第四十三話
「魔物だっ、魔物がダンジョンから溢れてる。街に向かって来るぞっ」
顔色の悪い商人さんが叫びます。
「なに!サリンベーニが言うなら間違いないな、状況はっ」
「数は計り知れんっ、続々と出て来るのが見えたっ。全身黒の冒険者と中年の冒険者が、私に伝令を頼み逃がしてくれたんだっ」
「ゲートっ、西門の鉄格子を降ろせ、そのまま冒険者の援護へ向かえ、増援が来たら戻って状況報告だっ」
バーン門番長さんが次々と指示を飛ばします。
「ドーア、お前は領主様へ報告だ、帰りに教会にもしらせろっ。スライド、お前は守備兵詰所へ行け。トビーラ、お前は冒険者ギルドだ。街中の冒険者を集めさせろっ。行けっ」
門番ズが慌しく動き出します。
西門の鉄格子がギィイィー、ガ、ダ、ガダ、ガダッと音と振動を立て降ろされます。
「サリンベーニ、お前にも頼みたい。マンジャに伝えてくれ、塔の大鐘楼を鳴らすように。市民にも伝えるんだ」
「もちろんだっ」
商人さんの荷馬車が駆け出します。
僕は言葉が出ないです。
身体がぶるぶる震えてきます。
「トキンは迎えが来るまで詰所の中に入ろう。なに、大丈夫だ心配するな。トキンのことは【地獄の門番】と呼ばれる、このバーンが必ず守る」
バーン門番長がニヤリと笑い僕の頭を撫でてくれます。
片付けして詰所に入ります。
詰所の奥にしゃがみ込みます。
身体ががたがたと震えます。
しばらくして大鐘楼の音が響きます。
『ガラ〜ン、ガラ〜ン、ガラ〜ン・・』
大勢の守備兵が西門前に駆けつけます。
バーン門番長と守備兵の隊長らしき人が話します。
二十名ほどが鉄格子にある扉から外へ駆け出します。
残りの守備兵達は整列し突撃態勢をとったまま待機のようです。
鳴り止まない大鐘楼の音が響きます。
『ガラ〜ン、ガラ〜ン、ガラ〜ン・・』
街の四隅にある見張り塔の警鐘も鳴り出します。
『カン、カン、カン、カン、カン、カン・・』
街の人達が家の外に飛び出してきます。
まだ状況がわからない様子です。
トツカーナ伯爵が西門に到着します。
バーン門番長が言います。
「トキン、家の者が迎えに来るまで、ここから出るなよ」
僕の頭を撫でてバーン門番長が伯爵の元へ駆け出します。
伯爵はお付きの人に全身鎧を着せて貰いながら、バーン門番長の報告を聞きます。
西門からゲート副門番長さんが帰って来ます。
左腕を庇いながら入ってきます。
怪我をしている様です。
そのまま伯爵の元へ向かいます。
待機していた守備兵約八十名全員が門を出て突撃します。
教会の司祭や修道女達、二十名ほどが駆けつけます。
簡易の天幕を張り、怪我人の手当てにあたるようです。
ゲートさんがバーン門番長の肩を借り運び込まれます。
「トキン、大丈夫なのねっ」
門番詰所に母さま、ジーヤ、エリザ、アンナが姿を見せます。
僕は母さまに抱きつきます。
母さまは優しく抱きしめてくれます。
「広場まで避難するわよ」
避難場所のカンポ広場へ向かいます。




