つめた。


「そう……あなたたちも同じなのね。私とアインも、リティに償わなければならない事があるの。だから今、こうして同行してる。いつ償いが終わるか分からないのは、私たちも同じ。きっとアインも、リティがやりたいようにさせ、生きたいように生きるのを見守るつもりなのでしょうね。ゲイングさんとアインは似た者同士ですもの。きっと考える事も同じよ」


 デルカが「そうね」と呟いた後、大きく溜息をついた。


「似た者同士なら、私たちもそうよね――ねぇミディア、あなたはどこまで勝負をかけたの?」


「下着姿程度じゃ歯牙にもかけなかったわ。リティも試していたけど、同じ結果だった。私がリティくらいの頃に――」



 あちらとこちらの欄干で、同年代の女同士が、互いに語らい合い花を咲かせていた。

 男同士は拳で語り合い、今は共に腹ごしらえをしている。

 クインとルインは、我関せずとばかりに部屋に籠って魔導書を読む日々だ。





****


 ウェンディと共に海鳥を見ていたリティは、ふと思った。

 ここまで共感できるウェンディは、自分がアインに惹かれるように、ゲイングに惹かれている可能性があるのではないかと気づいたのだ。


「ねぇウェンディ、あなたは好きな人とか居ますか?」


 ウェンディは小首を傾げた。


「好きな人、ですか? よくわかりませんが、この旅に同行する皆さんは好感が持てると思っています」


 ――ウェンディにはまだ早い話題だったかな。初恋も知らないかもしれないし。


 反省したリティは少し角度を変えた質問を投げつけてみることにした。


「じゃあ、ゲイングさんの事は、どんな人だと思ってるんですか?」


 ウェインディが俯いて思案している。

 しばらく潮騒に身を任せた後、ようやくウェンディが応える。


「とても強くて、私を傍でいつも守ってくれる人、ですね。できれば、ずっと傍に居てもらえると心強いです」


 その回答の異質さに気が付けるものは、ウェンディ自身を含めて、この場には居なかった。

 神の加護さえあれば何も恐れるものはないと言い切る少女が、確かに”ゲイングが居ると心強い”と口にしたのだ。


「そこは、私がアインさんに感じてるのと一緒ですね! ……もっと傍に居たい、とか思った事はありますか?」


 ウェンディは小首を傾げた。


「今よりも、ですか? ……それを想像すると、なんだか胸が暖かくなります。不思議ですね。リティさんはアインさんと、もっと傍に居たいと感じるのですか?」


「そうですね……また馬に相乗りして、ぴったりくっついて居られたら嬉しいなって思う自分が居ます。それがどんな気持ちなのか、まだ自分の中で答えが出ていませんけど」


「ぴったりとくっつく……それは楽しい事なのですか? 私はまだ、ゲイングさんと馬に乗ったことがないのでわかりません」


「機会があったら試してみるといいですよ。素敵な人とくっついていると、きっと幸せな気持ちになりますから」


 ウェンディは頷いてからリティに尋ねる。


「ゲイングさんは、素敵な人なのでしょうか?」


「自分を傍で必ず守ってくれる力強い人は、それだけで素敵だと私は思います! それが特別な人かはわかりませんけどね」


「特別な人とは、どういう人なのでしょう?」


「一生その人の傍に居たいと思える人なら、特別な人じゃないでしょうか? ウェンディは、ゲイングさんにそう思う事はありますか?」


「……まだ、よくわかりません。でも、ゲイングさんが素敵な人だ、というのはなんとなく納得しました」


 リティが微笑んだ後、波間に光る魚の姿を発見し、はしゃぎだした。そのままウェンディと共にその姿を追い、それまでの話題を忘れて熱中していた。



 リティはこの時、まだ知らない――ウェンディがこれほど言葉を交わすことが珍しいという事実を。リティの目には、打ち解けてくれた証としか映っていない。

 それがゲイングの話題だったからだということも、二人は気が付いていない。

 歳の近いリティからゲイングに対する想いを聞かれ、思わず自然と言葉が出てくることに、ウェンディ自身も気が付いていないのだ。

 それはまだ淡い、思慕にも至らぬ小さなつぼみだった。何故かついその姿を追ってしまう――その程度の淡いものだ。

 この時から、ウェンディは次第に己の中にある、その小さな淡い想いの存在に気が付くようになる。だが、その想いの名前すら、ウェンディはまだ知らない。





 皆の様々な想いを乗せて、船は東に向かっていった。

 こうして船は無事、テオリーチェに辿り着いていく。





****


 アインの足が港の陸地を踏みしめた。


「揺れない地面も久しぶりだな」


