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レフュージア  作者: 一森 奥
7/9

アジア編7

ヒロが魔法の研究に没頭しているうちに、キムと約束していた2週間はすぐに到来してしまった。それでも研究の成果を試さずにはいられなかったので、彼はもう少しここに留まって魔獣相手に腕試しをすることにした。


初日は繁殖力が強過ぎて最早どこにでもいると言っていい存在になってしまったダイアウルフをひたすら退治し続けた。以前よりも消費魔力がかなり少なくなっていることでいくら退治して回ってもほとんど疲労を感じなかった。その上さらに移動速度が向上した為に結果的に43頭という過去にない退治数を記録した。

キャンプ周辺の魔獣は狩り尽くしてしまったようで、2日目は少し遠出をしてみたところ、ようやく本命に出会うことができた。この辺りの魔獣駆除が進まない元凶、ジャッカロープがそれだった。見た目こそ可愛らしいツノの生えたウサギだが、性質は凶暴でツノやら爪やらはかなり鋭く、それに加えて動きも早い。下手をすれば命を落としかねない相手なので数人がかりで1匹倒すというのが今までのやり方だった。そんな殺人ウサギが3匹も同時にヒロの眼下に現れた。

普通のウサギなら巣穴に隠れるところだろうが、こちらのウサギたちはこの辺りの王者、決して隠れることなく上空のヒロを警戒している。


「生意気なウサギさんたちだ。今から狩ってやる」


言うが早いかヒロは矢を番えながら急降下した。

距離を少し詰めると一番大きな1匹に狙いを定めて、矢を放つ。ダイアウルフをたやすく倒してきた矢がウサギに迫る。

カン、と甲高い音を立てるとジャッカロープのツノに矢は簡単に弾かれてしまう。


「さすがウサギさん様。野良犬とは違うか」


ヒロは口の端を上げてニヤリとすると、3層の魔法陣を1つ展開した。今まで使っていた第2位階よりも1つ上位の新しく覚えた身体強化魔法だ。

遠距離攻撃が通用しないので、より近距離で攻撃することにした。左手の弓を魔法でしまいこむ。弓が光の粒子にバラけると消え去った。

ヒロはすぐに反対の手を掲げると、その中に光が集まってくる。集まったかと思うとすぅっと刀の形を成した。刀身は1メートル以上あり、少し厚みのある造りをしている。この間までは綺麗な銀色をしていたが、ブルードレスに黒っぽくされてしまった。

彼女に見せろと言われて半ば強引に引ったくられ、強化の仕方が甘いとかなんとか言われて勝手に魔力を突っ込まれた挙句、黒ずんでしまった。彼女は闇色に近づいたとか言って喜んでいたが、真っ黒というわけでもない中途半場な黒ずみ方にヒロは少なからずショックを受けた。久しぶりに実物を見て、あらためて大事な武器を安易に他人に渡した事を反省した。


ジャッカロープを単に脅すつもりで、ヒロは再び不用意に急降下した。先ほどよりも地面近くまで降下すると死角から一番小型の1匹が飛びかかってきた。

矢をあっさりと跳ね返した、あのツノが眼前に迫る。

ヒロは回避しながら慌てて左腕で防御した。今までなら反応すらできなかっただろう速度の攻撃だったが、ツノが左腕を掠る程度で済んだ。新作の身体強化魔法をかけていなければ、避けられなかったどころか腕の一本も持っていかれていたことだろう。

ヒロはヒヤリとしたものの、もう一度魔獣達の配置を確かめると今度は慎重に距離を詰めた。ターゲットのウサギ以外に炎の魔法を打ち込み牽制してから、大きなウサギに迫った。

