黒猫と女騎士様
黒猫さんが狙われます
3
月明かりが照らす町を一人の男が赤ら顔で気分よく歩いている
「ひっく、金なんて酒が気分よく飲める程度あれば十分じゃねえか」
そんな男の前に顔なじみの黒猫現れる先程までのもやもやはとたんに失せ
男は顔を緩ませ黒猫を優しく撫でる黒猫ものどを鳴らして喜ぶ
しばらく男は黒猫を撫でると
「黒猫よお前さんしばらく身を隠せ王都から来たいけ好かない女騎士様がお前を捕らえろって俺たちに命じ
たんだこの国に災いをもたらす元凶がお前さんだって神託が降りたそうだ」
びっくりして抗議するように鳴き出す黒猫
「判っているよお前さんはそんな猫じゃないってね俺もこの町の連中だってそうだ、だから身を隠せいいな」
男が離れると黒猫は女神に尋ねる
「女神様ひどくないですか僕だって一生懸命やってるのに災いの種だなんて」
慌てる女神
「ちょ待って頂戴私そんな神託おろしてないわよ」
必死に信じてもらおうとする
「そうなるとおかしくないですかその女騎士さんもしかして」
黒猫の指摘にはっとする女神
「在り得るわね彼女のそばに潜んでいるかもしれないわね」
黒猫は立ち上がると
「確かめてみますもしあいつらが居たらとっちめてやります」
そう言って闘志を燃やす
「気を付けてね彼女じゃなくて上の人間が操られている可能性もあるんだから」
黒猫は遊びに行ったことがある屯所を訪ねる
そして一番奥にある隊長の部屋で問題の女騎士を見つけるとその鼻にあの不快な臭いを感じる
「やっぱり臭うでもどこだ見た所変なものは見当たらないのだけど」
しばらく見張っていると女騎士が椅子に腰掛けたまま眠りにつく
すると女騎士の影から黒い人影のような物が立ち上がり女騎士の耳元でささやく
「黒猫は災いの種必ず捕まえて殺すべしわが神託を忘れること無かれ」
その身を動かし苦しむ女騎士
「見つけたぞこの野郎」
黒猫はそう叫ぶと
次の瞬間には黒い人影に襲い掛かりその光を帯びる爪で掻き毟る
「ぎゃーーーー」
ものすごい叫び声をあげると見る間に小さくなっていき
黒い小さなねずみになって逃れようとするが
「間抜けな奴だな猫がネズミを逃すもんか」
そう言うとあっという間に捕まえるとぱくりと食べてしまう
黒猫のおなかの中で悲鳴をあげたあと消えてしまったのだった
「にゃおーーーん」
黒猫は勝どきを上げるように鳴いた
「あれ私ここで何を赴任してから何をしてたのか思い出せないんだけど」
頭を抱えて悩んでいる女騎士を黒猫は慰めるように頬を舐め自らの頭を摺り寄せるのだった
黒猫が神殿に顔を出します