第十九話
小さな鑑定屋さん『トキンの虫眼鏡』開店です。
小さな椅子にちょこんと座って西門を眺めます。
大きな荷馬車が入って来ます。
御者台の若い商人さんがふぅ〜と息をはきます。
陽が落ちる前に街に着き、安堵の表情を浮かべます。
後に続いて帰って来た冒険者が見えます。
若くて元気な四人組。
Eランクパーティー『たぬきの皮』さん達です。
「ようトキン、今日は大量だぜ」
「重すぎて泣ける」
「マジ大量、重さマシマシ」
「重すぎて腹減った」
四人でアイテムを並べていきます。
僕もどんどん観て行きます。
「全部で110,000ゴルドになります」
「おう、それで頼むぜ」
「久々の十万ゴルド超え泣ける」
「俺達マジ絶好調だろ。酒場が待ってるぜ」
「まず飯食わせろ。腹減った」
調子が良くなって本当に楽しそうです。
わいわい騒ぎながら帰って行きます。
西門から男性三人組のパーティーが近づいて来ました。
「こんにちは、僕はトキンです。アイテム鑑定と買取をしています」
「俺はCランクパーティー『やまびこ』のリーダー、イッチーだ。よろしく」
「俺はリーダー代理のニッチーだ。よろしく」
「俺は副リーダーのヨッシーだ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
僕はにっこりで挨拶します。
「早速だが買取査定を頼む」
「悪いが頼む」
「本当に頼む」
三人でアイテムを並べていきます。
僕は虫眼鏡を取り出して鑑定していきます。
鑑定結果
「鉄の大剣」
良品
【コボルトキングの大剣】
体力+20
400,000ゴルド
「ふむぅ〜ん、見えました。この大剣は銘が『コボルトキングの大剣』効果は体力+20の逸品です。価値は400,000。買取なら100,000です。他は良品三つで150,000。こっちは金属素材として6,000ゴルドです」
「大剣以外は買取で頼む」
「悪いが頼む」
「本当に頼む」
「はい、ありがとうございます。156,000ゴルド(金貨一枚、銀貨五枚、銅貨六枚)です。確認お願いします」
「トキンくん。これからもよろしく」
「悪いがよろしく」
「本当によろしく」
Cランクパーティー『やまびこ』の皆さんが帰って行きます。
西門からまた一人冒険者さんが帰って来ます。
くたびれた姿のおじさんは、僕を見て手を振ってきます。
僕もにっこりで手を振ります。
「こんにちは、タナーカさん」
「こんにちは、トキンくん。今日も頼めるかな」
僕はにっこり頷きます。
タナーカさんが丁寧にアイテムを並べていきます。
剣十本ともう一つのアイテムを並べ終えます。
虫眼鏡を取り出し鑑定します。
鑑定結果
「オーク材の円楯」
良品
【オーク古木の円楯】
体力+10
180,000ゴルド
以前、ドワーフの店『毛深い方がいい』でこの楯は観たことがあります。
【古代の逸品】は量産品もあるのでしょうか。
「ふむぅ〜ん、見えました。この円楯は銘が【オーク古木の円楯】効果は体力+10の逸品です。価値は180,000。買取なら45,000です。他は剣十本で50,500。合計95,500ゴルドになります」
「楯以外の買取を頼めるかな」
「はい。50,500なので51,000ゴルド(銀貨五枚、銅貨一枚)で買取します。確認して下さい」
「オマケしてもらって、なんだか悪いね。タハハ。でも楯が出てくれて良かったよ」
「軽くて丈夫な良い楯ですね。それと持ち帰るアイテムの質が上がってます。凄いですね」
「この短剣のおかげさ。おじさんも本気出すって決めてるからね。タハハ」
これまで僕が鑑定したタナーカさんの装備を思い浮かべます。
【初級水属性魔法】
【黄蠍の短剣】
【オーク古木の円楯】
着実に進むタナーカさん。
くたびれた背中で街に消えて行きます。
やりとりを横で見守っていてくれたジーヤがニコニコしています。
「今日も頑張ってたようじゃのぅ」
僕はにっこり頷いて店じまいします。
門番ズに挨拶をすませ、ジーヤと一緒に小さなお家へ帰ります。
トキンのメモ
鑑定 ランク2 (50/200)
リペア ランク2 (59/1000)
幸運コレクション (8/100)