わざと正面から接近すると、ウサギは堂々と走ってこちらに向かってくる。


「氷柱!!」


ヒロは距離が十分に詰まる前に第4位階の氷の魔法を使った。氷の柱が7、8メートル先のウサギを突き刺した。

氷柱はここ数年、第3位階の必殺魔法としてヒロが使ってきたものだった。威力は大きいのだが、ごく至近距離でしか発現しなかったため使い勝手が悪かった。それを魔法陣を一つ加え第4位階にすることで中距離でも行使できるように改良したのだった。


「風刃!!」


1匹目を仕留めると続けざまに次の魔法を発動した。

かなり離れた場所にいる1匹に向かって魔法を放つ。バスっという音とともにジャッカロープの後ろ足が途中で切断される。比較的遠くまで放てる魔法で便利だったのだが、第3位階の魔法のままでは威力が低い為に今までなら傷1つ付けられなかったはずだ。


最後の1匹が右側から襲いかかってくるのを目の端で確認すると思い切り刀を振るった。ジャッカロープのツノと打ち合うつもりだったが、ツノごと一刀両断していた。


「なんだこの切れ味。怖っ」


自分でも驚いたが、すぐに風刃で動きを止めたジャッカロープの元まで行くとツノを切り落として、縛り上げた。



ジャッカロープはダイアウルフとは比べ物にならないくらいに危険な魔獣の筈だった。それを、今日は1人で3匹も同時に相手にすることができることにヒロは自分でも驚き、高揚していた。新しい魔法を試したい気持ちが逸り過ぎて少し危険な目にもあったが、結果は上々だろう。

仕留めた2匹はその場で血抜きし、皮を剥いだ。生きているのは後日の生態研究の為に足を治癒魔法でくっつけてやってから気絶させた。

次の日も、その次の日も害獣駆除を続け、ダイアウルフを多数、ダイアウルフの亜種で白い個体を3頭仕留め、ジャッカロープを新たに2匹、うち1匹は生きたまま捕獲した。

心行くまで魔法を試した後で、ようやくヒロはアルディオンに帰ることにした。




昼過ぎにヒロはアルディオンの領空に到達した。秋の終わりの中央アジアの空は雲ひとつなく晴れ渡っていたが、あと何週間かで凍てつく冬が来るのを知らせるように風は冷たかった。

ワイバーンに乗って領空ギリギリの辺りで出迎えてくれたキムとディエゴは、近付くと引き攣った笑顔で挨拶をしてきた。


「なんだよ、その顔は」

「いや、どこの蛮族かと思って……」

「お土産だよ、お土産。ほら、ウサギさんも生きたまま捕まえたんだぜ」

「あ、うん。それは凄いわね」

「キム、感情が込もってない。おい、いい加減目を合わせろディエゴ」


狩りのトロフィーを大量にひっさげて帰ってきたヒロの姿は控え目に言って猟奇的だったので、その反応も仕方ない。


「冗談はさて置いて、アナタ1人でこんなにジャッカロープを退治したわけ?それってどういうことよ。さっさと荷物置いて報告してもらうわよ」

「正式な報告は文書作成してからでいいだろ?とりあえず飯でも食いながら、3人で座って話そうぜ、なぁディエゴ」

「うん、そうだね。資材部にその獲物たちだけ預けて、食堂行こうか。もうピークも過ぎてるからそんな混雑してないだろうし」


ワイバーンを繋いで、資材部に行くとフランコとエレオノーラのスピネージ親娘が大喜びで狩りの獲物を引き取ってくれた。ついでに生きているジャッカロープをヒロが渡すと2人とも目を輝かせながら受け取った。好奇心旺盛な親子なので分解されないかとヒヤヒヤしたが、後で飼育棟に持っていってくれるそうだ。


食堂に着くと簡単に昼食を済ませながら、ヒロはキムとディエゴの2人に成り行きをあらかた話した。マレー半島が安定しているのはブルードレスに依るところが大きいということ。彼女に教えてもらった魔法のおかげでジャッカロープ退治が簡単にできるようになったこと。インド以東を復興させるには、もっと人的支援が必要なこと。そして、次の侵攻が数年の内にあるだろうこと。

