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私は悪役令嬢ではなく悪の令嬢になりたい!~私の推しは家族です!?~  作者: 苑央 秋
第二部 【緋(あか)の貴公子 蒼(あお)の騎士】
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緋(あか)の貴公子 蒼(あお)の騎士 2

いつも読んでくださる皆様ありがとうございます


ブクマ本当に嬉しいです

評価してくださるともっと嬉しいです

お時間ある時で構わないので、ちょっとでも面白いと思って下さったらぽちっとお願いします(・ω・`人)

「何故、王子さまが我が家にいらっしゃるのでしょうか?」



 

 午前のお勉強の時間を終え、さぁ昼食だ!と食堂には我が物顔でテーブルに着く王子の姿。


 残念なことに両親、兄弟たちは揃って外出中。


 ご挨拶もそこそこに先刻の質問を投げ掛けても可笑しくないはずだ。


「婚約者の家に来て何が悪い?」

「王子は私を大嫌いだとおっしゃって婚約を破棄したいとお望みではなかったのでしょうか」


 王子を見据えながら私がそう言えば、王子はグッと言葉に詰り私から目線を外す。


 ・・・・・・勝った。そして王子はヘタレか。


「あれはっ! お前がいけないんだ。王子と姫が結婚出来ないないなんて言うから!!」


 私は溜め息をつく。

 当たり前だろう王子と姫は兄妹なのだから結婚出来るハズがない。他国ではどうか知らないがこの国・・・・・・乙女ゲームでのこの国の法律では出来ない事になっていた。


 ・・・・・・そして王子にそれを告げたのは私ではなくセバスチャンだった。


 溜め息をつく私に言い訳するように・・・・・・

いや、紛れもなく言い訳なのだか王子は言葉を繋げる。


「婚約破棄と言ったのはすぐにお前と結婚出来ると思ったからであって・・・・・・だからその、別にアウラが嫌いな訳じゃない」


 下を向きポツポツと呟く王子。


 これをバカ愛いと見るか、ツンデレありがとうございます、となるかは個人の資質によるだろう。


 そして私はこういうのを面倒臭いわ! と言うタイプだった。


 黙りこくってしまった私の機嫌を伺うようにおずおずと王子は口を開く。


「それと花は届いているか?」


 モジモジしながらもテーブルクロスねじねじするのやめて! シワになるから!!


「それと花は届いているか?」

「お花は届いていました。ありがとうございます」

「そうか? どこに飾っているんだ、見当たらないようだが?」

「王子の目の前に」


 私はテーブルを、正確にはテーブルの上に並べられた料理の数々を指差す。


「料理しかないが」


「ですからそれが頂いたお花です。結構な量だったのでどうしようかと思っていたら、セバスチャンがこの花は食用だと言うので」


 朝早くに王子名義で届けられた花。


 透き通った花弁は薄いピンク色をしていて形は桜ににている。

 桜と違うところは木ではなく草というところと仄かに甘い香りがする。


「綺麗だけどこんなに沢山なんて飾る場所ないわね」

「でしたら料理長に渡しましょう。これ食べれますし」


 セバスチャンに言われるまま、料理長に渡したらものすごく喜ばれた。


 何でもこの花はチェリアという名前らしい。

 どういう構造なのか密が葉脈の中を流れているようで花全体が甘い。

 その美しさと甘い香りから貴族たちには観賞用、もしくは香水として高値で流通しているとの事だった。


 けれど王都から遠く離れた山村では普段から甘味料として使われている。


 とても上品で爽やかな甘味は超一流の洋菓子店では隠し味として使われている事もあるとの事だった。


 これがあれば料理のアレンジの幅が広がると言われた私は喜んでチェリアを料理長に進呈した。


「ちなみに王子がおかわりされていた紅茶に付いているジャム、小鹿のワインにかかっているソース等、テーブルに載っているほぼ全ての物に頂いたお花が使われております」


「なっ!?」

「ご満足頂けたようでなによりです」

 驚愕のあまり言葉を失う王子に私はにこりと笑う。


「僕からの贈り物かそんなに気に入らなかったのか?」


 吐き捨てるはように呟く王子の手を取り、顔を上げさせる。


「そんなことはありません。とても素敵な贈り物でした」

「そうかっ!」


 喜色満面の笑みを浮かべる王子。

 機嫌が直ったようでなによりです。




「えぇ、本当に喜んでおりましたよ。料理長が」




と、続けるセバスチャン。


 その後、王子が泣きながら帰っていったのは言うまでもない。


「だから、何で余計なことを言うのよ」

「だってお嬢さまにあのガキが花を贈るなんて100万年早いと思ったので」


 ふい、と顔を背けるセバスチャン。

 一体何歳なんだ、あんたは。



 





 呆れ顔のお嬢さまの横顔をちらりと盗み見つつ、セバスチャンは小声で呟いた。


「だって悔しいじゃないですか、あのガキから贈られた花をお嬢さまが押し花にして仕舞っていたなんて素直に言うの」


 そう、呆れつつもアウローラは大事そうに一番お気に入りの本の間にチェリアの花を仕舞っていた。

それは本当に嬉しそうな表情だったのだ。

 だからセバスチャンは嫉妬して言うべきでないことを言ったのだ。


「お嬢さまを喜ばせるのは私一人で充分だ」

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