第三十話
「トキン様、朝でございます」
寝ぼけ眼で髪色を確認します。
「うん。アンナ、おはよう」
「はい、おはようございます」
今日、起こしてくれたのは、明るい赤色の髪のアンナです。
アンナはニコリと笑顔を見せて、僕の洗面と着替えを手伝ってくれます。
リビングでは、ジーヤとワカバが待っています。
挨拶して領地運営のお話を聞きます。
今日は入門編じゃと、学ぶ仕事の種類を聞きます。
一時間ほどで終わり、各自の部屋へ戻ります。
僕の小さな家は、部屋が二つとリビングだけです。
水周りは全て魔道具が付いています。
部屋割りはどうしてるのか、ワカバに聞くと、南にある執事部屋は、ジーヤとワカバが一部屋ずつ。
リビングには、食事の時だけメイド含め皆が集まるそうです。
南西にある小さなお家は、ニンジーノが一部屋使い、後はヴェネート公爵家の、使いが来た時に使ってもらうよう、改装して空けてあるそうです。
厩舎も横にあります。
西にあるメイド部屋の中はわからないと言っています。
少し長めにワカバと話せて、嬉しい朝になりました。
お部屋の机で、今朝の領地運営のメモを眺めていると、アンナが呼びに来ます。
片付けてリビングへ行きます。
朝食前に、母さまが皆を集め、ジーヤから報告させます。
「昨日あった、迷宮ダンジョンの異変じゃが、トツカーナ伯爵様より今朝、使いがあっての。異変の内容は、エリザとアンナが調べた通りじゃ。夜中も変化なしじゃ。今日、領兵二十名と冒険者数名で、念の為二十階層まで調査するそうじゃ。また連絡してもらえると言っておったが、皆、気は抜かぬようにの。以上じゃ」
そのまま僕と母さま、ジーヤ、サーラはテーブルにつき朝食です。
エリザとアンナは給仕役です。
ニンジーノとワカバは、フォルトゥーナのエサやりに向かいます。
朝食後、紅茶を飲みながら会話します。
「トキン。もし街に魔物が来たら、私達はどう動けばいいかしら」
「はい、母さま。早く気付けば、まずカンポ広場へ向かって、街を出るのと、残るのと、どっちが安全か考えるのがいいと思います」
「魔物に気付くのが遅かったら、どうしたらいいかしら」
「その時は、戦うか隠れるかを決めます。戦える人は武器を持って、戦えない人は、なるべく安全と思える場所に隠れる事がいいと思います」
「トキンは、どうするのかしら」
「僕もそういう時は戦いたい気持ちがあります。みんなが居る街を守りたいって思います。でも、二年も母さまに剣術を習ったけど、向いてない事がわかったから、残念だけど隠れます」
「ふふふ、トキン。そんなに落ち込むことはないわ。ジーヤ、いいアドバイスはあるかしら」
「武器を持って、魔物に挑むだけが戦いではないのぅ。傷ついた戦士を癒やす者。戦い続ける戦士の食を用意する者。武器や防具を作る者。それらの物資を運ぶ者。皆、戦いじゃ。その辺りは戦時の領地運営での話じゃのぅ」
「そっか、そうだね。そういう戦いも方もあるんだね。僕、領地運営のお話が楽しみになってきたよ」
母さまとジーヤはニコニコしています。
僕もにっこりで部屋へ戻ります。
今日から、一日の予定を組み直します。
起床。ジーヤのお話。
朝食。買取品の選別。
お馬さんの観察。
アリの観察。お茶。
鑑定屋さん。夕食。
お風呂。日記。
就寝。
次は買取り品の選別です。
どんなアイテムに出会えるか楽しみです。