最後の話題になると、それまで明るかった二人の表情がすぐに曇った。


「とにかくすぐに報告に行くわよ。今のままを口頭でいいから。ミラ様のスケジュールを今日1日押さえてるんだから」

「は?ミラさんを。バカじゃないの。そんな大事おおごとかよ」

「バカはあんたでしょ。十二分に大事でしょ。これが大事じゃなかったら何が大事なの。バカなの?」

「さっそくお小言かよ。……ってダジャレみたいになったけど、わざとじゃないからな」

「ディエゴ、ここ片付けてワイブ達を飼育等まで連れていったら、ミラ様の執務室まで来て。この人うるさいからさっさと連れてく」


ヒロはキムに左腕を引っ張られると半ば無理矢理に歩かされた。

食堂棟や飼育棟、その他研究施設などはスクールエリアに集まっている。食堂棟を出て、右手に数分歩くと古い教会がある。その前を通り過ぎ、スクールエリアから市街に繋がる門を出ると、正面左側に一般信者向けの新しく立派な教会が建っているのが見えた。ヒロはこの新しい教会が気に入らなかった。

教会通りを挟んだブロックは行政機関を集めた区画になっていて、その中の一番大きな建物、といっても5階建なのだが、にヒロは連れていかれた。

自動ドアが開くと警備員がこちらに向きを変えたが、キムが左手を上げるとすぐに元の方に向き直った。足早に中央エレベーターホールまで歩いて行くと、1台の扉が開いて中から6人組が出てきた。

キムはそれを見ると表情を引攣らせた。集団の先頭にいた、背の高い金髪碧眼の青年がヒロを見つけると声を掛けてきた。


「これはこれは、ミスターヒロシ。第一小隊の放蕩息子が久々のお帰りかい。長い休暇、存分に楽しんできたのかい?」

「おやおや、帰国早々ビーチャム家の御坊ちゃまから恐れ多くも直々にお声を掛けていただく栄誉に与れるとは、まったく思いも寄らなかったよ」

「栄誉だなんて、君と私は同じ小隊の同期じゃないか。要らぬ遠慮はよしてくれないか。そんなことより同期諸君は今や様々な役職に就いてそれぞれの責務を果たしているというのに、嗚呼なんたること、君だけは相も変わらず単独任務に精を出しているのかい?」

「いえいえ、さっき御坊ちゃまが仰ったとおり、俺ごときは長い休暇の最中でね。ちょっと寄らせてもらっただけでございますよ。単独任務だなんて。そんな責任のある仕事など、任せてもらえるはずもないではないですか」

「あぁそうだったのか。てっきり東南アジア奪還作戦の下調べに行っていたものだと思っていたけど、ただの散歩か。いつまでも部下も率いずフラフラしているだけだなんて、まったく同期として情けないよ」


知ってたくせに嫌味ったらしい野郎だ、ヒロは小声で呟いてから大きな声で続けた。


「はっ、いつまでも腰巾着どもに囲まれてお山の大将気取ってやがる、どこかのお貴族様よりはマシだと思う、ますけどな」


ヒロは自分よりかなり目線の高い相手と正面から睨み合う。

するとその後ろから、取り巻き達が口を出してきた。


「クリストファー様は立派なお方です。人望と実績有っての現在のお立場。それをあなたのような、はみ出し者が侮辱するなど許せません」

「そうだ、ラナーの言う通りだ。生意気な口をきけるのもクリストファー様がお前を同期として尊重してくださってのこと。ただの害獣駆除業者のくせに調子に乗るな」


やいのやいの好き放題言われていると、ヒロの言うお貴族様ことクリストファー・ビーチャムがそれを制して言う。


「ラナー、デニス。あまり下品な物言いをしてはいけない。そんなことを言っては最終的には自らを貶めることになってしまう。そして、何より職業に貴賎はないのだ。他人を非難するのに、職業をもってすることはきつく戒めるべきだ」

