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笙悟陰香狩のトリセツ

あちゃ~いきなりR15を超えてしまうのか??(^^;)


大丈夫ですよね…


私たちは迂闊だった。


あの時、立ち止まって考えるべきだった。


なぜ、入学式の翌日までクラス編成が決まっていなかったのか?(それどころか私たちが登校する直前までバタバタと入れ替えがあったという事を、早めに登校したコから後で聞いた)


“マリア病”は信じられないほどの蜘蛛の糸で()()()()を蹂躙している。それを思うと、私はいつでも胸が張り裂けそうになる。


その最初の最初がこの時だった。


カノジョが教壇に立ち、自分のトリセツを始めた時…



--------------------------------------------------------------------


「私の現在の状況はこうですが…あと1年以内に子供を身ごもらなければいけないのです。しかも特殊な方法で…」


そしてかがりんは『キス=子種募集中』と板書して、チョークをコトリと置き、皆を見回した。


彼女とは今朝知り合ったばかりで、たまたま(その時はそう思っていた)一緒のクラスになっただけだ。 

でも、この時に一瞬垣間見えた彼女の苦し気な表情が、板書されたフレーズと共に私の心に突き刺さった。


「私はマリア病という性感染症に侵されています。これは母子感染由来のものなのですが…」


今や教室はハチの巣をつついた状態で先生の制止も効かないくらいだ。


仕方ないので()()()()が声を張っている。

「ごめんなさい! どうか聞いていただきたいのです! まず、1点目、この病気を発症するのは女性のみです。男性は罹患しても無自覚の感染者となりますが、万一、他の女性と性交渉するとその女性が感染する可能性がございます。


2点目 この病気の影響により、女性は外部からの軽微な遺伝的刺激によって懐妊状態となります。 

これがこの病気の最も危険な特徴で、机上の数学的計算では生涯にわたってマリア病を発症した場合、寿命損失リスクは28.7歳で、これを女性の平均寿命から引くとマリア病患者の平均寿命は59歳となり、還暦にも届かない計算となります。」


前の席のポニーテールのコが手をあげて質問した。

「あの、懐妊って聞こえたんだけど…その…()()()()()で子供が産めちゃうの?」


かがりんはそのコを見て、それからみんなに向かって頷いた。

「はい、私のお願いもそこにあります」


またハチの巣つつきになる。

独りの男子が趣味の悪い()()()()を聞こえが良しに()()()()


「軽微な刺激ってさあ!先っぽでも入れんの?」

2、3人の仲間内でゲラゲラやっていて


…私は思わず握り拳を握る…


「ごめんなさい、良く聞こえなかったのですが…、口腔内に達するキス以上…ですからこれは該当しますが…の濃厚接触による遺伝的刺激で罹患者は受胎状態になる可能性があり、受胎すれば通常の妊娠と同じ道筋を辿ります。」


「それは、単に妊娠のしやすさ とは考えられない? だったらキミ自身の問題だと思うけど」

…このメガネ男子もいけ好かない!! これ以上何か言ったらメガネを外すよう警告しよう…


かがりんは… 

かがりんはこの時…今まで一所懸命に前に向けていた鳶色の瞳を初めて伏せた。


「私自身の都合ばかりで本当に申し訳ないのですが…この伝染性の病気から、ある程度免れる方法があるのです…それは…」


俯いたカノジョの顔はその前髪と横髪に隠されていて…見る事はできない。

見てはいけないのだ。


それからカノジョは

ゆっくりと顔をあげて

私たちを見つめた。

「その方法は赤ちゃんを産んで、その臍帯血で私自身のみが適応者となる血清を造る事です……私の母も、この方法を用いました」


「その方法って、ひょっとして!」


「はい、子供は感染します。私のように。 私もこの方法を試したいのです、自分自身の為に」


教室は一瞬、シンとなってしまった。


私の胸に…もうさっきから抑えきれない怒りが湧き上がっている。

それなのにまた、興味本位とも思える質問の手が上がる。


「子供産んで、その責任はどうなんだよ!」


「遺伝的刺激って男女どちらでもいいの?」



「それが私の同意の上でも、私への強制であっても、殿方はその行為に対しての責任は一切問われません。 ただレベルを超えた濃厚接触が行われた場合はマリア法の適応を受けます。 これは…注意事項の1つ目です」

かがりんは『caution』と板書して言葉を継ぐ。

「あと、女子からの遺伝的刺激では成功例がございません」


「セイコー例??」さっきのヤツが素っ頓狂な声を上げたので

私は思いっ切り机をぶっ叩いた。


だったら!!

