帰れない二人
今回はもちろん、井上陽水様の “帰れない二人”をヘビロテしていました(*^。^*)
※ “香狩” 視点です。
私は西田さんを怒鳴り倒して呼び付け、拉致した新をクルマに放り込んで家に向かった。
クルマの中でも私は酷かった。
横に座った新は腰に手を回して私を抱いてくれているのに
私はカノジョを噛んだり舐めたりいろんな所を触ったりと滅茶苦茶な事をしていた。
クルマが門前に付けられると、私は西田さんより早くクルマを飛び出し、反対側のドアを開けて新を引きずり下した。
荒々しく家のドアを開けるとおばあちゃまとママリンが立っている。
私の顔を見て、おもわず顔を伏せたママリンがただただ鬱陶しく、私は二人の間を無理やり押し入ってズリズリと新を引っ張って行き、私の部屋に放り込んで内鍵を掛けた。
私は常軌を逸している。
新を持ち上げるとベッドに投げ飛ばしたのだ。
壁にぶち当たった新はまるで、車にはねられた可哀想なネコのように、ベッドの上で手足を縮こまらせた。
私はその上にのしかかり、“ダンゴ虫”になっているカノジョを力ずくで押し開いて、リボンもどこかへ飛んで行ってしまった学シャツに手を掛けた。
そう、凌辱だ。
!!!
その瞬間
血に染まったカノジョのシャツが
私を引き戻した。
新のシャツは
私の両目から流れ落ちていく血の涙に染まっていたのだ。
「あ…」
顔をなぞった指は、絨毯に血判が押せてしまう…
新を見た。
目に一杯涙をためている
新を見た。
私は人間と獣が混ざくった唸り声を上げて転げ泣いた。
泣きじゃくった。
新はベッドから下りて私の脇に座った。
膝から血が流れている。
私は新を
更に
壊してしまっていた。
膝に飛びついて、キスして
流れる血を獣のように舐めた。
そんな私の両頬に
新は手を添えて
口づけた。
「大丈夫だよ。いつものように全部吐き出して! あなたの内にあるもの 全部受け止める」
そう言って新は、同じ獣になって私の“涙”を舐め拭った。
それから新は
私をベッドに導いて
自分のシャツのボタンをひとつひとつ外していった。
「かがりん… 来て」
私も自分のブラウスのボタンをひとひとつ外していった。
二人、ベッドの上で
お互いの禁断を
お互いの指で挿し開いて
お互いの全てを味わった。
ふたり、もう
帰れないところへ
来てしまっていた。
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どのくらい時間が経ったのか分からない。
抱き合って眠っていた新のお腹が鳴ったので
目が覚めてしまった…らしい。
新が
「おなかすいた。食べたい」
と私のくちびるを齧ったから
そこからまた深い深いキスをして
ようやく離れたら
二人の間は
銀色の糸を引いてハラリと落ちた。
「糸引いた」
「納豆少女」
こんな冗談でケラケラした後
私は床に転がっているスカートのポケットからスマホを抜き取った。
「ママリンに電話するね」
新は微笑んで頷いた。
「ママリン、あの銀のピストルを持って来て」
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部屋に入ってきたおばあちゃまとママリンに、私たちはすべて晒した…
毛布を取り除けて。
「もう、いいから 二人とも毛布の中にお入りなさい」と言いながらおばあちゃまはエアコンのリモコンを操作した。
「いくらなんでも風邪をひいてしまうわ」
私はピストルを手に持っているママリンに尋ねる。
「弾は?」
ママリンは弾倉を開いて見せてくれた。
「6発よ」
「それだけあれば大丈夫ね」と新の顔を見る。
新はニッコリと頷く。
「もし、新がマリア病に感染していたら… そのピストルで私たちを撃ち殺して」
ママリンは深いため息をついて新を抱きしめ、ハラハラと泣いた。
「あなたの親御さんにも申し訳がたたない」
そんなママリンの背中をさすって新は言った。
「勇気を持ってかがりんをこの世に産んでくださり本当にありがとうございました。 だから、もしその時が来たら、もう一度勇気を振り絞って下さい」
ママリンがますます泣いてしまったので、おばあちゃまが代わりに応えた。
「弾は6発あります。その時は、皆で逝きましょう」
そのピストルは使われることはなく、今も手元にある。
そして
私たちの子供を身ごもったのは
私ではなく
新だった。
。。。。。。。。。
イラストは、シャツのボタンを外す新です。
目の表情が…写真に撮るとますますダメになってしまった(/_;)
本当に絵は(絵もか…)難しい…
AIで着色してみました。
2023.1.23更新
かがりんです。
あ~!! ラブシーン、やっぱ苦手!!
恥ずいし、美しく書けないし
なにより私、致命的に“引き出し”が少ない…(-_-;)
この不格好なお話もいよいよ次回で最後になりそうです。
最後は11年後のエピローグ。
マリア病の言い訳的説明をいたします<m(__)m>