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3.最強の勇者パーティー (勇者視点)

 


 ――魔王討滅戦から三年。


 俺達、勇者パーティはその功績を讃えられ莫大な財と名誉を得ることに成功した。


 魔王討伐の道のりは険しく、何度も心が折られそうに......はならなかった。

 なぜなら俺らには生まれつき最強の力が備わっていたからだ。


 この俺、勇者の力――。


【剣聖神の加護】これにより俺はあらゆる魔力攻撃を無効化、そして魔力防壁を斬り裂く事ができる。

 更には生来の【神眼】により敵の動きの先読みや、弱点を発見することができ、【神界身体強化】で身体能力を強化した俺には魔族最強とされる魔王すら余裕で倒せるほどの力が備わっていた。


 隣の戦士があくびをしながら言う。


「あー、暇だなあ勇者? どっか遊びに行くかァ......そういや、千里眼でダークエルフの森見つけたって言ってたよな? 奴らとんでもなく美しいらしいぜ? 二人でヤってくるか? へへっ」

「ああ、いいな。 やつら痛めつければイイ声で鳴くからな......」

「な! やっぱりヤるなら魔族のメスだよなァ? へへっ、想像しただけで昂ぶってきちまうぜえ」


 ――戦士。


 勇者や戦士、黒魔道士、白魔道士は勇者パーティーのメンバーにつけられるコードネームであり、選ばれた者は古くからその名で呼ばれる決まりがある。

 本当の名前は知らない。知る必要もないからだ。

 俺達はあくまで魔物を狩るチーム。


 そして、この戦士にも俺と勝るとも劣らない能力が備わっている。

【鋼千の加護】この力により戦士は大砲の直撃ですら傷ひとつ負うことはない。そう、最強の防御力が備わっている。

 そして攻撃面、【王撃荒神】これは戦士のとてつもなく莫大な魔力を斧へ集約し破壊力を高めるスキル。

 その威力は最硬度を誇る《アダマン鋼》を使用した盾ですら真っ二つにする程だ。


 黒魔道士は寝坊をしたのか、目を擦りながら歩いてきた。そして今の話が聞こえていたようで声を荒げる。


「いやいや、朝っぱらからんな話してんじゃねえよ! まあ、ダークエルフの森は【エルフの涙】って宝石が採れるらしいし、行くのは賛成だけどね。 終わったら森ごと焼いちゃおっか〜。 あははっ」


 ――黒魔道士。


 現代魔法よりも遥かに強力である【古代魔法】を扱う彼女は、歴代の黒魔道士の中でもダントツの火力と魔力保有量を誇る。

 火、水、雷、氷、光、闇、その全ての魔法を完璧に操る希代の魔法使い。

 魔族の都市をまるごと焼き払ったり、村を悠久の氷結魔法で凍らせ封じたり。


 そして彼女の魔力量の高さ故にそれが自動的に肉体を保護し、強力な魔法の反動を打ち消し、更には敵の攻撃も魔法、物理関係なしに無効化する。


「はいはい。 それじゃあ、行きますかね。 魔族駆逐任務というなの暇つぶしに」

「おいおい、おまえ一応勇者だぜ? んなものの言い方いいんかよ? はは」

「そうよ! あはは、白魔道士もそう思うでしょ〜」


 虚ろな表情で、存在感もなく。無言でそこに立っている白い外套の少女。


「ははっ、話しかけても無駄だろ。 もうコイツにまともな思考はできねえんだから」

「ああ、そうだぜ。 クスリで思考を奪い調教済みなんだからなあ。 最早ただのヒールマシーン......ふへへ」

「べっにぃ。 反応しなくてもいーわよ」


 ――白魔道士。


 回復術師ギルドにいた少女。一番回復魔法が使える奴を引き抜いて白魔道士の名を与えた。

 顔も黒魔道士より良いし、スタイルも良い。引き抜いた当初は、これは掘り出し物だなと思っていたが、すぐに欠陥品だということに気がついた。


 こいつは敵意のない者を殺すことを嫌がった。それが例え魔族であっても。


 だから、こいつを命令どおりに動く人形へと幻影薬を投与し変えた。今となっては幻と現実の狭間を彷徨うただの道具。

 しかたないのさ、俺達の仕事は魔物の殲滅。こんなわけのわからん思想をもつやつを使えるようにするのも俺の仕事だからな。


 まあ、人としてはもう生きられない家畜のような幻影薬中毒者(ジャンキー)......廃人になってしまったがな。

 こうなってはもう戻れないが、死ぬまで勇者の俺の役に立てるなら本望だろう。


 顔とスタイル良いし。



「さて、南の森を抜けて道なり......そしてアルヴ湖の中へ潜るんだったな」

「ああ。 湖の底にある洞窟を通るって話だよな」

「その先にダークエルフの......うふっ、宝石ちゃん達があたしを待ってるわ!」

「.......」


 暇つぶし、暇つぶし。


 最強と言われた魔王すら簡単に殺せてしまった。最早俺達に殺せない魔物などいない。俺達が最強......そして今や何をしても許される英雄、勇者様の地位。実力と金と、羨望と血と快楽。


 ホンット......サイッコーの世界だな。


 王都、北の大神門をくぐり、外へ出た時。




「ん? なんだありゃ」


 戦士が何かいることに気がついた。


「.......スライム? なぜこんなところに......スライムが一匹で? 黒いし......え、なんで黒いんだ?」


「あはっ、しかも目つき悪ッ! 眉間にしわ寄ったスライムなんて初めてみたんだけど! ウケる!」


「どーするよ、勇者?」

「そりゃあ決まってるさ。 王都の近くだしな。 殺そう」

「んじゃあ、あたしが焼くわ。 でも黒いスライムなんて珍しいねえ。 今までみたことないし」

「そうだな。 まあ、雑魚には変わりないよ。 魔力を全く感じない......いや、普通のスライムですらこれより魔力はあるか」

「ああ、確かにな。 つーことはクソ雑魚のクセに睨みつけてきてるっつーことか......生意気だな。 ゴミの分際で」



 見れば黒いスライムは震えながらゆっくりと後退していた。



「ははっ、逃さねえよ」


「ぴ、ぴぎぃ......」







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