だったら私が!!

やってやる!!


この不毛な時間を終わらせてやる!!


私がアタマに血を昇らせて、いい結果になった事がない。


試合中にケガした時も


そしてこの時も



私は痛めた膝の事も忘れて、二段飛びで机を越え、かがりんをその長い髪ごと抱きしめて

唇を奪った。

長い髪が私の肩に、首に流れて来る

もちろん私は!

これがファーストキスだ!

だけどさっきの言葉通り

カノジョの唇に舌を挿し入れた。


途端に私は“感電”した。

アタマの先から体の中心に

落雷したのだ。


熱いモノ

マグマ?

土砂降り?

津波?

それらにやられて目が開けられない

あと、カラダのすべてが開栓されているみたいになった

わずかな視界の先の()()()()

多分、私と同じだ

涙とか色んなものが流れていて…

瞳が

燃える赤だ

ダメ!!

お互いを飲み干してしまいたい様に激しく吸う

飲み込みながらお互いの“中”で叫び声をあげている。

確かに血の味が…

甘い味を感じる。

私は今、溶ける?…


突然、カノジョの腕に胸を押されて

私はカノジョの膝の上に崩れた。


いつの間にか二人、教室の床の上に崩れている。


かがりんは震える手で

スカートのポケットからマスクを取り出して口を覆った

「私…… もう…だめ…」

カノジョのスカートの裾は上がって、白い足が剝き出しになっている。

その奥に気が付いて

私は慌てて紙袋のバスタオルを引き出してカノジョの腰から下を覆った。

そしてそれは

私も同様だったのだ…


かがりんは、スカートの上からバスタオルを巻き、肩で息をしながらよろよろと立ち上がった。


…『起これば分かる』事が起こってしまった…


「注意事項の2つ目。LHサージがピーク状態の私と“接触”すると… こんな風になります」


それだけ言うと、かがりんはズルズルとへたり込んでしまった。

私だって立ち上がれない。


女子は先生も含め呆然としていたし…


男子もみんな前かがみで…


誰も動けないでいた。



。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


イラストは笙悟陰 香狩(かがりん)のイメージ案です。


なかなかイメージが固まらない…(^^;).


挿絵(By みてみん)


はい!

あの、私たち

まだ動けないので…

このままでブツブツ言います。


まず、個人的なお願い。

この話、ウチの母ちゃんには内緒ね!

絶対ネタにされるから!!


ね、かがりん!

まだ動けないのは分かるんだけどさ!


バスタオルごと裾危ないからチョット直そうね


!!!!( *´艸`)

今のかがりんの色っぽいため息を、まかり間違っていらしていただいた男性読者にお聞かせできないのが…

イタッ!

かがりん!ツネルの止めて!


んで、次回のタイトルは何?


手招き?


はいはい、にじり寄りますよ!!


耳打ちしてくれるの??



あんっ!♡


……


えっと!

『白衣の天使』


だそうです。


どういう意味だろう…


わかんないけど、私たちは

着替えに行っちゃいます<m(__)m>







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― 新着の感想 ―
[良い点] なーるほど!! 更に良くわかりましたー! つまり、精子(←オイ、あからさまだな笑)がなくても受胎できる=聖処女マリアってことね♪ あらたちゃんってば、男気(女の子だけど!)あるわ~! …
[良い点] なるほど〜 マリア=処女受胎 から、さらに遺伝性の症状など、設定が複雑化していくのですね。 [一言] 無自覚、濃厚接触という設定。 個人の事情から、現代の世相を思わせる、考えさせられる…
[良い点] >セイコー例 確かに無神経だけど、いいセンスしてるな! と思ってしまいました(笑) 私がこのクラスにいたら、その男子、ちょっと友達になりたいです(笑)
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