「私は、まだ足元が揺れてる気がします」


 リティはふらふらと頼りない動きで、ミディアの肩を借りていた。

 船に長く揺られていると、陸に上がってすぐは身体が揺れない地面にすぐに馴染めず、そのまま体を動かしてしまうのだ。

 こればかりは、船に慣れて行くしかない。


 ウェンディとルインもまた、どこかゆらゆらと身体が揺れている。そんな二人をデルカとアインが支えていた。

 この三人が船に慣れていない、ということだろう。


 平然と陸地を歩くクインに、アインが尋ねる。


「次はどうするんだ?」


「まず馬が必要です。ここから北にある魔女の住処は、馬で十日弱かかります。五頭あれば足りそうですね」


 そのまま真っ直ぐ馬を買い付けに行き、五頭の馬を調達した。ついでに糧食や消耗品の補充もしていった。


 リティはアインの馬に、クインはルインの馬に、ウェンディはゲイングの馬に、そしてミディアとデルカは別々の馬に乗った。

 何かあった時、リティやウェンディを抱えたまま事態に対応するには、男たちと相乗りの方がいいだろうという判断だ。大柄な彼らなら、リティやウェンディを抱えたままでも戦闘に対応できる。

 その分、普段はミディアとデルカが警戒や索敵を行う事になる。弓を使い、目と耳が良い二人には適任だ。



 ウェンディは密かに楽しみだったゲイングとの相乗りが実現し、少し楽し気な空気を漂わせていた――これはまだ、ゲイングやデルカ、リティやミディアにしかわからない程度の些細なものだ。

 リティ以外は”初めて乗る馬が楽しいのだろう”としか思っていない。

 リティだけは、後で感想を聞いてみようと胸の奥で決めていた。



 出発前にクインが注意事項を告げる。


「ここから北に集落はありません。街道はありますが、隊商や旅人を狙った夜盗、そして稀に魔獣が出ます。日中は大丈夫でしょうが、夜間は気を付けてください」


 大人六人が頷き、五頭の馬が北を目指して走り出した。

 日中は街道沿いに北上し、魔獣に出くわすこともなく陽が暮れかけた。


 アインとゲイングが皆の馬を止める。


「ここなら薪がある。野営を張ろう」


 アインとミディア、ゲイングとデルカが薪を拾い集め、皆で簡単な食事を済ませた。



 食事が終わるとリティがウェンディを手で招き寄せ、皆から少し離れたところに移動した。

 そのままウェンディの耳に小声で囁く。


「初めてのゲイングさんとの相乗り、どうでしたか?」


 ウェンディがリティの耳に囁き返す。


「体温を感じる程くっついているのは、心が温かくなりますね。想像以上でした。リティさんはどうでしたか?」


「私も嬉しい気持ちが強いです。これはもう、認めないといけないかもしれません。やっぱりそうなのかなぁ」


「よくわかりませんが、頑張ってください。応援しています」


「ありがとうウェンディ。この事は私たちだけの秘密にしておいてね」



 二人が密かな会話を済ませ、アインやゲイングの元へ戻っていく。


 ゲイングがウェンディに尋ねる。


「ウェンディ、なにをこそこそと話していたんだ?」


 ウェンディは小首を傾げて応える。


「よくわかりませんが、私たちだけのお話だそうです」


 デルカが微笑んで言葉を添える。


「ゲイング、女同士の秘密の会話に、男は立ち入れないのよ?」


「へいへい、そういうもんですか。俺は嬢ちゃんが楽しんでるなら、それでいい。良い友達を得たな」


 ゲイングの掌が、ウェンディの頭を撫でていた。

 ウェンディは無表情のまま、黙って撫でられていた――ウェンディは密かに、その大きな手のひらの感触を楽しんでいた。



 食事がすんでしばらくしてから、皆で火を囲み毛布にくるまって眠りに落ちた。

 リティはミディアが、ウェンディはデルカが添い寝して身を保護している。


 その夜はアインとゲイングが不寝番を担当していた。


 アインが小さく呟く。


「ここらの夜盗とやらは、どの程度なのかね」


「久しぶりに剣を振るいたくなったか? 船の上じゃ、満足に振り回せなかったろうからな」


 一際大きい大剣を振るうアインは、船の上で振り回す真似を船員に止められていた。

 ゆっくりと型をなぞる動きは許されていたが、あれだけでは不満が溜るというものだろう。


「俺とあんたが揃ってるんだ。十や二十は物の数じゃないだろうがな。それにミディアやデルカの補佐もある」


「百人くらい居て、ようやく対応に困るってところか? 相手が憐れだよ」


「違いない」


「しかし退屈だな。組手をして暇をつぶすこともできん。明日からは、一晩を交代で寝る事にするか。二人で居ると、組手の誘惑を我慢できそうにない。不寝番は一人居れば充分だろう」