「はっ、申し訳ありませんでした。以後、慎みます」

「分かってくれると私も嬉しい」


三文芝居を横目にヒロがキムに呟く。


「こいつら、いつもこれだから嫌なんだよ。途中で話がずれて主従の暑苦しい語らいが始まるから……。そもそも俺は業者じゃないけどな。キム、さっさと連れてってくれよ」

「アナタ、さっきまでミラ様に会うの、嫌がってなかった?ほら、もう来るわよ。さっさと乗って」


ヒロ達がさっとエレベーターに乗り込みドアを閉めると外では相変わらず何か騒いでいた。2人はげんなりした表情でお互いに頷くと黙ったまま階数表示を見つめた。

エレベーターはすぐに5階に着き、エレベーターホールを抜けると2人は廊下に出た。廊下には扉が2つ並んでいて、キムが左側の扉をノックした。中から柔らかな女性の声がして、入室を促した。

広々とした部屋のかなり奥の方、大きな窓を後ろにして執務机があって、そこに女性が座っていた。その手前にソファーがあり、かなり図体の大きい男性が座っていた。

女性の知的な風貌と反対に男性は胸板が厚く角刈りでいかにも軍人という風態だった。

ヒロたちがソファーの方に進む間も女性はしばらく書類に目を通していたが、手早くサインをすると立ち上がってソファーの横でヒロを出迎えて言った。


「ヒロ、お帰りなさい。元気そうね。お母様のところには顔見せたの。いつもあなたのこと心配しているのよ」

「ミラさん、戻りました。帰ってすぐ、キムとディエゴと遅めの昼食を採っただけなので、まだ家には顔は出していません」

「あら、それは悪い事したわね。さっさと報告だけ聞いて今日は帰してあげないとね」


そう言うと男性の座っていない側のソファーに向かって手を差し出し、座るように促した。


「おい、キム。なんでミラさんだけじゃなくて、おっさんまでいるんだよ」

「仕方ないでしょ。上層部の1人なんだから、今日の案件的にもここにいて当然でしょ」


ヒロがキムに耳打ちする間も男性はずっとヒロから目を離さなかった。

全員座るとミラが口を開いた。


「本当ならゆっくりあなたの話を聞きたいのだけれど、時間がそうあるわけでもないから、いきなり聞くわね。東南アジア地域は奪還できそうなのかしら」

「それは不可能ですし、今はその必要もありません」


ヒロはあっさりと結論を述べてから、食堂でキム達に話したことをより詳細に話した。

話している途中で、男性の態度が明らかに変質したのが分かった。男性はしばらく我慢していたが、ヒロがブルードレスとの力の差を熱心に説明していると突然立ち上がって言った。


「貴様、先程から彼我の実力差は覆し難いと言い募っているが、それでも世界の守護者たるアルディオンの名誉あるガードの一員か!」


怒鳴られて、ヒロは相手に分かるようにはっきりと呆れた顔をしてみせてから、わざとらしくため息をもらした。


「貴様、なんだその態度は!神を愛し、神に愛されている我々に打ち破れない敵などいない。魔人ごときに感化されおって、まさか貴様も祖国を裏切る気ではあるまいな。ならば、私が今ここで貴様を正しく導いてやる、そこに跪け!」

「だから嫌なんだよ、この根性論だけのパワハラおっさんは。神の愛だけで勝てるなら、今からでも1人でオーストラリアに乗り込んでくればいいじゃねぇか。てめぇみてぇな脳筋のせいで、皆バラバラになったんだろうが!皆が皆、あんたみたいな訳の分かんねぇ身体の作りしてる訳じゃねぇんだよ、いい加減反省の一つもしたらどうなんだ」


