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63,転移門

 ピラミッド内のダンジョン攻略を終えたシア達はエアパスを呼び寄せると、一気にフリージアに帰還した。王宮に到着しアレクサンドロス、クレイン、イルマに報告すると、シア達は学園に戻った。暫くの間ゆったりとした時間を過ごしていたシア達であったが、ある日イルマがクレインを連れて学園のシア達のクラスへやってきた。

「クレインさんが学園に来るなんて珍しいですね」

「そうです。何かあったのですか?」

「イルマ先生も一緒とか、嫌な予感がします」

「お前ら、嫌な予感とか言うなよ」

「ふふ。まずはクレイン。タグの交換をしなさいよ」

「ああ、お前ら全員がランクアップだ」

 そう言うと、シア達のタグを回収して新たにタグを渡した。

「EX級冒険者 シア・ペルサス」

「SSS級冒険者 アーサー・フライブルク」

「SSS級冒険者 ノイマン・シュタイン」

「SSS級冒険者 エマ・ランドリー」

「SSS級冒険者 ルーナ・オースティン」

「SSS級冒険者 アラガン・ドワイト」

「あの、EX級って……」

「ああ、SSSSS級にしようとしたらクレアがEX級にしましょうって言いだしたからな、EX級にした。SSS級の上だな。シアがはじめてだ。頼むぜ」

「頼むぜ……って」

「私たちもSSS級ですか?」

「ああ、大量の悪鬼たちを全滅させて、大陸の危機を救った。文句なしのSSS級だな」

「クレインさんはこれを渡しに学園に来られたのですか?」

「ああ、それもあるがもう一つ用事があってな」

「そこからは私が説明しましょう」

 そう言うと、イルマが説明を始めた。


「カルクレイルのダンジョンに行く前に皆さんにお伝えしたと思いますが、この国に全部で3つのダンジョンがあることは知っていますよね?」

「ええ、確か挑戦すら出来なかったとか?」

「そうなの。入口から入れなかったのよ」

「入れないのですか?」

「でも、その入口が開いたらしくてクレインが知らせに来てくれたのよ」

「ああ、その通りだ。それで全員で行ってみないかと思ってな、イルマに声をかけたんだ」

「一つは場所が近いのよ。まずそちらに行ってみましょう」

 そう言うと、シア達を連れてイルマとクレインは王都にある大教会へと向かった。


 シア達が大教会に着くと大勢の司祭達がパニック状態で慌てていた。大教会の一番奥にある聖なるダンジョンが突如扉を開けたのだ。司祭によると扉は開いたものの中に入ろうとすると誰もが弾き飛ばされてしまうらしい。そこで王宮に報告をしたところ、アレクサンドロス王からクレインに調査依頼があったということであった。

 シア達は司祭の案内で聖なるダンジョンへと向かった。それは皆が礼拝をする大聖堂の奥にあるルナテラス像の足元にある階段を下りたところにあった。かつてルナテラスは神託でこの場所に自分の像を立てて教会を作るように指示をし、それ以降人々は神託によりルナテラスが守るこのダンジョンを聖なるダンジョンと呼んでいるのだと司祭は案内をしながら教えてくれた。

「シアとルーナの結婚式はこの大教会ですることになるのね」

「エマ、そうなの?」

「そうよ。おそらくここに聖女様がきてくれて、あのルナテラス様の像の前で誓いのキスをして~」

「……誓いのキ、キ、キス」

「……ルーナがまた壊れそうになってる」

「はぁ、もうすぐでしょうに……」

「もうすぐって?」

「聖教会の教えでは結婚は18歳からできるの。もう私たちは17歳でしょ。いつまで先延ばしにするつもりなのよ。さっさとしなさいよ。さっさと」

「はぁ、ほら着いたみたいだせ。シア、エマ」


 長く続く狭い階段をひたすらに下に降りていた。少し湿り気のある空気が地下であることを告げる。階段を下りた先に広めの踊り場があって、そこに小さな扉があった。

「懐かしいな。カールと来た時はこの扉が開かなかったな」

「そうね。カールがアストロンで斬りつけても斬れないし、クレインが殴ってもダメ、私が魔法を放っても開かなかった扉ね」

「その扉が今開いている……」

「そうね。確かに開いているわ。入ってみましょうか」

「ああ、だが十分警戒しないとな」

 そう言いながらクレインとイルマは扉の向こう側に……消えた。


「えっ、イルマ先生、クレインさん?」

「おい、二人とも消えたぞ。追いかけろ」

「ああ、ルーナ、俺の手を握って。小太郎、行くぞっ」

 そう言いながら、シアはルーナの手を取り、神威を抜くと小太郎に跨り扉の向こう側に飛び込んだ。

 アーサーが腕輪に触れて魔封じの鎧とライオネスを装備して飛び込み、エマはシャイターンを構えて飛び込んだ。アラガンもドライブシールドを掲げて、オリハルコンのナックルを装備したノイマンを背後に引き連れて飛び込んだ。

 完全重装備の彼らが飛び込んだ先には、大聖堂を埋め尽くす人々が荘厳な讃美歌を歌っている真ん前であった。その前にイルマとクレインも立っている。

 いきなり目の前に重装備のシア達が現れたため、讃美歌を歌っていた人々がパニックになる。シア達もあっけにとられて身動きが出来なかった。すると、オルガンを演奏していた司祭が慌ててこちらにやってきた。

「シアさんではありませんか。私です。パウロです」

「……パウロさん?」

「はい。どうされたのですか。突如現れたように見えましたが……まずは信者達を鎮めましょう」

 そう言うと、ローマン聖教国のルナテラス聖教会教皇パウロはよく通る声で信者達に落ち着くように告げ、後のことを枢機卿たちに指示すると、シア達を連れて最上階の円卓の間に案内した。シア達から事情を聴いた教皇パウロは聖女マリアを呼びに行った。


「俺たちはフライブルク王国の大教会から、ローマン聖教国のルナテラス聖教会に転移をしたということか?」

「そういうことになりますね。ちょっと信じられないですが……」

「でも、何もなくて良かったよ。ああ、マリアさんが来たね」

 シア達の前にローマン聖教国の聖女マリアが現れると、イルマとクレインはマリアの前に跪いた。

「聖女マリア様。お久しぶりです。イルマ・スプリングスでございます」

「お久しぶりです。聖女マリア様。冒険者ギルドグランドマスターのクレインです」

「二人ともマリアさんに会ったことがあるんだね」

「ああ、世界中を旅していたからな何度かあるな」

「イルマさん、クレインさん、随分お久しぶりですね。お話を聞かせてもらってよろしいでしょうか?」

 クレインとイルマは教皇パウロに説明したように事情を説明した。それを聞いたマリアは暫く目を閉じて何かに祈っていたが、やがて目を開くと全員に語り始めた。


「今、ルナテラス様のお使いである天使様に事情をお聞きいたしました。それによると魔に穢されたバーバリアン王国が滅亡し、穢れがなくなったため、この大陸の北側にあるこのローマン聖教国と、南側にあるフライブルク王国の間の空間が接続されて転移門が開いたそうです」

「転移門?」

「はい。転移門が開いたとはっきりおっしゃられましたよ」

 そう言うと、嬉しそうにマリアは話し始めたのであった。



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