ラムネ
三題噺もどき―きゅうじゅうなな。
お題:ラムネ・入道雲・ヒグラシ
カラン―、カラン―
ラムネの瓶を傾けるたび、涼やかな音が響く。
今よりもっと幼い頃は、このビー玉が欲しくて、どうにか取り出せないモノかと、幼いながらに試行錯誤したものだ。
今となっては、それもなくなったのだが。
「……」
庭先の木では、蝉たちが、懸命に羽を震わしていた。
遠くでは、ヒグラシも、鳴いている。
「あっつ……」
汗が滝のように流れ出す。
水分を取った先から、汗になって流れているような気さえする。
どれだけ水分補給したところで、意味がないのではと、思いまでする。
それでも喉は乾くから、こうして水分を取っているのだが。
「……」
全て飲み干したラムネの瓶を手元に置く。
この爽やかな水色の瓶は、夏の暑さの象徴のようでいて、涼しさの象徴の様でもある。
―と、思っている。
暑さにやられているのか、気持ちぼーっとしている。
「……」
ふと、空を見上げると、同じように水色をした空に真っ白な雲。
(あ、入道雲、)
のびのびと、その存在を表してきた入道雲が一つ。
その大きさに圧倒されながらも、どこかのんびりと動く雲を眺めていた。