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7 張り切ってストレッチして肉離れ

 涙を拭き笑顔でそう答えるマキネさん。辛いだろうに、もうこちらに気を使って。本当に良い人だな。日頃から気を使っているのだろう。

 これで多少元気が出たようだ。声に張りが戻ってきた。こうしてその日は2人とも眠る。


 翌日から進路を大きく変更。足取りをつかまれないようにだな。

 それから5日ほど歩いた。遠くに街が見えてきた。谷間に作った街のようだった。マキネさんの話では、ここを通り抜けられないと他の道は遠回りとなるとのこと。地図を見る。なるほど、この辺りは山が多いのか。無理なく行けるようなら街を通り抜けましょうと話、進行。


 街の入口まで行くと、いかにも強そうな男が街の前で立っていた。そして彼の周りには多数の剣が地面に突き刺さっている。


「あれは、100本剣のミカラタ!」

「有名な人ですか?」

「有名も有名、この国で最強の剣士です。騎士ではなく冒険者です」


 冒険者とは雑用から魔物の退治まで様々な仕事をこなす人間たちのこと。それにしても最強か。確かに強そうではある。彼は金のためなら女子供、老人に至るまで平気で殺すらしい。そこまでするならさすがに捕まるのではと聞くと毎回適当な理由で釈放されるのだとか。正当防衛が多いらしい。どうやらこの国と繋がりがある模様。

 本当にこの国はろくでもない奴ばかりだな!!


 様子を見ていると街の中から多数の馬車が。一旦止まりミカラタに話しかけている。彼らはこの国の兵士のようだ。話が終わると急ぎ気味で全ての馬車は街から出ていった。


「何かあったのかもしれませんね。急いでいる気配がしましたし。好機、ではあるのですが街の前にミカラタが居てはここを通ることは難しそうですね。ここで少し待っていてください。他の道を探してきます」


 そう言うとマキネは森の奥の方へ。現在は夕刻、そろそろ夜になるところ。


 しっかし目の前にいる外道はこれからも人を殺し続けるのだろうな。せめてきついお仕置きでもしてあげたいところ。おや、半分遊びで狙いをつけたんだけど届くぞ。なかなかの距離があるのに。


 そうだな、俺のスキルなら自然現象とほぼ変わらない。彼にスキルをぶち当ててしまおう。スマンね、これも俺たちが逃げるためだと心のなかで謝ろうとしたが誰でも殺すってのを思い出し謝罪は中止。ガオウと同じくエクストリームでいいかな?

 ミカラタに狙いを定め、スキルを使った。


「イキナリキレル・エクストリーム」


 ……、なかなか効果が出ないな。それに何が切れるのだろう、靴紐かな。このスキル、特殊すぎて何が起こるかわからない。

 それからほどなくして、ミカラタが伸びをし、体をほぐし始めた。飛んだり跳ねたりしている。準備運動かな。それにしてもすごい身体能力を持っている、とんでもない跳躍力だ。


 何度か飛び跳ねて、もう1度といったところで急に足を抱え込むようにして前へ倒れる。よく見るとアキレス腱あたりを痛がっているようだ。となるとそこがちぎれたか。かなり痛そうだ、叫び声を上げ、足を抱えながら転がりまわっている。


 ああ、危ない! そっちは!


「ギャー!」


 一段と大きな悲鳴が。刺してあった剣に勢いよく首が接触、大量の血が吹き出した。街の衛兵が気づいたようで彼のもとに駆け寄る。こうして彼は街の前から去っていった。後ろからマキネさんの声がした。


「どうしました? 騒がしいようですが」


 マキネさんに俺のスキルについて説明しよう、と思ったが止めた。どうもこの国は信用できる人間が少ないようだ。彼女が信用できないというわけではない。ただ、その周りがガオウみたいなやつだったら。


 自分でもこのスキルは実は強いのではと思い始めていた。悪人がこのことを知ったら。悪用されるのは目に見えている。ここはスキルのことは伏せて説明を。


「急に足を痛がり、足を抱え込んで転がっていたら首を地面に刺さった剣で」


 嘘は言っていない。首をかしげるマキネさん。しかしすぐ腕を組みミカラタを見ながら考え始めた。

 頷き今が好機と言うマキネさん。先程の騒ぎで街へ入る手続きが遅れているようだった。馬車数台が1列に並んで俺たちが隠れている近くにまで伸びていた。そして現在は夜。


 検査を終えた荷馬車に潜り込む俺たち。こうして無事街の中に侵入することが出来た。入ってしまえばあとは簡単とマキネさん。この街の反対側は出入りが楽らしい。こちらの入り口から見て末広がりになっているため、反対側は誰にも見つからず簡単に出入りできる、との話だった。

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