第二話
「ユニークスキル所持者は、王国中探しても五百人もおるまいのぅ。ばれぬよう鑑定妨害のアイテムが欲しいとこじゃのぅ」
ジーヤがにっこりしながら唸っています。
「トキン。わかってると思うけど、ユニークスキルのことは誰にも言っては駄目よ」
「はい、母さま。わかってます」
ユニークスキルは所持者だけが使えるオリジナルです。
リペアは修復とか修繕という意味だったはずです。
でもユニークスキル所持者はバレてしまうと危険です。お金稼ぎを目的に誘拐や監禁のリスクが有ります。
「気になるわね。ジーヤ、ユニークスキルの確認ができそうな物ないかしら」
「丁度いいのがあったと思うのう」
ジーヤがリビングから出て行きます。後ろ姿が楽しそうです。
日課の終了祝いで獲得した鑑定スキル。試したら、まさかのユニークスキル持ちだと判明して大騒ぎです。
でも僕も母さまもにっこりしながらジーヤを待ちます。
「いいのが見つかったわい」
ジーヤが僕の前に短剣を二本おきます。一方は綺麗な状態で、もう一方は剣先が大きく欠けています。
「これで鑑定とリペア、両方のスキルを検証できるぞぃ。まずはこっちの綺麗な方に鑑定じゃ」
「うん、わかった。『鑑定』」
鑑定結果
『鉄の短剣』
良品
頭に浮かんだ結果を伝えます。
「ふむ。ランク 1ではアイテムの名称と状態を知ることができると。名称は素材プラス形状のようだのぅ。トキン、メモをとったら、次はもう一度、自身の鑑定スキルの経験値を確認じゃ」
僕はさっきの羊皮紙に羽ペンをはしらせます。
鑑定ランク1
「名称」と「状態」
鉄の短剣 良品
「名称」=素材+形状
鉄+短剣
次いで自身に再度、鑑定します。
あっ、無詠唱でもスキル発動するみたいです。これもメモっとかなきゃ。
『鑑定』R1 (1/100)
「経験値は変わらず1/100みたい」
ジーヤは僕の返事に笑顔で頷きます。
「トキン、次はこの折れた短剣の鑑定じゃ」
「はーい。『鑑定』」
「え〜とね、情報が増えたよ」
鑑定結果
「鉄の短剣」
不良品(折れ)
【ハヤブサの短剣】
素早さ+0 (0/24)
ジーヤと母さまに羊皮紙を手渡します。
二人は頷きあい、にっこりしてます。
「トキン、すごいわ。さすが私の可愛い子」
「ステータスアップなどの効果が付くアイテムだと、銘と効果もわかるようだのぅ。状態不良の場合はその症状もでとるのぅ」
鑑定R1
「名称」と「状態」
鉄の短剣 不良品(折れ)
「銘」と「効果」
【ハヤブサの短剣】
素早さ+24
「名称」=素材+形状
鉄+短剣
「状態」=良品or不良品(症状)
「銘」
【ハヤブサの短剣】固有名称
「効果」ステータス値アップ等
ジーヤの言葉をメモします。
母さまのは、まぁ、いいかな。
「トキン、まだいけるか?なんとなく疲れを感じたり、体がだるい感じはしちょらんか?」
「うん。まだまだ行けるよ」
ジーヤの気遣いに、僕はにっこりをプラスして返事をします。
「無理はするなよ。辛くなったら、すぐ言うんじゃぞ。ではまた鑑定スキルの経験値確認じゃ」
「うん。『鑑定』」
鑑定結果
『鑑定』R1 (4/100)
「あっ、経験値がプラス3されて4/100になってるよ」
ジーヤがニコニコしながら頷きます。
「まだ体が大丈夫そうなら、ユニークスキル『リペア』を試したいところじゃのう」
「やれるよ。試してみないと僕だって気になってしかたないもん」
母さまにも、にっこり笑顔を向けて大丈夫アピールをしておきます。
母さまもニコニコで頷いてくれます。
「じゃいくよ。『リペア』」
折れた短剣【ハヤブサの短剣】がほんのりと淡い光をおびます。
折れた短剣がみるみる形を取り戻します。
ジーヤから「おぉ」と声が漏れます。
母さまも、目を見開いています。
「ふぅ。次はもう一度、この短剣に鑑定でしょ」
ジーヤがニコニコしながら頷きます。
僕は、もう一度心の中で鑑定と唱えてみます。
鑑定結果
「鉄の短剣」
良品
【ハヤブサの短剣】
素早さ+24
メモして二人に見せる間に、無詠唱で自分の鑑定スキル経験値を確認します。
「鑑定経験値がプラス3されて7になってる。リペアの経験値も24増えてる。あと、えへへ、ちょっと疲れちゃったみたい」
「トキン、初めてなのに頑張り過ぎよ」
「トキンの『リペア』スキルは本当にすごいのう。思い出の品が蘇ったわい。うまく隠さないとのぅ。これからゆっくりと鍛練するといい」
二人ともニコニコです。僕もにっこりです。
この後もスキルの話で盛り上がります。夕食には大きなケーキもでて、とてもうれしい一日になりました。
トキンのメモ
鑑定 ランク1 (7/100)
リペア ランク1 (24/500)