第一部 第一話
連載初投稿です。
第一部、終了まで予約投稿します。
7月1日から10日間
6時、9時、12時、15時、18時
よろしくお願いします。
穏やかな昼下がり、小さな家の小さな庭で、僕は木剣の素振りをしています。すぐ横には腕組みして目をひからす母さまがいます。
「・・九十八、九十九、百」
「トキン、おつかれさま。お茶にしましょう」
「はーい」
やっと日課が終わりました。
僕の名前はトキン。四歳です。毎日忙しく過ごしています。
朝食後はリビングでジーヤと読み書き、算術、社会のお勉強です。
そのあとは母さまと小さなお庭を二周します。準備体操して木剣素振り百回です。たまに母さま相手に打ち込みしたりします。
日課が終わるとティータイムです。そのあとは自由時間です。部屋で冒険物語を読んだり、小さなお庭で水遊びしたり。最近は日が暮れるまで、アリの観察をするのがお気に入りです。
そんな生活を三歳のときから二年ほど送ってます。でも今日でおしまいです。五歳からは自分で何をするか考えるよう母さまに言われているからです。
庭の手漕ぎ井戸からキコキコと水を出します。汗を洗い流し小さなお家に入ります。
リビングの僕の席には、アップルティー、バタークッキー、小さな虫眼鏡と羊皮紙を筒状にまるめてリボンをかけた物が一つ置かれています。
「トキンおめでとう。明日から五歳、日課も今日でおしまいよ。」
「トキンも五歳になるか。三歳からよう頑張ったのぅ。ささっ、気になる物から手を出していいぞい」
「母さま、ジーヤ、ありがとう」
僕はアップルティーとバタークッキーを少しずらして、小さなスペースを確保します。早速、羊皮紙の筒を手にとって、にっこり笑顔を母さまとジーヤに向けます。
五歳になったらスキルスクロールがほしいとお願いしていたのです。
あと虫眼鏡もです。
母さまは口に手をあて、ふふふと笑ってます。ジーヤもニコニコしながら頷きます。
僕はリボンをゆっくりほどいて羊皮紙をひろげます。
そして、言います。
「ランダム、スキルスクロール、オープン」
羊皮紙が優しく薄緑色に輝いて、光が胸に吸い込まれます。
「トキン、どうなの」
母さまが少しだけ前のめりになって聞いてきます。
「うん。えーとね、げんてーかんてー?。あ、限定鑑定。自分自身のスキル確認とアイテム鑑定ができるって」
頭の中に浮かんだことを伝えます。
「おお〜、あたりスキルじゃ。この街にも三人しか鑑定持ちはおらんはずじゃ。限定と付いとるがアイテム鑑定はかなり便利なスキルじゃ」
「自分のスキルを確認出来るのもいいわね。よかったわね、トキン」
「うん、すごくうれしい。母さま、ジーヤありがとう。やってみるね」
自身のスキルを鑑定できるとわかった僕は、さっそく手のひらをみて『鑑定』といってみます。
ジーヤがサイドテーブルの上から、羊皮紙と羽ペンを持って僕の前に置いてくれます。
頭の中に浮かんだスキルを書いていきます。
書き終えた羊皮紙を母さまとジーヤに見せます。
ユニークスキル
『修復』R1 (0/500)
スキル
『鑑定』R1 (1/100)
『剣術』R1 (61/100)
『算術』R3 (31/300)
『識字』R3 (45/300)
『社交』R3(246/300)
「『リペア』?トキンがユニークスキル持ちじゃと・・・」
ジーヤはユニークスキルの存在に息をのみます。
母さまは『剣術』スキルランクの低さに目を細めます。
トキンのメモ
リペア ランク1 (0/500)
鑑定 ランク1 (1/100)
追記、令和四年十二月九日
全話を見直し、改行追加や改稿等行います。