第六話
今日はジーヤが一日、付き合ってくれるというので朝から出かけます。
どんなアイテムに出会えるかとても楽しみです。
そういえば付与効果のあるアイテムですが【古代の逸品】と総称されているとジーヤに教えてもらいました。
僕がユニークスキルで修復した【ハヤブサの短剣】もジーヤがダンジョンで手に入れた【古代の逸品】だそうです。
「トキン、そろそろ出かけるかのぅ」
「はーい、母さま行ってきます」
「いってらっしゃいトキン。ジーヤから離れてはだめよ」
母さまとにっこりを交わして出発です。
今日の目的地は鍛冶屋さんです。
この街一番の腕前と評判なんだそうです。
僕達の小さな家からは離れた位置にあります。
街の南東にあるそうです。
少し治安が良くないとも言ってます。
「まずは馬車を借りるぞぃ」
ジーヤの言葉に、にっこりが止まらないです。
初めての馬車で遠出して、初めての鍛治屋さんに行って、初めて出会う古代の逸品を鑑定する。
大冒険の予感にどきどきです。
小さな荷馬車をかります。
ジーヤは御者台に腰掛けると、僕を手招きします。
「よいしょ」と僕を抱え上げ、ジーヤの膝の上に座らせます。
目の位置が高くなり、遠くまで見通せます。どきどきとにっこりのダブルパンチです。
僕は移動のあいだ【王様と時の扉】のお話をせがみまます。
ジーヤはニコニコしながら頷き話しだします。
『むかしむかし、今から千年ほど前、この地上には邪悪な魔物があふれかえっていました。
人々は険しい山の奥深くに集まり、身を隠しながら細々と生きていました。
雨の恵みも少なく、作物もあまり育たない厳しい土地での生活が何年も続きました。
まず老人や子供達が病に倒れていきました。このままでは誰も生き残れない。皆そのことはわかっていました。
しかし邪悪な魔物達の力は強大で、立ち向かった戦士達は、誰一人かえってきませんでした。
そんな絶望が広がるなか、一人の若者が立ち上がりました。
燃えるような赤い髪と赤い目をした、たくましい青年は名をカインといいました。』
「やった。やっと建国王カイン様がでてきた」
もう何度も聞いたお話です。
それでも、どきどきしながら聞いていた僕は、カイン様の登場に声をあげてしまいます。
「ふぉふぉふぉ、トキンはカイン様が好きじゃのぅ。この続きはまた今度じゃ。もう少しで着くからのぅ」
しばらくして馬車が止まります。
ジーヤと二人で、グウゥと伸びをしてから手をつなぎます。大きな看板に大きく書かれています。
職人気質なドワーフの店
『毛深い方がいい』
↓入口は、こちら↓
五歳の僕に、店名の真意はわかりませんでした。
トキンのメモ
鑑定 ランク1 (67/100)