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第十五話

『トキンの虫眼鏡』開店三日目です。

 母さまが持たせてくれた手土産アップルパイが好評で僕も門番ズもにっこりです。

 

「今日も俺達がいるから安心して鑑定するといい」


 バーン門番長がニヤリの笑顔で頭を撫でてくれます。


 さっそくお客さんが来てくれます。

 Eランクパーティーの『たぬきの皮』さん達です。

 初リピートうれしいです。

 

「トキン、また来たぜ」

「今日もガラクタの山〜泣ける」

「最近マジでついてねーよな」

「俺、腹減った」


 言いながら四人がアイテムを並べてくれます。

 僕はエプロンのポケットから、虫眼鏡を取り出して鑑定します。


「また来てくれてうれしいです。さっそく観てみますね。ふむぅ〜ん、樫の木の大弓が価値30,000ゴルドで買取なら7,500。他は全部金属素材として2,500。合計10,000ゴルドになります」


「だよなー。そん位しかなんねーよな」

「最近、運なさすぎ。泣ける」

「ちょっと前までマジ調子良かったのにな」

「ここんとこ急についてない。ほんと腹減る」


 ここ最近になって急に運が落ちたと口を揃えて言います。

 僕は気になるアイテムがあったので提案してみます。


「ちょっと気になることがあります。そのアイテムを鑑定させて貰ってもいいですか」


「えっ、俺のこれ?もちろんいいけど」


 鑑定結果

 「銀のリング」

  不良品(傷)

 【新雪の指輪】

  幸運−1 (−1/1)

  5,000ゴルド

 (銅貨五枚)


「ふむぅ〜ん、観えました。銘は【新雪の指輪】本来なら幸運+1の効果がある【古代の逸品】です。でもこの文字のような?文様のような?デザインの真上に傷がありますよね。この大きな横傷のせいか、良い効果が打ち消され幸運−1の呪いの効果になっています」


「呪いの効果・・」


「よければ5,000ゴルドで引き取ります。もちろん他で再鑑定してもらってからでも大丈夫です。僕に譲って欲しいです」


「この指輪はダンジョンで、数日前に拾ったはず・・・」

「その指輪のせいとか泣ける」

「マジこっち来んな、サゲサゲ呪われ男」

「はやく売れ、腹減るわ」


 一緒に引き取ってくれと言います。

 僕はカエルのコインケースから合計15,000ゴルド(銀貨一枚、銅貨五枚)を手渡します。


「トキンありがとな。今度こそ良いもの持って来るからよ」

「呪いとかほんと泣ける。トキンも気をつけろよ」

「これで運気もアゲアゲのアップアップよ。マジで」

「原因がわかって良かった。腹減ってたし」


『たぬきの皮』の皆さんがにぎやかに酒場へ向かって行きます。

 

 僕は受け取ったばかりの【新雪の指輪】を左手に握ります。

 ショルダーバッグ【山葡萄ヤマブドウの編み袋】の中に入れます。

 周りに誰もいないのを確認して、バッグの中でこっそり『リペア』をかけます。


 鑑定結果

 「銀のリング」

  良品

 【新雪の指輪】

  幸運+1

  50,000ゴルド

 (銀貨五枚)


 幸運効果が−1から+1へ二段階アップしています。

 予想通りリペアの経験値が200も入っています。

 アゲアゲのアップアップです。

 幸運コレクションも増えて良い事ばかりです。

 ちょっと残りの魔力が心配ですが、呪われたままだと心配です。

 これで一安心です。


 次の冒険者さんが来ます。

 全身黒色のレザー装備です。

 黒の冒険者さんです。


「こんにちは、また来てくれてうれしいです」


「先日は済まない。今日はお前だけを見ると約束する。頼めるか」


 先日鑑定した黒鉄の剣【漆黒の牙】が背中に見えます。

 もう一本の剣と背中でクロスさせてます。

 かっこいいです。

 黒の冒険者さんは丸テーブルの上に一つのアイテムを置きます。


 詰所の入口にバーン門番長さんがスッと姿を見せます。

 こちらとの絶妙な距離感を保ち見守ってくれます。


 鑑定結果

 「金の装飾短剣」

  良品

  750,000ゴルド

 (金貨七枚、銀貨五枚)


「ふむぅ〜ん。観えました。この金の装飾短剣は価値750,000ゴルドになります。。特別な効果は付いてないです。買取なら187,500ゴルドになります。よければ188,000ゴルドで買取ります」


「貴様は良い眼を持っている。闇色以外興味は無い。これも定め、これは天命。それで頼む」


 僕はカエルのコインケースから188,000ゴルド(金貨一枚、銀貨八枚枚、銅貨八枚)を手渡します。

 黒の冒険者さんは先日といい今日といい持ち帰るアイテムが良品だけです。

 きっと腕の立つ人なんだと思います。

 

 バーン門番長さんがニヤリで「うむ」と頷き詰所に戻ります。

 僕はにっこりお辞儀します。

 

 西門から街に入って来る一人のおじさんがいます。

 非常にくたびれたあの雰囲気、知ってます。


「こんにちは、タナーカさん」


「やあ、トキンくん。今日も買取お願いするよ」


 タナーカさんが、あまり状態のよくない短剣二十本を丁寧に並べます。

 その横に更にもう一つアイテムが並びます。


 鑑定結果

 「黄銅の短剣」

  良品

 【黄蠍の毒針】

  猛毒20%

  力+10

  400,000ゴルド

 (金貨四枚)


「ふむぅ〜ん、見えました。この鉄の短剣は銘が【黄蠍の毒針】、効果は猛毒20%、力+10の逸品です。価値は400,000ゴルド。買取なら100,000ゴルドになります。他の二十本は素材買取で4,000ゴルドになります」 


「【黄蠍の毒針】か。いい武器が手に入ってよかったよ。ここで生きていくしかないからね。うん、おじさん頑張るよ。他は買取でお願いね。タハハ」


 4,000ゴルド(銅貨四枚)を渡してタナーカさんを見送ります。

 西門から西日が差し込みます。

 くたびれた背中を優しく照らします。

 その横をジーヤがすれ違い歩いてきます。

 僕はうれしくなって手をふります。

 ジーヤもニコニコで手をふります。

 今日はこれで店じまいです。

トキンのメモ


鑑定 ランク2 (32/200)

リペア ランク1 (329/500)


幸運コレクション (5/100)

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