表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/76

第四十一話

 今日は朝から曇り空です。

 それは作業日和でもあるのです。

 

 ニンジーノとワカバが生垣の剪定をしています。

 ニンジーノは園丁の職も兼ねています。

 挨拶して作業部屋へ入ります。

 

 昨日捌ききれなかったアイテムを整理していきます。


 ヒロン達から買取りした素材は全部で十八点あります。

 昨日鑑定した八点のうち、一つを先に修復リペアします。


 鑑定結果

 「羊毛の帽子」

  良品

 【夕日炎の帽子】

  魔力消費 -10%

  100,000ゴルド


 魔力消費-10%という凄い性能です。


昨日、ソフィにプレゼントした、青サファイアのネックレス【癒青の首飾り】と同じ効果です。


 思わずにっこりしてしまいます。

 

 さっそく被りたいところですが、焦ってはいけません。

 卸売りせず手元に置いてあるアイテムを先に被ります。


 「布の帽子」

  良品

 【道化師の赤帽子】

  魔力+5


 この上に【夕日炎の帽子】を被ります。

 二重被りです。

 

 次に見逃せない効果のアイテムをリペアして鑑定します。


 鑑定結果

 「サファイアのネックレス」

  良品

 【慈愛蒼蝶の首飾り】

  老化耐性 20%

  20,000,000ゴルド


 価値の桁が違います。

 修復してみたら、かなり大粒の宝石です。

 公爵家の宝物庫で見た様な大きさです。

 ですが大貴族様かあさまにはお喜び頂けると思います。


 でも母さまは、まだ二十代半ば位に見えます。

 直接聞く勇気は無かったので、一度、ジーヤに聞いてみたことがあります。

 その時こう言われたのです。


「トキンや、ワシの残り少ない時間をこの場で終わらせるつもりかのぅ」


 その後、切々と説かれました。

 淑女の年齢、特に後半一桁の数値に挑むのは愚か者の行為じゃ。

 無事に生還出来た者は誰一人おらぬ。

 ゆめゆめ忘れるでないぞ、と。


 それ以降、僕は口をつぐみます。

 怖いお話を思い出してしまいます。

 心を無にして出来るだけ鑑定していきます。


 木片を手に取ります。

 外見はただの木の枝です。

 でも気になるのです。


 鑑定結果

 「糸杉材の剣」

  不良品(折れ)

 【ガルガノの木剣】

  力+0 (0/30)

  体力+0 (0/30)

  100ゴルド

 

 これはかなりの効果です。

 さっそくリペアをかけます。

 

 あれ?

 ふむぅ〜ん、直りません。

 見た目が変わらないのです。

 もう一度、鑑定してみます。


 鑑定結果 

 「糸杉材の剣」

  不良品(折れ)

 【ガルガノの木剣】

  力+25 (25/30)

  体力+25(25/30)

  1,000,000ゴルド


 効果の数値はそれぞれ25ずつ回復しています。

 価値も上がっています。

 でも見た目は折れた木の枝のままです。

 鑑定結果も不良品です。


 僕のリペア一回では修復しきれないようです。

 一回で修復出来るのはトータル50の数値までかもしれません。

 もう一度、リペアしてみます。


「リペア」


 木の枝が淡い光りに包まれその姿を取り戻します。


 鑑定結果 

 「糸杉材の剣」

  良品

 【ガルガノの木剣】

  力+30

  体力+30

  1,200,000ゴルド


 ふむぅ〜ん。

 無事に修復出来ましたが、修復数値上限があるのを知ります。

 これはメモ案件です。

 軽くて少し短い木剣です。

 僕が使うか迷います。


 先程の怖いお話で心が乱れたせいか疲れが出ます。

 片付けしてお馬さん観察です。


 お馬さんがいません。

 そうでした。

 さっきジーヤがフォルトゥーナ号で出掛けたのでした。


 ふぅ。アリの観察に行きます。

 疲れがあるので走らず行きます。

 芝生に寝そべります。

 至福の時です。

 時間を忘れ観察を続けます。


 

「トキン様、アリアンナ様がティータイムにお誘いです」

 

 いつのまにか寝ていたようです。

 よだれを拭いて顔を上げます。

 赤い髪が見えます。


「アンナ、わかった」


 僕はにっこり立ち上がります。

 アンナはクスリと笑顔を見せ、手漕ぎ井戸をキコキコさせます。

 手と顔を洗いお家に入ります。


 今日のティータイムは、ハチミツ入りホットミルクとバタークッキーです。

 バタークッキーをミルクに浸して食べます。


「トキン、今後の予定だけどジーヤに聞いてるかしら」

 

「予想は少し教えてもらったけど」


「そうなのね。じゃ簡単に説明するわ。まずヴェネート公爵邸で婚約お披露目会を開く予定よ。派閥内での顔見せも兼ねてるわ」


「うん」

 

「その後は王宮での貴族会議で、私とトキンのヴェネート公爵家入りが発表されるわ」


 僕は頷きます。


「それと同時にトキンとソフィアさんの婚約発表があるわ」


「同時にするの」


「そうよ。じゃないとトキンとのお見合い話や贈答品の送り付けが殺到するわ。ここの人員じゃ捌ききれないもの」


 僕は黙って頷きます。

 この婚約は母さまと僕を守るためのものでもあると気付きます。

 

 ジーヤが帰って来たタイミングでお話は終わります。

 気持ちを切り替え鑑定屋さんに向かいます。

トキンのメモ


鑑定ランク2 (138/200)

リペアランク2 (575/1000)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