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38,武器

 5階層まで全く魔物に遭遇しなかったシア達であったが、ここに来て初めて魔物に遭遇した。

「最初はゴブリンか……」

「まあまあ、こんなもんだろ」

 ノイマンが風魔法で瞬殺すると、宝箱が現れた。

「おっ、開けてみようか」

「あれ、このナイフ錆びてないか?」

「はずれだな」

 それからはひたすらゴブリンを倒しながら、8階層までやってきた。

「全部錆びたナイフしか出ないって……どうなっているのかな?」

「錆びたナイフだけで50本はあるぞ」

「アラガン、錆びたナイフは何かに使えるのか?」

「うーん、溶かしてから不純物を取り除いてインゴットにして……」

「……持っていてもしょうがないから投げてみようか」

 そう言いながらゴブリンに錆びたナイフを投げて倒していく。

「ルーナは投げナイフ上手いよな」

「ああ、意外だな」

「まずはルーナの武器の候補は投げるものだな」

 すると、今までのゴブリンとは少し違うゴブリンが現れた。

「こん棒を持っているな」

 そのゴブリンをルーナが投げナイフで倒すと宝箱からこん棒が現れた。

「おお、やっと錆びたナイフ以外の武器が出たぜ」

 それからはひたすらこん棒が続いた。

「こん棒はアラガンが上手いな」

「うん。金槌みたいで殴りやすいね」

 その調子でシア達は10階層のボス部屋にたどり着いた。

 「あれがボス部屋か」

「ああ、順番待ちしているな」

 ボス部屋は前のパーティーが入ると扉が締まり、終わると扉が開く。

「どうなっているのかな?」

「不思議ですね」

「うん。誰かが見ているみたいだね」

「まずは入ろうか」

 ボス部屋に入ったシア達の目の前にいたのはゴブリンジェネラルであった。

 ゴブリンジェネラルは通常のゴブリンよりも大きく剣を持っているのが特徴である。

 そのゴブリンジェネラルが10匹のゴブリンを引き連れて待ち構えていた。シア達が部屋に入った瞬間に襲い掛かり……瞬殺されてしまった。

「宝箱が大きいな」

「ちょっとだけ期待だね、開けようよ」

 宝箱を開けると出てきたのは鋼鉄製の直剣であった。

「おっ、ちゃんとした武器が出たね」

「順番に使ってみようよ」

「奥に階段と水晶があるね」

「下に降りようぜ」

 そう言うと、シア達は11階層に降りて行った。11階層からはゴブリンジェネラルとゴブリンメイジが現れる。相変わらずのペースで散歩でもするようにシア達は19階層までやってきた。

「直剣はアーサーだな」

「うん。いい感じだよね」

「短くて使いにくいのよね」

「私には大きすぎるわ」

「俺には軽すぎるな」

 そうこうするうちに、20階層に到着してボス部屋に入る。

「あれはオークだね」

「その横は?」

「あれがオーガだよ」

 オークは豚顔をした人型の魔物で肉が美味いため冒険者に人気がある魔物であった。ただ力が強いため捕まると厄介である。とはいえ不思議なことにダンジョンで倒された魔物たちは一切死骸を残さずに消え去るため、目の前のオークを倒しても肉は手に入らない。それに対してオーガは同じ人型であるが、2メートルほどの長身で額からは角が出ている。また、口からは犬歯が覗いており鬼のように見えた。

