表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/45

とある令嬢の誕生日 2

今日はなんとか更新できました


ブクマ・評価ありがとうございます

ポイントが、減ったり増えたり忙しい(笑)

 城で行われた誕生日はそれはそれは盛大なものでした、まる。


 まるじゃないがな、なんだろうこの茶番。

 用意されたお席は国王さまと王妃さまの間に並べられたお席はいかにも次期国王とその婚約者でごさい、と主張している。

 私はそこに王子と並んで座っているわけで。


 何これ迷惑! 

 まるで私がこの席の並びにして欲しいと我が儘言ったみたいじゃない!?


 悪役令嬢としては正しいあり方なんだけど、中途半端な悪【役】は嫌なわけで。

 いっそ、偉そうにふんぞり返ってみる?

 無理だ。根拠も自信もないのに偉そうにするなんて絶対無理‼️


 早くお家に帰りたい!


 私が死んだ魚の目をしているとひじ掛けに置かれた手に暖かい感触。

 やがてぎゅっと手を握られて、横を見れば気遣うような視線の王子。

 小さく「大丈夫か? 少し疲れたか?」と声を掛けられる。


 馬鹿だバカだと思っていたけどいつの間に気遣いの出来る子に育ってくれてお母さん嬉しい!


 ・・・・・・生んでないけど。義理の母でもないけど。

 ここ数年で気遣いの出来る優しい王子となったアルフォンスさま。

 10年という長い月日で成長の過程を見てきた私が母親の気持ちになってもおかしくはないだろう。

 いや、本当に感慨深いわ。

 最近ではお城に仕える使用人たちに「王子を更正させてくださってありがとうございます」とか、「王子を見捨てないでください」とか拝まれるまでがデフォルトになっている。

 

 けれど、使用人たちには悪いがヒロインに出会ったあとは坂道を転げ落ちるが如くにバカ王子へと逆戻りになるかもしれない。


 ヒロインが王子を、正しい道へと導いてくれることを祈るばかりだ。


 そうすれば将来私もさっさと身を引いて国家転覆を図らなくてすむ。


「アウラ」


 王子に再度声を掛けられ私は思考の沼から浮かび上がる。


「気分が悪いなら、少し休むか?」

「いえ、大丈夫です。あまりにたくさんの人に祝って頂いたので、胸がいっぱいになってしまって」


 ふわりと可憐に見えるように微笑み答える。

 私の手を握る王子の手に力が入る。


「アウラが優しいのはわかるが、私以外にその笑顔を見せては駄目だ」


 そう言ってなんとも微妙な表情を見せた。


 わたしの改心の笑顔はそんなに変でしたかね?

 それに先程から、キャーキャーとギャラリーが大変賑やかなんですが、これは一体。


 所々、「物語みたい」とか「ご寵愛が・・・・・・」とか聞こえるんですが。何だろう。


 すっかり困ってしまった私は周囲に目を走らせる。

 するとギャラリーの中にヒイロとレオルの姿を見つけ破顔した。


「ヒイロ、レオル来てくださったんですね‼️」


 私は周囲の好奇の視線に耐えきれず、思わず声をあげてしまった。


 途端に静まり返る会場。


 やってしまった感半端ない。

 だって仕方なかった。転生したところで人見知りが治る訳でもなく、ヒソヒソこそこそ大勢にやられて弱ってる所に見知った顔を見つければ安心してしまうでしょ!?


 更に増す好奇の視線。泣きたい。


 だけど流石は好い人良い人ヒイロさま&神経が極太ワイヤーなレオルだった。


 周囲の好奇の視線を物ともせずこちらにやってきてくれた。

 やっぱり持つべきものは気の置けない友人だ、と思った瞬間彼らはやってくれました。


 「誕生日おめでとう」の声とともにヒイロから差し出されたのは深紅の薔薇の花束。レオルからは見事なダイヤの指輪でした。

 

 深紅の薔薇にダイヤの指輪って意味深。

 絶対に婚約のいる女性に贈るもんじゃないよね。

  

 隣を見れば完全に表情を消した王子さま。


 無表情な王子が怖い。助けてセバスチャン!

 だけどやつは暢気な事にこっちに衆人環視の目が向いてる事を逆手に取って、ローストビーフやらクレームブリュレやらをうまうましていた。


 ・・・・・・私も食べたい。


 此方に気がつきサムズアップを決めている。主が、あるじが困っているのにあの駄犬‼️


 私が時間があったら食べようと楽しみにしていた宝石箱のような桃のタルトを一口で食べやがっておりますし。

 許さぬ!

 

 そんな私の心の葛藤を知らない三人は、一見和やかにけれどとってもぎすぎすとした空気で会話をしている。

 流石、お貴族さま。腹芸は得意なのですね。

 

 ついでのように王子に差し出されたプレゼントはアクイレギアの花束と精緻な刺繍と宝石で飾られた白い手袋。

 

 何やら不穏な気配を感じ取ったのは私だけでなく王子も一緒だったようで。


「お前たちの気持ちは分かった。だけど俺も譲る気はないからな」


 そう言って私の肩を抱き寄せた。


 たちまち上がるお嬢様方の黄色い悲鳴。所々、野郎どもの茶色の悲鳴も上がっている。


「四角関係よ!」、「恋物語よ」、「レオルの兄貴頑張ってください‼️」などなど。


 置いてきぼりなのは私のみ。

 セバスチャン連れて早くお家に帰りたい。


 沈みゆく私の心とは裏腹に、パーティーに参加する人々の心は最高潮へと達して行った。


 

 


 


 


アクイレギアは本当にある花です

(ものによってはアクレイギアとも表記されてます)

これを渡したヒイロがすごい。

レオルはストレートに白い手袋。

意味はお察しですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