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第五十五話『中年の闇』SP

 カランカラン♪

 お客さんです。


 二人の冒険者さんが入って来ます。

 

「こんにちは、タナーカさん、ブラックさん」


「やあ、トキン君。こんにちは、これ僕達からの婚約祝いね。タハハ」


「婚約も定め。クククッ」


「わぁ、ありがとうございます」


 Bランクパーティー『中年の闇』の二人です。 

 カウンターに置かれたのは金属製の小箱です。

 

 宝箱の形をしてます。

 大きさは掌サイズです。

 全体に丁寧な彫刻が施されてます。

 アクセサリーケースでしょうか。

 早速、鑑定してみます。


 鑑定結果

 「銀の小箱」

  良品

 【銀細工の宝石箱】

  幸運+1

  200,000ゴルド


「えっ、幸運アイテムですよ。良いんですか。貰ってしまって」


「もちろんだよ。宝箱から出てきた時、すぐトキン君にあげようと言ったのはブラックさんだけどね。タハハ」


「やった〜。ありがとうございます、ブラックさん。凄く嬉しいです」


「クククッ、これも定め、それは天命」


「タナーカさんもありがとうございます。街の英雄のお二人からお祝いを貰えて嬉しいです」


 僕はにっこりでぺこりします。


「参ったね。タハハハハッ」


「ククククッ。定め、定め」


 二人は嬉しそうに、そして少し照れながらアイテムを並べていきます。



 ブラックさんの上半身には先日鑑定した胸当てが装備されてます。


 【黒蝙蝠クロコウモリの胸当て】

  力+30

  混乱耐性+30%

 

 凄い効果の逸品です。

 僕が以前に鑑定したブラックさんの装備は確か二つです。


 【漆黒の牙】

  素早さ+20

 【闇夜のコート】

  体力+5

  守り+10


 ブラックさんは盾を持たない二刀流スタイルです。

 闇に塗れて戦うんだと思います。

 かっこいいです。

 黒の指抜きグローブ、僕も欲しいです。



 タナーカさんの装備鑑定を思い浮かべます。


 【黄蠍の短剣】

  猛毒+20%

  力+10

 【オーク古木の円楯】

  体力+10

 【赤猪のブーツ】

  素早さ+10

  守り+10

 【灰狼の鎖兜】

  守り+20

  麻痺耐性+10%

 【黒像の手袋】

  力+15

 

 タナーカさんはバランス良く装備をゲットしています。

 他にも初級水属性魔法を持ってるはずです。


 カウンターにアイテムが並び終わります。

 気になる四つを鑑定開始です。


 鑑定結果

 「鉄の剣」

  良品

 【潮貝毒の剣】

  麻痺+30%

  力+20

  800,000ゴルド

  稀に麻痺付与。


 「鉄の盾」

  良品

 【赤犀アカサイの盾】

  体力+20

  器用さ+20

  700,000ゴルド


 「布のコート」

  良品

 【闇夜のロングコート】

  体力+20

  守り+20

  800,000ゴルド


 「布のアイマスク」

  良品

 【闇梟フクロウの目隠し】

  素早さ+20

  器用さ+20

  600,000ゴルド


「カッコイイッ」


 鑑定途中で思わず声が出てしまいます。

闇梟フクロウの目隠し】のデザインが素敵過ぎます。


 目に当てる布製バンダナで、両目の部分が小さな丸型にくり抜かれてます。

 こんな装備見た事ないです。

 

「やはり、良さがわかるか。ククククッ」


「おじさんは、この目隠しをする勇気は無いね。タハハハッ」


 ブラックさんもタナーカさんも楽しそうです。

 僕は凄いかっこいいと思います。


「ふむぅ〜ん、お待たせしました。この鉄の剣、銘は【潮貝毒の剣】効果は麻痺+30%、力+20の逸品です。価値は80万ゴルドです」


「いいね。僕が使う定めだよね、ブラックさん。タハハ」


「あぁ、定めだ。ククク」


「今使ってる短剣は予備にしようかな。贅沢だね、タハハ」


 タナーカさんが使う定めのようです。


「次にこの鉄の盾は銘を【赤犀アカサイの盾】効果は体力+20 、器用さ+20の逸品です。価値は70万ゴルドです」


「いいね。これも僕が使う定めだよね。タハハ」


「あぁ、定めだ。ククク」


 盾も定まったようです。


「次にこの布のコートですが銘は【闇夜のロングコート】効果は体力+20、守り+20の逸品です。価値は80万ゴルドです」


「クククッ【闇夜のロングコート】とやら、我と貴様との出会いは定め、それは天命。さすれば装備更新も定め」


「タハハ、トキン君。ブラックさん嬉しそうだね」


「はい、そうですね」


 タナーカさんも僕もにっこりです。


「最後にこの布のアイマスクですが、銘は【闇梟フクロウの目隠し】効果は素早さ+20、器用さ+20の逸品です。価値は60万ゴルドです」

 

「クククッ【闇梟の目隠し】とやら、我と貴様との出会いは定め、それは天命。さすれば装備更新も定め、それは天命。ククク」


 ブラックさんがごそごそと着替え出します。

 それを見て僕とタナーカさんも嬉しくなります。

 ブラックさんのお召し替えが終わります。


「残りの良品アイテムは50万ゴルドで買取ります」


「深層のアイテムは価値が違うね。それでお願いするよ。タハハ」


 僕はにっこりで50万ゴルド(金貨五枚)を手渡します。


「祝いの品、ありがとうございます。大事にします」


 あらためてにっこりでぺこりします。


「タハハハッ、またね」


「さらばだ、ククククッ」

 

 カランカラン♪

『中年の闇』の二人は笑顔で帰っていきます。

 

 鑑定屋さんでの出会いに感謝してしまいます。


 二人の装備更新が終わります。

 僕が鑑定した分だけですが思い浮かべます。


 タナーカさん 

 【潮貝毒の剣】

  麻痺+30%

  力+20

 【黄蠍の短剣】(予備)

  猛毒+20%

  力+10

 【赤犀の盾】

  体力+20

  器用さ+20

 【赤猪のブーツ】

  素早さ+10

  守り+10

 【灰狼の鎖兜】

  守り+20

  麻痺耐性+10%

 【黒像の手袋】

  力+15


 

 ブラックさん

 【闇梟の目隠し】

  素早さ+20

  器用さ+20

 【闇夜のロングコート】

  体力+20

  守り+20

 【黒蝙蝠の胸当て】

  力+30

  混乱耐性+30%

 【漆黒の牙】

  素早さ+20


 強力な装備更新になったみたいです。


 フォルトゥーナの鳴き声が聞こえます。

 にっこりしながら閉店作業をはじめます。

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