「ちょっと直剣だけでやってみるよ」

 そう言うと、アーサーは一気にオークを斬り伏せ、オーガに向き合った。

「槍が相手だと間合いが難しいな」

 オーガが槍を突き出す。

 アーサーは慌てず槍の穂先を剣で受け流すと、一気に踏み込んだ。

 オーガの胸にアーサーの直剣が突き刺さるとオーガは立ち消え、代わりに大きな宝箱が出現した。中からは鋼鉄製の槍が出てくる。

「おお、槍がでたぞ」

「槍が合うのは誰だろうな?」

「また、交代でやってみるか」


 以外にも槍が一番上手かったのはエマであった。

「ブルースさんも槍が得意だからな……」

「ランドリー家は槍が合うのかもしれないね」

「兄さんみたいな使い方は出来ないけど、間合いがとれるのがやりやすいのかな。でもちょっと邪魔だけどね」

「エマには短槍が合いそうに思うな」

「短槍?」

「シア、ちょっとエマの槍を神威で斬って短くしてみてよ」

 アラガンが言うようにシアはエマが持っている槍を短くしてみると、

「おお、最高ね。これなら邪魔にならないし、扱いやすいわ」

「じゃあエマは短槍だね」


 その後はエマが短槍のみで敵を屠り続け、30階層までやってきた。

 そのままボス部屋に入ると、オーガキングがいた。オーガキングはこれまでのオーガよりもさらに大きく、岩を砕くほど力が強い。そのオーガが大きなハンマーを振り回してシア達に襲い掛かった。だが、

「そんな大振りで当たるわけないでしょ」

 エマが大振りのハンマーを躱すと、オーガキングの前で軽くジャンプし、その顔を串刺しにした。一撃で脳を貫かれたオーガキングはそのまま立ち消える。

「何となく予想できるね」

「当ててみようか?」

「せーのっ!」

「「「「「「ハンマー」」」」」」

「正解~!!」

「もうこれはアラガンだろ」

「これが俺じゃなければ鍛冶師廃業だろ~」

 予想通りに鋼鉄製のハンマーを手に入れたアラガンは流石に手慣れた様子で軽々とハンマーを振り回して先頭を歩いていた。

 意気揚々と歩くアラガンは片っ端から魔物をハンマーで殴り飛ばし、気がつけば40階層までやってきた。

「そろそろ俺の武器出て欲しいな……」

「ノイマン、絶対に出るって」

「でもノイマンが得意な武器って何だろうね?」

「うーん、自分でもよくわからないね。それにルーナもまだ錆びたナイフのままだしね」

「それもそうだね。焦らずに行こうよ」


 そのまま40階層のボス部屋に入ると、リザードマンが現れた。リザードマンは人間とほぼ同じくらいの大きさで、人型ではあるがその皮膚は鱗で覆われ、大きな尻尾をもち蜥蜴の顔をしている。ありていに言えば二足歩行の蜥蜴であった。

アラガンは張り切ってハンマーで殴りかかった。だが、リザードマンは横に飛んでアラガンが振り回したハンマーを避けるとしゃがんでから体を捻り尻尾を振り回してきた。不意を突かれたアラガンは足をすくわれて仰向けにひっくり返ってしまう。それを見たノイマンが咄嗟に飛び出して回し蹴りをリザードマンにくらわせる。尻尾を振りぬいた態勢でノイマンの回し蹴りをくらったリザードマンは数メートル吹き飛んだ。リザードマンが立ち上がろうとした瞬間にノイマンの右ストレートがリザードマンの顎を撃ちぬく。リザードマンはそのまま立ち消えてしまった。

「ノイマン、ありがとう」

「ちょっと油断したな、アラガン」

「ハンマーは振りぬいたあとが怖いね。気を付けるよ」

「でも、ノイマンって秀才なのに戦い方が脳筋だよね」

「脳筋って……」

「ブルースさんたちと一緒に地龍と戦った時も素手で殴りかかったでしょ」

「確かに、あとは蹴りも多いよね」

「……それってクレインさんみたいだね」

「じゃあノイマンの銅像は……」

「ぴちぴちの……もっこり……」

「……やめろ~、それ以上は言うな、ほら早く宝箱を開けるぞ」

 わいわいがやがやと言いながら宝箱を開けると、

「何だろうこれ。アラガンわかるか?」

「ああ、ナックルだね」

「ナックル?」

「手に嵌める武器だよ。この穴に指を通してから拳を握るんだよ」

「へえ、誰のだろうね」

「……ノイマンだろ」

「君ですね、ノイマン君」

「まちがいないよね。ノイマン君で」

「じゃあ、このナックルはノイマンで決定だな」

「……ありがとう。でも銅像は嫌だな」

 かくして、無事にノイマンの武器も決まりそうであった。



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