「それならミディアやデルカも不寝番に加えるか。いつも俺たちがしている形式が、四人に増えるだけだ。その方が互いに気楽だし、負担も分散できる」


 女たちが寝てる間に、男たちが聞き捨てならない事を口にしていた。

 女の誘惑にはまったくなびかなかった男たちが、互いの強さ比べの誘惑にあらががたいとを上げたのだ。寝ていて幸運だったと言える。

 男たちに取って、それほど己と並ぶ程の強者を得難いと感じていただけではあるのだが、女にとっては屈辱だっただろう。


 その夜は何事もなく明け、朝を迎えた。

 一行は手早く支度を整え、北を目指した。





 招かれざる客は三日目の夜に訪れた。

 その時の不寝番はミディア一人だった。


 ミディアが囁くように呟いた。


「聞こえてる?」


「ああ」


 アインが上体を起こすのと、ゲイングが上体を起こすのがほぼ同時だった。

 アインは傍で寝ているリティを起こさないよう、大剣を掴んでそっと傍を離れる。

 少し遅れてデルカが「寝たばかりなのに、腹が立つわね」と静かに憤っていた。


 リティ、ウェンディ、ルイン、クインの四人は気づかずに寝ているようだ。

 起きた四人が目で会話をし、それぞれが武器を構えて寝ている四人を背にして取り囲んだ。


 不意を突くのを諦めた夜盗が、物陰から身を現し始める。

 アインたちの周囲を取り囲むが、その数は三十に満たない程度だ。通常の旅人や隊商ならば、十分な人数だっただろう。

 夜盗たちは武器を手に、余裕をもって包囲の輪を狭めてくる。


 次の瞬間、アインとゲイングが静かに大地を蹴り、手近な夜盗の首を切り落としていた。

 彼らの手は止まらず、次々と物を言わぬ躯が量産されていく。

 己の剣で防ごうとしても、アインやゲイングの一撃を防ぐ事などできるわけがなかった。防ごうとした剣ごと首を落とされるだけなのだ。


 デルカとミディアも、夜盗ごときに遅れは取らず、何合かで切り捨てて行く。

 数で押し切ろうと彼女たちに群がろうとすれば、横からアインがやゲイングが暴風の様に襲い掛かり薙ぎ倒していった。

 残り十人に迫るところで、夜盗は諦め、引き上げていった。


 アインが小声で軽口を叩く。


「なんて根性なし共だ。もう少しで全滅できたんだがな」


「だから逃げたのよ。賢いと言ってあげた方がいいわ」


「襲い掛かってくる時点で愚か、としか言いようがないわね」


 ミディアとデルカも軽口を叩いた。


 あの程度の連中であれば、なるだけ静かに戦闘するよう気配りする余裕すらあった。

 この四人が揃えば、怖いものがないようにさえ彼らは感じていた。


 ミディアが改めてゲイングを眺める。


「それにしても、本当にいい動きをするわね。長剣でも大剣のアインに負けない力強さだなんて、信じられないわ。二人が戦ったらどちらが勝つかしら」


「小回りはゲイング、質量はアインさんが勝つけど、本気でやりあったらどうなるか、予想が付かないわ」


「デルカ、勝手なことを言ってるんじゃない」


「だが確かに、俺たち自身にもどうなるか予想が付かん。いつかやりあってもみたくなるな」


 四人が武器を鞘に納め、夜盗の死体を一か所に山にした。


「埋める必要はあるまい。放っておけば獣が処理するだろう」


 不寝番のミディア以外が再び眠りに就き、その後アインに交代した後、朝を迎えた。





 目を覚ましたクインが、辺りの血生臭さに顔をしかめた。


「……何事ですか」


「お、起きたのか。夜盗に襲われたから追い払っただけだ」


 話声と血の臭いで、ウェンディやリティ、ルインも起きたようだ。


「おはようございます……」


「変な匂い――やだ! なにあれ……」


「お師匠? なんかあったんすかー?」


 クインが眉をひそめたまま思案し、提案する。


「このままでは食事どころではありません。この臭いをなんとかしましょう」


 言うが早いか、魔導術式を発動させて死体の山を炎で焼き払い、一瞬で炭化させてしまった。

 周囲の血痕も残らず燃やしつくし、血の臭いを風で吹き飛ばしていた。

 そのまま地面に大穴をあけ、炭化したものを中に放り込み、そのまま埋め立てた。


 一部始終を見ていたアインが、呆気に取られていた。


「……魔導は便利だな」


「魔導術式も相応に疲労しますよ。それほど楽なものではありません。ですが、襲撃に気づかずに寝ていたのです。このぐらいはします」


 ようやく食事ができる空間となり、朝食を各々が取り始めた。


「どうした? リティは食べないのか?」


 糧食を持ったまま硬直しているリティに、アインが声をかけた。


「いえ、その……朝から血生臭いものを見てしまって食欲が……」


「そうか。あまり無理をするなよ。昨日より体重を預けて構わん。馬に乗っていて気分が悪くなったら、いつでも言ってくれ」


 ミディアは糧食を齧りながら呟く。


「あれで懲りて、もう襲ってこないと良いんだけど」


「なに、また襲ってきても返り討ちにするだけだ」


 アインは糧食を頬張り、水で流し込みながら応えた。


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