金の王子と銀の姫 10
更新時間が遅くなってしまいました
書き貯めしていないのでこんなことに!!
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キラキラした謁見室は昨日と変わらず、変わっているところがあるとするなら陛下と王妃さま、そしてアルフォンス王子の三人が揃っているところだろう。
セバスチャンは執事なので謁見室脇の控え室で待機している。
「クラウス・ミッドフォード、その妻アフロディーテ、娘のアウローラお招きに預かり参上致しました」
父の口上に合わせ、私は淑女の礼をとる。
許しが出るまで頭は上げない、そう教わっている事もあるし何より
・・・・・・視線が痛い!!
なんかもうアルフォンス王子の居る辺りからビシバシと視線を感じるのだ。
ちらちらなんて可愛いものじゃあない、ジロジロまじまじ、じっくりと、
そんな視線を感じて気分良く顔を上げて見返すことができる人間がいたら余程のナルシストか勇者だろう。
もういっそ、このまま顔を上げずに帰りたい。
そんな気分になった頃、「面を上げよ」の声がかかってしまった。
重い気分で顔を上げれば目の前にアルフォンス王子の顔。
「・・・・・・っっ!?」
なにこの人何でこんなに近くに居るの?
というか、気配を感じなかった!?
いや、気配を感じなかったのではなく父母が傍に居ることで油断していたのだろう、
なんという不覚!!
動揺を圧し殺し、私は心底申し訳ないという様子で王子に謝罪の意を告げる。
「昨日は本当にすみませんでした」
「昨日? 何かあったか?」
何も覚えていないだと!?
昨日の衝撃で記憶が飛んだか、あえて覚えていないフリをしているのか・・・・・・
前者ならおバカでラッキー、後者なら気遣いの出来る大物だと認識を改めなければならない。
・・・・・・でも、覚えていないフリをされるのも針のムシロなんですが!!
私がなんとも言えない微妙な顔をしていると、そこに王妃さまが近づいてそっと耳に唇を寄せた。
「・・・・・・本当に何も覚えていないのよ。良かったと言うべきか、残念だったというべきか」
それどういう意味ですか!? 王妃さま!
そして私は王子がおバカでラッキーでした!!
「母上、何故僕の婚約者と仲良さそうに話しているんですか?」
「あら、未来の娘と仲良くしてはいけない?」
不服そうに口を尖らせた王子に、王妃さまはにこりと笑う。
「お待ちください! 王子さまとの婚約は決定してはいなかったハズですが!?」
私が焦ってそう言えば王子は不機嫌そうに眉根を寄せた。
「なんだ、僕との婚約が不満なのか?」
「ほら、こんな風に王子も貴女を一目見て気に入ってしまったようだし、会う前は婚約なんてしないって騒いでいたのにねぇ?」
「母上っっ!?」
焦る王子を手で制止し、
チラと私・・・・・・と、両端に立つ父母に視線をむけた。
「当初の話では王子の意見も聞いてからという話だったしね。アルフォンスもアウローラを気に入っているのだからこの話は成立でしょう?」
これは異議を唱えようとした父母への牽制。
そして、
「傷物にしてしまった責任もあるし、拒否は出来ないわよ」
これはあからさまな私への脅迫だ。
・・・・・・やっぱりこの人怖い!
「そういうわけだからよろしくね、アウラちゃん」
私は呆然、物凄い笑顔の王妃さま、父母はがっくりと項垂れている。
王子ははじめの内は良くわからない顔をしていたが段々と
「お前は今から僕の婚約者なんだな!」
と、ご満悦。
ハイハイ、良かったてすね。私は全く楽しくなんかないけども!
・・・・・・陛下? 先程から置物と化していますが何か?
「婚約者~、婚約者~」
と、ご機嫌な王子は私の両手を握って離さない。
やがてそれにも飽きたのか、「城を案内してやる」などと張り切りはじめた。
疲れきっていた私が「今日はもう両親と帰ります」と口にしようとしたところ、
「お父さまとお母さまは陛下や、王妃さまとお話があるから案内して貰いなさい」
母によって阻まれた。
「話が終わったら迎えに行くから。あぁ、セバスチャンは連れていきなさい」
そう付け加えたのは父。
会話の影に隠された意味を読み解けば、
『話が長引きそうだ。それと城の中は安全ではないので充分気を付けるように』
ということだろう。
「わかりました」
大人の長い話に付き合うよりはバカ、
・・・・・・じゃない王子の相手をした方がましだろう。
セバスチャンもいることだし退屈はしないだろうしね。
「お嬢さま」
謁見室を出るなりセバスチャンに声をかけられる。
王子は私の前に立ち、
「誰だ、お前」
と、ぶっきらぼうに言い放つ。
私を庇っているというよりは大事なオモチャを取られないようにしているように見えるのは気のせいだろうか。
セバスチャンもそれをかんじとったのかかなり機嫌が悪そうだった。
私は王子の服の袖を引きく。
「さっきお父さまが言っていたセバスチャンです。私の執事のセバスチャンです!」
「なんだ、執事か」
「・・・・・・私の執事」
私の一言で何故か二人は機嫌が治ったらしい。
そんなわけで二人は簡単な挨拶を済ませる。
挨拶の際、王子が「アウラの婚約者だ」と宣言した辺りでセバスチャンから物凄い殺気を感じたが直ぐに治まった。
「まぁ、一時の事ですしね」と聞こえてきたのは空耳だろう。
王子の案内で城内を探検することになった私たちは王子の一番のお気に入りだという王室図書館へと向かうことになった。
「・・・・・・バカだと思ってたのにお気に入りの場所が図書館て意外」
思わずぼそりと呟けば、
なんだ? と振り返られた。
「どうして、図書館なのかと思いまして」
「別に図書館が好きだという訳じゃない。あそこには僕のお気に入りの本があるんだ」
「お気に入りの本ならお部屋に置いておけば良いのでは?」
セバスチャンがそう聞くと王子は心なししょんぼりとしながら答えた。
「そうなんだがあの本は絶対に外に持ち出してはいけないと言われているからな。以前持ち出そうとして酷く怒られた」
興味を引かれた私は本のタイトルを王子に尋ねる。
「本の題名か?
【きんのおうじ と ぎんのひめ】
と言うんだ!!」