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虚構転生//  作者: ゼップ
虚構都市“東京”
191/243

190_そして君の物語


……そうして、第一聖女との闘いは終わりを告げた。


聖女戦線と“東京”

“現実”と“虚構”


二つの舞台、二つのレイヤーをかけた闘いは、すべて終わったといえる。

百年もの長い間続いてしまった戦争も、ニケアを欠いたことでじきに終わっていくだろう。


このあと残された聖女軍がどうなるのかはわからない。

闘いがすぐに終わるとは思えないし、きっとまだ血が流れる。


だが──きっとそれも必ず終わりがある。


他でもない聖女ニケアが、光の庭で最後にその身を捧げたとき、言ったのだ。



 ……結局、あの闘いが続いてしまったのは、私がいたせいだよ。

 私が仲間を求め、敵を求め、世界を救うことを求めた。

 勇者の物語を──求め続けた。


 その結果、みなに“希望”という夢を見せてしまったのかもしれない。

 ずっと闘っていけば、いずれ、正しい未来が待っていると


 しかしだ、その未来が来るのを邪魔したのもまた──私なのだ。


 マッチポンプだよ。


 私がいなくなれば、彼らはあきらめざるをえない。

 夢から醒めざるを得ない。

 私なしで、世界を救うことなどできないと気づく。

 その時ようやく──世界は平和になるんだ


 “教会”のお父さんにあとは任せればいい。

 エル・エリオスタ。

 あの人が残っている。彼が生きている。

 その強大な力に、解体された聖女軍は寄り添うしかない。


 そうすれば晴れて──世界は統一される。

 闘いは終わる。秩序が返ってくる──そう、私は信じているよ。



だから彼女は言った。

これが私の、この百年の幸福ハッピーエンドなのだと。


すがすがしい顔でそう言ってのけた。

そして強引に田中の手を取った。



 ──知っているかな?

 実は、君は聖女の言語テクストを抜き去るのに、わざわざ聖女を殺す必要なんてないんだぞ?


 君はただ、触れ合えばいい。

 聖女に、終わりを待ち望んでいるものに、触れればそれだけでいいんだ。

 そういう……舞台装置なのさ。

 だから、私は君を使って、勝手に終わらせてもらうよ。



告げられた事実は、あまりにも唐突で、理不尽だった。

そう、思えば田中のこの力のことは、“教会”の中でもあまり解析できていないのだった。

ただ聖女の言語テクストを集めれば──



 ああ、あと、これも言っておかないとな。

 私の物語には不要だったが、きっと君の物語には重要なことだ



──そして、ニケアは最後にこんなことを言った。



 私は──確かに“はじまり”の聖女だった。

 私が元凶なのは間違いない。太母グレートマザーだって、聖女だって、たぶん、私が創ったようなものなのだろう。

 

 ただ──



──ただ、この奇蹟が、どこから降って湧いたものなのか、それだけはわからなかった。



 私が聖女を、みなを創った。


 それはいいとして、ではじゃあ──私を創ったのは?

 私は何故、こんな奇蹟を与えられた。

 

 奇蹟を与えられたのが私で、それを終わらせるのが君だったのか。

 タナカクンでなくてはいけなかったのか。


 きっと理由がある。



 それだけはきっと──君の物語だ


とりあえずニケア編・完結です。

ここで中盤終了。次の章から終盤突入になるかと思います。

年明けには6人目編も始める(予定)

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