↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/76

第六十一話

 朝食を終え、母さまの執務室に移動します。

 僕、母さま、ジーヤの三人です。


「トキン。今朝、本邸から馬車が着いての。レオナルド様から手紙と荷物が届いとるぞぃ」


「レオナルド様からのご返事だね。ありがとうジーヤ」


 僕は手紙を受け取り、封蝋をそっとときます。

 読み終えて母さまに渡します。

 

「やるなら徹底的にやれって言ってる。メデッチ商会は金融と織物で莫大な富を得てるから、織物で攻めろって」


「そうじゃのぅ。メデッチ商会が扱うフランネル織物は他国の名産品じゃ。わざわざ船で運んでおる品じゃ。ここを突かれれば痛手じゃろうのう」


「トキン、やるならトツカーナ・ウールも絡めた方がいいわ」


「オレンジやグリーンの鮮やかな織物だよね。僕も帽子使ってる。トツカーナの名産品の一つでしょ」


「そうね、そう思うのが普通だわ。トツカーナ・ウールと呼ばれる理由はトツカーナ伯爵領で広く流通してるからよ。でも生産されてるのはフィレンツ侯爵派閥のアレンツォ子爵領よ」


「えっ、そうなの」


「そうよ。フィレンツ侯爵は派閥内の名産品流通を抑え込んで、利益の大きい他国のフランネル織物を優遇してるわ」


「そうか、母さま。だからレオナルド様は織物を突けって言ってるんだね。二つの織物って意味か」


「ふぉふぉふぉ、トキン。トツカーナ・ウールの正式な名は、カゼンティーノ織物じゃ。アレンツォ子爵領のカゼンティーノ地方で作られておる。安価で良質じゃ。なのに侯爵領では流通させてもらえん。さぞアレンツォ子爵は不満じゃろうのぅ」


「でも侯爵領内でカゼンティーノ織物を売って大丈夫なの」


「レオナルド様はなんと言ったかのぅ。こう言っておったじゃろぅ、徹底的にやれとのぅ。これは経済的な戦争なんじゃ。覚悟が無いなら大人しくしとる事じゃ。ふぉふぉふぉ」


「トキン、カゼンティーノ織物の方は、私とジーヤに任せて貰えるかしら。ここ別邸のいい権益になりそうだわ。ついでにアレンツォ子爵の切り崩しも兼ねてね。ふふふっ」

 

 母さまとジーヤが楽しそうです。

 僕も覚悟は出来ています。

 この機会にと思い別件の相談もします。


「母さま、ジーヤ。一度、フィレンツ街に行きたいんだ。メデッチ商会とポーロ商会に。でもどうせ行くなら先にモンタルチーノ領に行って仕入れと下見もしたいとも思ってて」


「モンタルチーノ子爵領までは、高速馬車なら二時間半ほどじゃ。トツカーナ伯爵領内を通り治安も落ち着いとる。日帰りでも行けそうじゃのぅ」


「うん。それでこの前、子爵と約束しちゃって・・」


「ふふふ、ソフィアさんも誘いたいのかしら」


「うん。そうなの」


 僕は照れくさくて下を向きます。


「約束なら守らないといけないわ。ジーヤ、伯爵に話してみて。ふふふ」


「ありがとう、母さま」


 僕はにっこりで執務室を出ます。

 レオナルド様からの小包を持って僕の部屋に行きます。

 机の上に小包を置きます。

 丁寧に包みをときます。

 二冊の本が出てきます。



 昆虫図鑑①『虫まみれ』

 昆虫図鑑②『虫三昧むしざんまい



「やった〜」


 素敵な贈り物に大興奮です。

 急いでお礼の手紙を書きます。

 本邸から来てる家人に持って行ってもらうためです。

 お礼の品も添えます。

 ホルンさんから素材買取りした中にいい物があります。


 鑑定結果

 「銀の杯」

  不良品(割れ)

 【護の銀杯】

  麻痺耐性+0 (0/25%)

  猛毒耐性+0 (0/25%)

  10,000ゴルド

  

 「金の置物」

  不良品(割れ)

 【獅子の金置物】

  快眠+0 (0/30%)

  20,000ゴルド

  半径5メドルの快眠効果。


 両方リペアします。


 鑑定結果

 「銀の杯」良品

 【護の銀杯】

  麻痺耐性+25%

  猛毒耐性+25%

  500,000ゴルド

  

 「金の置物」

  良品

 【獅子の金置物】

  快眠+30%

  600,000ゴルド

  半径5メドルの快眠効果。


 これを返礼品にします。

 メイドのアンナに頼みます。

 

 まだ朝の早い時間ですが、お店へ向かいます。

 まず『モンデパィ銀行』に寄り道します。


 母さまの証文880万ゴルド。

 武具卸売り先『幻の左ストレート』の証文3枚220万ゴルド。

 トツカーナ伯爵の証文1000万ゴルド。

 この5枚の証文2100万ゴルドを渡します。

 これで残高は2600万ゴルドになります。


「ふむ。トキン様は、まだお若いのに商才に恵まれた方でバンコ」


「ありがとうございます。バンコ頭取」


 にっこりでぺこりして銀行を出ます。

 

 そのまま、お店に送ってもらいます。

 

 トツカーナ伯爵の証文は、ロック親方から貰ったものです。

 伯爵からの盾の修理代金だそうです。

 アンナとエリザから貴方ロックが直した事にして欲しいと手渡された物で、俺に金を受け取る資格は無いと持って来たのです。

 

 あの時、僕とソフィは魔力切れで眠っていたはずです。

 ロック親方も僕にユニークスキルがあることを感じ取っているはずです。

 今後、協力体制を築けたらいいなと思います。

 僕に時間ができたら母さまとジーヤに相談です。


 僕のお店に着きます。

 裏にまわって作業場の扉の鍵を開けます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。