話の途中でヒロは立ち上がり、相手に人差し指を突き立てるようにしながら話した。


「小僧、生意気なことを言うじゃないか。盾になる覚悟もない貴様のようなヤツが。1人で世界を救えるとでも言うのか。おこがましいにも程があるわ」

「2人とも落ち着きなさい。バルナバス、言いたいことがあるならヒロの報告を最後まで聞いてからになさい。ヒロもよ、バルナバスは親衛隊長なんだから敬意をもって接しなさい」


ミラがそう言うと、不承不承ながらも2人ともソファーに腰掛けた。


「報告は続けてもいいんですか?」


挑戦的にヒロが言うと、ミラは静かに頷き、バルナバスはソファーに深く腰掛け横を向く。隣に座るキムは全く口を開かず死んだ目をしながら正面を見据えている。不自然な無表情は笑いを堪える時の彼女のやり方だ。


「とにかく、さっきも言ったように魔人……もうこの言い方もやめませんか?エルフたちと我々では、魔法に関わってきた歴史の長さが違い過ぎます。技術力の差は圧倒的で到底太刀打ちできません。いくつか見てもらいたいものがあるんですが、手始めにこれを」


そう言うとヒロはバッグから水色の液体の入った瓶を1つ出してテーブルの上に置いた。ミラはそれを取ると顔に近付けてじっくり検分しながら言った。


「随分と色の濃い……ポーションよね?」

「はい、そうです。色の濃さからも分かるように、効果は非常に高いです。我々の製法と何が違うのか分析をお願いします」


ポーションを見せた効果は劇的だった。頑なだったバルナバスも表面上は仕方ないから見てやるという態度を崩してはいなかったが、関心を持っているのは明らかだった。

ヒロは続けざまに魔法陣、ブルードレスの手が入りグレーに染まった愛刀を披露した。そして、ブルードレスのただのワンピースにしか見えない布の服、彼女が自称するところの聖衣がいかに魔法耐性が高いかについても話した。

ヒロがそこまで話すとキムが初めて口を開いた。


「ヒロが持ち帰った薬や魔法、装備品などから簡単に想像できるように彼我の魔法技術の差は歴然としています。今は徒らに外征をしている状況ではないと私も考えます。我々は神からの啓示を待つだけでなく、主体的に研究を進めなければならないと私は考えます。ブルードレスと言われているマレー半島の魔人がした話が本当ならば、まだ2年は猶予があるということです。2年で追いつける差だとは到底思えませんが、今までのやり方を続けるよりはマシな筈です。ミラ様が難しいのであれば、私に先進的な魔法技術研究の指揮を採らせていただけないでしょうか」


キムは捲し立てるように一息で言い切った。彼女は彼女で現状に対して危機感を抱き、アルディオン国内に居続けながらも改善策をずっと考えていたのだろう。

ヒロが少し驚いて彼女の方を見ると、キムは大きな瞳を輝かせながらヒロに微笑んだ。ヒロは慌てて目を逸らしたが、丁度ミラが声を発したタイミングだったので、その動作は自然に見えた。


「分かりました。あなた達、若手にはもっと責任ある仕事を任せるべきではないかと最近になって教主様もよく仰っているところでした。キムには、魔法技術研究の指揮を採ってもらいます、各部門との連携も必要になってくる筈なので組織編成からお任せします。編成案ができたら、私のところに持ってくるように」

「ありがとうございます」

「で、ヒロはどうするのですか?」

「あ、いや、俺は、その」

「ふふ、心配しないでも大丈夫ですよ。キムから話は聞いています。あなた、また外に行きたいのですってね。これだけの話を持って帰ってきてくれたんだもの、ちゃんと約束は果たすわ」


ヒロが安心して肩を落とすと、ミラとキムはいたずらっ子のように笑い合った。バルナバスはふんと鼻を鳴らすと、またそっぽを向いた。

ノックの音がすると、ディエゴが顔を出した。


「遅いよ、ディエゴ。話なら今終わったところだよ」


ヒロは呟いた。

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