第十七話
西門から、三人組のパーティーが近づいてきます。
Dランクパーティー『トライアングル』の皆さんです。
詰所からバーン門番長がスッと姿を見せます。
「こんにちは、また来てくれてうれしいです」
「トキンくん、この前は本当にごめんなさい。もう触ったりしないから、また観てくれる?」
「はい、大丈夫です。観せてください」
女性魔法使いさんが心配そうに聞いてきます。
僕はにっこり返事します。
「トキンくんは本当に良い子で可愛いわね。少し多いけど鑑定お願いね。あと可愛い」
「いや、俺の方が良い子だし、可愛いし」
「貴様は、性悪で、可愛い要素は皆無。己を知れ」
女性魔法使いさんに続き、男性剣士さんと女性僧侶さんがアイテムを並べていきます。
男性剣士さんの発言を、女性僧侶さんが容赦なく叩き切ります。
「ふむぅ〜ん、買取なら全部で73,000ゴルドになります」
「ハゥ、、それでお願いするわ。あと尊い」
『トライアングル』さんが帰るのを待って、バーン門番長さんもニヤリと詰所に戻ります。
西門から男女八人の冒険者さんが街に入って来ます。
同じパーティーのようです。
七人を残し一人がこちらに近づいてきます。
「こんにちは、僕はトキンです。アイテムの無料鑑定と買取をしています」
「やあ、こんにちは。俺はAランクパーティー『やばいモグラ』のリーダーをやってるホルンだ。何点か鑑定して欲しい品がある。頼めるかな」
「はい、大丈夫です」
僕はにっこりで答えます。
ホルンさんは、仲間のところへ一度戻ります。
荷物を降ろして休んでいた仲間と、やりとりしています。
帰ってきてアイテムを三つ、丸テーブルの上に並べます。
「ダンジョン深層の宝箱から出た物だが、この通りでね。一応鑑定してもらってから判断しようと持ち帰って来たんだ」
僕は気合いを入れて頷きます。
革エプロンのポケットから虫眼鏡を取り出します。
革のミトン手袋をしっかり奥まで装着して鑑定を始めます。
鑑定結果
「金のピアス」
不良品(割れ)
【黄金の耳飾り】
幸運+0 (0/1)
23,000ゴルド
(銀貨二枚、銅貨三枚)
「翡翠のペンダント」
不良品(割れ)
【翡翠の勾玉】
幸運+0 (0/1)
28,000ゴルド
(銀貨二枚、銅貨八枚)
「白銀のバンダナ」
不良品(ほつれ、破れ)
【ミスリルの額当て】
素早さ+6 (6/30)
魔力+6 (6/30)
60,000ゴルド
(銀貨六枚)
「ふむぅ〜ん、見えました。まず「金のピアス」は銘が【黄金の耳飾り】本来なら幸運+1の逸品ですが割れて効果がなくなってます。価値は23,000です。
つぎに「翡翠のペンダント」ですが銘は【翡翠の勾玉】これも本来なら幸運+1の逸品ですがヒビで効果が無くなってます。価値は28,000になります」
「ふむ」とホルンさんが頷きます。
「最後に「白銀のバンダナ」ですが銘を【ミスリルの額当て】最大効果は素早さと魔力それぞれ+30の逸品です。痛みのため効果はそれぞれ+6に落ちています。価値は60,000です」
「ふむ、やはり全て【古代の逸品】だったか。残念だな。バンダナだけは僅かに効果が残っていると」
「はい、そのバンダナだけは修復出来そうな職人さんを知っています。でも必ず直せるかはわからないです。それでも良ければ簡易鑑定書を発行します」
「ぜひ紹介して欲しい。直らなかったとしても清く諦めるさ。他の二点は引き取りして欲しい。いいかな」
僕はにっこり頷いて鑑定書を書きます。
紹介状と簡単な地図も書いて50,000ゴルドとともに手渡します。
「トキンくん、ありがとう。これからも頼むよ」
僕もにっこりでぺこりします。
ホルンさんが仲間のもとへ帰っていきます。
バーン門番長さんが顔を出します。
「トキン、いい仕事ぶりだったな。あいつらはこの街トップのパーティーだ。当然持ち帰るアイテムの質も高い。これからも期待出来るかもな」
二人で顔を合わせニヤリとにっこりです。
ジーヤが迎えに来ます。
今日はこれで閉店です。
ジーヤとお話ししながら、ゆっくり小さなお家に帰ります。
トキンのメモ
鑑定 ランク2 (42/200)
リペア ランク1 (359/500)




