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せかいでいちばん  作者: 朝霧 成平
5/5

Episode 4

何処までも澄んで波音に負けないぐらいに響き渡るその声に

釘付けになり、体が硬直してしまう程に聞き見とれていた。

その人影が私の方を向いてるとは思わず、

ただその声に見とれていた……。


視線が合うと、パッと慌てて逸らすが

こっちを見てる視線が背中を痛く刺すのがヒシヒシと伝わり、

どうしていいか頭の中で混乱してその場を動けず

視線を打ち寄せる優しい波を見ることしか出来ず

どのぐらい時間が経っただろうか、水に浸っていた時間が長かった為

足は冷えてきて寒さの限界で水から上がり、そっと人影の居た方をチラっと見ると

そこには誰も居なく

顔を上げて2度見をしたが人影は無かった。


でも、この耳にはその声は残っていて

瞳の奥にはぼやけた感じだが人影の残像は残っていて

その人が居た方を暫く見て居たが再度現れることは無く

虚しく濡れた靴下を両手で絞りながら乾くまで、その場に座り込み

地平線に消えてゆく夕日を眺めながら

波音を聞いていると

無自覚にさっきの歌声を鼻歌で歌っていた。



「え…………」


口元を手で抑えると目を見開き、少し肩を震わせた。

あの人が歌っていたメロディーは、昔聞いたあの音のフレーズだったことに気づくと

嬉しさと驚きが込み上げ

身震いをした。


"なんで……あの曲を"


考えれば考える程、頭の中は混乱し

あの時の聞いたコンサートホールの日が脳裏で再現され

耳に残る音はハッキリと聞こえ、波音を消す程だった。



夕日が沈む瞬間に一瞬だけ終わりを告げるように光を放つこの時が好き。

それを見終わると、急いで家路へと向かい

早くあの音をピアノで奏でたくて

心が少しだけ浮き足立つようになる感覚が

ムズ痒い感じが不思議な気持ちを抱きつつ

いた。


街灯が付き始めた道路を急ぎ足で歩むと共に

顔が少しニヤける……



だけど、あの人は誰なのだろうかと疑問を抱きつついたのも確か。



Next to be continued …



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