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傘もささずに ②

“毒を食らわば皿まで”と開き直って書き始めました。

※ “香狩” 視点です。



サッカー少年に扮した新がセットに立つと、ボールが投げ入れられた。


途端にボールは、“カレ”の足元にじゃれつく子犬になり、“カレ”の肩や頭に集う小鳥になる。


「新様は神に魅入られているの」

私の隣で“カレ”を見ている小町さんは独りごちる。


確かに“カレ”の周りは空気が違っている。


けれど…私は新の膝が心配になる。

「大丈夫、新様は、無理はしない」


事実、深追いしないで壁の方へ駆けて行ったボールは壁にバウンドすると、また“カレ”の足元へじゃれついて来る。

全てを見知っている小町に私の心はチリチリと揺れる。


嫉妬だ


「こんなカッコ悪い事、普通は絶対言わないけれど、アンタには教えといてあげる。今日のこのシチュエーションを新様に用意する為に、私は自分の事をたくさん犠牲にした。


だから、アンタには塵ほども触らせない。


自分の為だけに、そのみっともない欲望を駄々洩れさせているアンタにはね! 


今、立っているその場所で

ただただ見ていなさい! 私たちの事を


そして自らを恥じ入りなさい」



「んじゃ、小町ちゃん!! スタンバッて!」

スタッフさんの声がして、小町さんは真っすぐの美しい姿勢で

ポニーテールの髪とリボンをライトでキラキラさせながら

セットの中に入っていった。


そして


スタートが切られた。



--------------------------------------------------------------------


セットの中の二人は

紛う方なき美しい恋人同士だった。


それはついこの間まで…

私だって、映画やドラマで見知った憧れの…恋人たちの世界


なのに、それを観ている今の私の心の中は、嫉妬と激情と悲嘆とが相混じって駆け巡っている。


そしてそれは…

小町さんのくちびるが

新の頬にそっと触れたときに

爆発した。


爆発したのは激情

いや、劣情だ


居たたまれない私は

その場を逃げ出し

トイレの個室に飛び込む。


なにか


なにかこの劣情を抑えるもの…


制服のブレサーの内ポケットにシャーペンが差してあった。

私はスカートをたくし上げ


明け透けに紅潮しガクガク震えている内ももに

それを突き立てた

何度も何度も何度も


私はマリア病の恐ろしさを、身をもって知った。


このように、所かまわず劣情が噴き出したら


あっという間に世界はパンデミックだ。


確かに私は“殺処分”



ようやく劣情を食い止めて


ゆらりと表に出た。


食い止めたはずなのに


私を見る男たちの目がおかしい


そう、あの“エイリアン”の卵のてっぺんがめくれて、おどろおどろしい中身が表出するように


生れ出た男たちの欲望の視線が…私に集まってくる。


逃げなきゃ!!


触れられてしまったら

きっと

その瞬間に

私は狂い

伝播させてしまう


私は伸びて来る男たちの手をかいくぐって


上へ上へと階段を駆け上がった。


もう逃げる場所の無い屋上へ辿り着いてしまったとき


私は覚悟を決めた。



--------------------------------------------------------------------



※ “小町” 視点です。



いつの間にか“ショウゴイン”は消えていた。


途端に新様は色を失い、私の制止を振り切って飛び出して行く。


仕方なくスタッフに肩を竦めて見せると、

あれほどの美少女の“失踪”にはスタッフの“当たり”も違っていた。 悔しいけど



そのうち、『あの美少女が』とざわざわし始めたので

その行方は容易に知ることができた。


なんて事だ


屋上へ上がってみると


柵の向こうに立ち竦んでいる“ショウゴイン”を、まるで襲うかのように男たちが取り囲んでいる。

男たちが

言葉だけは優しく「危ないからこっちへおいでと」語り掛けながら

ジワリジワリとにじり寄って行くそのさなかへ

新様は飛び込み、男たちを跳ね飛ばしながら“ショウゴイン”の元へたどり着いて、カノジョを守るように抱きしめた。



すると


異様な“気”は霧のように消え去って


後は降り出した雨と


傘を差さない私たちだけが


残った。



--------------------------------------------------------------------



“ショウゴイン”を迎えに来たという珠子センセイは、二人をタクシーに乗せて送り出すと、なぜか一人、ここに残った。


「京橋! ちょっと時間あるか?」


「私には余分な時間はありませんけど、センセイは私をお引止めになりたいのでしょう?」


センセイは微かに笑って答えた

「まあ、そんなところだ。ちょっと付き合え」



私を局の喫茶室へ引っ張り込んだセンセイはこんなことを言う

「こういうところはどんな奇想天外な話をしても、誰も気にしない。なぜだと思う?」


「ここは、ニュースも含め、すべてがフィクションの霧に包まれた場所だからです」


「さすが京橋だ。では、その奇想天外なSFの話をしてやろう」


そう言ってセンセイは話し始めた…



。。。。。。。。。



イラストは見つめ合うかがりんと新



う~ん


目力が足りない…



挿絵(By みてみん)




開き直って書き始めると、私の中へ“物語”が流れ込んで来ました。


えっ!!? これって、こんなに悲しいお話になってしまうの??

と涙がダラダラ…


そんなに長いお話では無いので…

完成したら反省文を書きます<m(__)m>

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