金の王子と銀の姫 9
じわじわとブクマして頂いているようでありがとうございます!
五体投地の会場はこちらでよろしいでしょうか?
評価等ありがとうございます
ヽ(´∀`≡´∀`)ノ
気が向いたらぽちっと評価お願いします
※誤字及び文章修正致しました
アウローラの朝は早い。
毎日の日課として早朝トレーニングを行っているからだ。
ジョギングやストレッチなどと生易しいものではない。
戦闘訓練。
それが父と母によって課せられたアウラの日課だった。
指導するのは何故かセバスチャン。
どうして執事が戦闘に長けているのかは、謎だがこれがまた恐ろしく強い。
真正面からまともに向かっていけばまず間違いなく転がされる。
大体にして5才の女児と成人男性では端から話にならないのだ。
そんな圧倒的にハンデのある状態での戦闘訓練に意味があるのかと問われれば、意味はある。
ハンデがあるならそれをものともしない状況、状態、そして手段を取ればいい。
・・・・・・つまり、不意打ち・闇討ち・急所を狙うである。
貴族の子女の戦い方ではない気がする。
不意打ち・闇討ち・急所攻撃が特技の5才女児。
そんなの令嬢じゃない、当事者でなければ間違いなく私は言うだろう。
「ねぇ、それなんて暗殺者?」
と。
そもそも貴族の令嬢は戦闘訓練なんかしないのではないだろうか?
そんな疑問もないではないが両親の言うことは【絶対】なので3才の頃から素直に従い現在に至る。
「戦闘訓練なんかしなければあの時、こんな面倒なことにならなかったのかなぁ」
「おや、私との訓練はお嫌ですか?」
ひょいと抱き上げられ、間近に見えるセバスチャンの顔。
・・・・・・近い、顔が近い。
体を引き離そうとすれば、グッと引き寄せられユサユサと揺られる。
こ、怖い~!
思わずセバスチャンの首にしがみつけば、どことなく機嫌が良くなった気がする。
「で、何がご不満なんですか」
見掛けによらず柔らかなセバスチャンの髪をなでなでしていれば、そう聞かれる。
「まだ続いてたんだその会話」
「私にとっては重要ですよ。私にとっても貴重なお嬢様との時間なので・・・・・・いつもここで邪魔さえ入らなければ」
忌々しげなな口調に視線を追えば、兄弟とレオルの3人組。
「仲良いわね。お兄さまたち」
「まぁ、ある意味では仲がいいんでしょうか?しかし、あれを仲がいいと言えるならお嬢さまは大物です」
「まったくお嬢さまが私と一緒の時ばかり結託しやがって、あのクソ餓鬼ども」
「何か言ったかしら?セバスチャン」
「いえ、何も申しておりませんよ。それより早くお屋敷に戻りましょう、本日は奥さま達と登城されるご予定でしたよね」
「でもかなり時間が早いんじゃ・・・・・・」
「女性の身支度には時間が掛かるものです。早いに越したことはありません。しっかり掴まっていてくださいね」
「待って、掴まるってなんで・・・・・・っぎゃー!」
淑女にあるまじき悲鳴だが、こればっかりは許してほしい。
何故なら言うが早いがセバスチャンは私を抱え全力疾走しやがったのだ。
しかも、生垣を飛び越えたりと飛んだり跳ねたり忙しい。
言われなくてもこれではしっかり掴まっていないと振り落とされてしまうので、セバスチャンの頭に体をぎゅうっと押し付け肩口の服を掴む。
・・・・・・この間セバスチャンのクスクスという笑い声が聞こえてきた。
楽しそうで何よりです。私はまったく楽しくなんかないけどね!
屋敷に着くなり朝食を済ませ身支度をする。
貴族の令嬢の身支度は戦装束に近い。
私は前世での記憶がなまじあるため、
・・・・・・別にこんなに張り切らなくても良いじゃない、ジャージで良いじゃない。
と、思ってしまう。
女子力がなくて申し訳ないが私は面倒臭がりなのだ。
けれども転生した以上そういうわけにもいかず、侍女たちの素晴らしい手腕によって完璧な公爵令嬢へと外見だけは変身したのだった。
「どこから見ても立派な公爵令嬢だわ」
「お嬢さまは元々公爵令嬢でしたが」
「そういう意味ではなくてね・・・・・・まぁ、いいわ」
薄水色のドレスに薔薇を形どったリボンが咲き誇っている。
色合いのためか派手になり過ぎず清楚で可愛らしい。
心もちテンションの上がった私は鏡の前で私はくるりと一回転する。
いくらずぼらな私でも綺麗な格好をすればそれなりに楽しい、それになりより5才児なのだこれくらい許されるだろう。
「アウローラ、支度は出来たかな」
控えめなノックとともに父と母が入って来る。
「あぁ、良いね。可愛らしい、さすが私の自慢の娘だ」
「最近人気の職人のいる店だと聞いて新しく作らせた甲斐がありましたね。良く似合っていますよ」
父と母にお褒めのお言葉を頂き気分は最高だ。
そして何より父と母の艶姿といったらもう・・・・・・!!
鼻血ものです。ありがとうございます!!
父は青みがかったダークグレーの生地に銀糸で精緻な刺繍がされた礼服をまとっている。
髪は片側だけまとめるように流していて大変色っぽい。
母は金の髪をエメラルドとダイヤモンドで花を模した髪飾りでまとめ上げている。
ドレスは翠緑の生地に小さなダイヤモンドで所々飾られた一品だ。
その姿はまるで春の女神の様。
母の身の内に宿る魔力とは相反する装いだけれどそこはご愛嬌だろう。
それに父からすれば母は何時もどんなときでも春の女神に見えるのだろう。
私が身支度をしている際、兄達も行くと騒いでいたのだが昨日の騒ぎの罰として今日一日使用人たちの手伝いをするよう仰せつかっていた。
かなり不満そうではあったのだがサボれば一週間夕食抜きと言われ、渋々了承していた。
レオルは朝食後、迎えに来た家族に引きずられるようにして帰って行った。
そんなわけで王城へは私、父、母、そして何故かセバスチャンの四人で登城することとなった。




